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鍼灸学生の東洋医学概論まとめノート~生理物質の生理と病証~

2022-12-08

こんにちは。

プライマリ・ケアサポート きらぼし、鍼灸師・看護師のKagayaです。

今回は、東洋医学の基本中の基本ともいえる「生理物質の生理と病証」について、学生時代のノートをもとにまとめました。

学びが進むにつれて、「精」「気」「血」「津液」など、だんだんとなじみのない専門用語が増えてきて、正直ちょっと難しく感じることもありますよね。

足利フラワーパークの大藤
▲160年の時を生きる、足利フラワーパークの大藤

この大藤は、たった一本の幹から広がる生命の力そのもの。

東洋医学が大切にしているのも、こうした「目には見えないけれど、確かに存在しているもの」です。

とくに今回のテーマである生命エネルギーは、東洋医学の中心概念。

「イメージでとらえる力」がとても大事だと、学ぶほどに感じています。

この記事では、精・気・血・津液それぞれの「働き=生理」と、「バランスが崩れたときに起こる不調=病証」について、初学者にもやさしい言葉で解説していきます。

東洋医学の勉強をはじめたばかりの方、国家試験対策をしている鍼灸学生さん、自分の体調管理に活かしたい方にも、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

🌟生理物質の生理と病証

東洋医学では、人体を構成する基本的な物質を「生理物質」と呼び、陰陽の視点から分類します。

  • 陰:血・津液・精(=物質的なもの、身体を滋養・潤す)
  • 陽:気(=エネルギー的なもの、身体を動かす)

ここからは、まず「精」について見ていきましょう。

🌟精(せい)の生理と病証

とは、私たちの身体の根本をつくる生命のエッセンスのようなもの。

Kagayaが東洋医学を学び始めた頃、「精=いのちの燃料」のようなイメージを持ちました。

精には2種類あり、次のように区別されます。

  • 先天の精:両親から受け継いだ生まれつきのエネルギー。加齢や過労で消耗しやすく、回復しにくい。
  • 後天の精(水穀の精):飲食物から得られ、日々補えるエネルギー源。
  • どちらの精もに蓄えられ、成長・発育・生殖・老化に深く関係しています。

精の働きは多岐にわたります。たとえば……

  • 生殖:精子・卵子の形成、妊娠・出産の基盤
  • 滋養:身体の発育や生命維持に関与
  • 血・気への化生:精から血・気が生まれます(※特に腎精→骨髄→血)
  • 神の維持:精神活動の安定にも深く関与

🔍精が不足するとどうなる?

精が不足する状態を「精虚(せいきょ)」または「腎精不足」といいます。

  • 子どもの場合:発育不良、学習障害
  • 大人の場合:不妊、性機能低下、耳鳴り・難聴、健忘、脱毛、白髪
  • 高齢者:骨や歯のもろさ、尿漏れ、虚弱体質

これらはすべて、「腎の力=精の力」が弱っているサインとも言えます。

Kagayaも鍼灸学校に通っていた頃、疲労がたまって抜け毛や耳鳴りが気になった時期がありましたが、「あ、腎精が消耗してるかも」と思えるようになったのは、この概念を学んだおかげでした。

🛠️日常でできる精のケア

腎精を守るには、無理をしすぎない生活・睡眠・栄養が大切です。

さらに、鍼灸やセルフケアグッズも有効です。

精を補うことは、東洋医学的にみて「若さ・免疫・活力」を支える根本ケアにつながります。

精を大切にして、自分らしくエネルギーあふれる毎日を送りたいですね。

🌟気の生理と病証|身体を動かす“エネルギーの流れ”

東洋医学でいう「気(き)」とは、身体を構成し、生きるために必要なエネルギーそのものです。

初めて学ぶ方にとっては、ふわっとした言葉に感じるかもしれませんが、気の存在を意識できるようになると、不調のサインや改善の方向性がぐっとわかりやすくなります。

🧬気の種類とその働き

  • 原気:生命活動のエンジン。腎から生じ、全身に活力を送る
  • 宗気:呼吸と血液循環を支える。胸中に集まり心肺を助ける
  • 営気:血液の中にあり、栄養を届ける役割
  • 衛気:体表を守り、外邪から身体を防御(免疫機能のような役割)

このように、気は私たちの内と外のバランスを保つために、いくつもの役割を果たしています。

🔥気の5つの主な作用

  • 推動作用:血や津液を巡らせ、成長や内臓の働きを促進
  • 温煦作用:身体を温め、体温を維持
  • 防御作用:外邪(風邪やウイルス)を防ぐ
  • 固摂作用:汗や尿、血液が漏れ出ないようにコントロール
  • 気化作用:水分や栄養を別の形(気・血・津液)に変化させる働き

つまり、気が元気なら、からだもこころも元気ということなんです。

💡気の乱れによって起こる病証

🪫虚証:気が足りない・流れない

  • 倦怠感・息切れ・無力感・風邪をひきやすい
  • 声が小さい・話すのがおっくう
  • 食欲不振・舌の色が淡い
  • 自汗(ちょっと動いただけで汗が出る)

長時間の過労・睡眠不足・過度なダイエットなどで起こりやすく、Kagayaも疲れすぎた日は「気虚だなぁ…」と感じることがあります。

  • 気陥:気の力が弱まり、内臓が下垂(脱肛・子宮脱など)
  • 気脱:重度の衰弱やショックなどにより、意識が遠のく危険状態

🌀実証:気が滞る・逆流する

  • 胸やお腹が張って苦しい
  • イライラ・気分が落ち込みやすい
  • ゲップやおならで楽になる
  • 肺:咳・喘息・息苦しさ
  • 胃:しゃっくり・ゲップ・吐き気
  • 肝:イライラ・怒りやすい・頭痛

気は“流れ”が命です。滞っても逆流しても、不調の原因になります。

🧘‍♀️気を整えるセルフケア習慣

気の巡りを整えることは、感情・内臓・免疫すべてに良い影響を与えてくれます。

「なんだか元気が出ないな…」という日は、ぜひ自分の“気”を感じてケアしてあげてくださいね。

🌟血(けつ)の生理と病証|こころとからだを支える“栄養の流れ”

東洋医学における血(けつ)は、現代医学でいう“血液”とは少し意味が異なります。

赤くて栄養に富んだ体液として、全身に滋養を届けるだけでなく、精神(=神)を安定させる役割も持っています。

  • 滋養作用:全身の臓腑・器官・組織を養い、健康な発育・維持を助ける
  • 神の維持:精神を安定させる、感情や思考にも影響

Kagayaは授業で「血が足りないと“こころ”が不安定になる」と聞いたときに、“眠れない・そわそわする・生理が乱れる”という体験がぴったり当てはまったことを思い出しました。

🩸血の虚証|足りない・養えない

血虚(けっきょ)

  • 顔色が白い・めまい・動悸・疲れやすい
  • 不眠・夢が多い・健忘(忘れっぽい)
  • 目のかすみ・爪が割れやすい・髪のパサつき
  • 月経量が少ない・周期が遅れる・経血が薄い

これは単なる「貧血」ではなく、心身両面にあらわれる“養う力”の不足なのです。

Kagayaも、看護師として働いていたころ、夜勤明けに「目がかすむ・立ちくらみ・不安感が強くなる」などの症状が出ていた時期があり、いま思えば典型的な「血虚」状態でした。

🩺血の実証|滞る・熱をもつ

血瘀(けつお)
  • 刺すような痛み・夜間に強くなる固定痛
  • しこり・瘀斑(青紫色のあざや点)
  • 月経時の塊・経血の色が黒っぽい
  • 顔色・舌が紫がかっている

「血の滞り=うっ血」は、冷えやストレス、過労、生理トラブルに深く関係します。

血熱(けつねつ)
  • 発熱・ほてり・盗汗・口渇
  • 出血(鼻血・喀血・吐血・血尿)
  • 皮膚の赤み・かゆみ・じんましん・湿疹
  • 精神不安・不眠・夢が多い

Kagayaの経験では、夜ふかし・甘いもの・辛い物の食べすぎで起こる“ほてり・かゆみ・眠れない”という症状は、まさに「血熱」に近いと感じます。

🌿血を養うためのセルフケア

血は「こころ」と「からだ」両方を潤してくれる大切な存在。

現代の忙しい生活ではどうしても消耗しがちですが、意識して養う習慣を取り入れることで、安定した毎日がつくれます。

津液の生理とよくある不調

津液(しんえき)とは、体内を潤し、栄養を届ける「正常な水分」のことです。

  • 津:さらさらとした液体(汗・涙・尿・鼻水など)
  • 液:やや粘り気のある液体(関節液・唾液・精液・骨髄液など)
  • 主な作用:滋潤(うるおす)濡養(養う)血脈を満たす

津液の不調とその症状

🌿虚証:津液不足タイプ

  • 津液の生成不足や過労・加齢による消耗
  • 乾燥傾向が強まる
  • 喉の渇き・乾いた咳
  • 乾燥肌・フケ・髪のパサつき
  • 便秘や尿量の減少

おすすめセルフケア:お風呂上がりの保湿+内側から潤す「なつめ茶」「枸杞茶」などを取り入れて。

🌧実証:痰湿(津液の停滞)タイプ

  • 運動不足・脂っこい食事・冷えなどにより津液がうまく巡らず停滞

【痰湿が進むと…】

▼ 浮腫・下痢・重だるさ(=湿)

▼ 腹鳴・喘息・水様便(=飲)

▼ 咳・多痰・不眠・めまい・精神症状(=痰)

おすすめセルフケア:身体を温め、水分代謝を助ける温灸や半身浴がおすすめです。

🌟おすすめの東洋医学テキスト|学生にも読みやすい!

はじめは用語の多さに圧倒されますが、以下の本はKagayaが実際に助けられたテキストです。

講義と合わせて読むと、理解が深まります。

どれも図解が豊富で、理解を助けてくれます。初学者には特におすすめです。

🌟まとめ|生理物質は「見えないけれど確かにあるもの」

東洋医学を学びはじめると、つい用語の暗記に追われがちですが、実際は「感じる力」や「イメージする力」がとても大切です。

Kagayaもはじめは「血って何?」「気が滞るってどういうこと?」と戸惑いました。

でも、日々の観察や勉強の中で、次第に腑に落ちていきました。

あなたも、焦らず、自分のペースで“見えないもの”を感じていってくださいね。

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