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広告 きらぼし通信

鍼灸は精神科訪問看護に役立つ?『精神看護』特集から見えた未来の医療連携

先日、日本ASPセラピー普及協会から「ASPニードルを用いたBFA(Battlefield Acupuncture:戦場鍼)」が、精神科看護の専門誌『精神看護』(医学書院)にて特集されたという情報が届きました。

実際に精神科の訪問看護に携わっている身としては、「これは読まなきゃ!」とAmazonで即購入。

届いた雑誌を手に取った第一印象は、正直「薄っ…!」と思いました。

これで1,650円? と一瞬ためらいましたが、そこは専門誌。

内容に期待を寄せて読み始めました。

専門誌ならではの視点──薄くても内容は濃かった

ページ数こそ少ないものの、読み進めるにつれ、その価格に見合う価値があることを実感しました。

記事の内容は、「精神科看護師向け」というよりも、むしろ医師や鍼灸師、そして複数資格を持つKagayaのようなダブルライセンスの人材に刺さる内容でした。

精神科におけるBFAの可能性、臨床応用、研究動向などが専門的な視点でまとめられており、思わず付箋を貼りながら読み込んでしまいました。

戦場鍼(BFA)とは?精神科との関係性とは?

BFAとは、米軍で開発された「痛み・ストレス軽減のための耳介刺激法」です。

使用するのはASPニードルという小さな針で、耳の特定の5点に刺激を与えることで、神経系に作用し、鎮痛・安定効果が期待できます。

元々は戦場で負傷兵に対して麻酔の代わりに使われた技術ですが、近年ではPTSD、不安障害、うつ症状などのメンタル面における活用例も増えています。

このような流れの中、精神科医療においてもBFAが注目されるようになってきたというのが今回の特集内容の背景にあります。

精神科看護と鍼灸の橋渡し役になりたい

雑誌を読みながら、「精神科に特化した訪問看護ステーションで、鍼灸師はもっと活用できるはず」と感じました。

現在の日本では、鍼灸は「民間療法」「リラクゼーション」として捉えられることが多く、医療の一環として正式に位置づけられることはまだ少ないのが現状です。

しかし、BFAのように明確な目的・手技・エビデンスを持つ鍼灸法が浸透すれば、将来的にはリハビリテーションの一貫として診療報酬の加算対象になる可能性もあると思います。

APネットワーク──精神科医と鍼灸師の連携へ

記事中では、「APネットワーク」という興味深い取り組みも紹介されていました。

これは、精神科医と鍼灸師が連携し、症例に応じて患者を紹介しあうシステムです。

現在の構成は以下の通り:

  • 鍼灸師:約90%
  • 医師:5%
  • 看護師:0.5%
  • 心理士:0.3%

この数字から見てもわかるように、看護師の関与はまだ非常に少ないのが現状です。

しかし、実際に患者さんの生活や精神状態に深く関わるのは看護師。

特に訪問看護師の立場であれば、鍼灸や東洋医学の知識を持つことで、より個別性の高いケアが可能になります。

看護師にもっと鍼灸の知識を

現場の看護師の多くは、「鍼灸ってなに?」「ツボって効果あるの?」という認識がまだまだ大半です。

実際、看護師向けの研修では東洋医学の話はほとんど登場しません

それゆえ、こういった連携システムや鍼灸の可能性が伝わらず、「知られていない=活用されない」状態に陥っているのです。

今後は、看護協会や精神科看護の学会などでも、鍼灸の基礎や臨床応用を紹介する機会が増えていくことを期待しています。

【きらぼしの鍼灸ケアでも、こころのケアを大切に】

「きらぼし」では、耳ツボ療法や全身鍼灸を用いて、こころとからだの両面からアプローチするケアを実践しています。

たとえば、以下のような状態でお悩みの方へ:

  • 気分の落ち込みがつらい
  • イライラしやすく、眠れない
  • 薬を減らしたいけど不安
  • ストレスで胃腸の調子が悪い

そんな時は、「病院に行くほどでもないけどつらい」「誰かに相談したい」そんな方の選択肢になれるように、東洋医学の知恵と看護の視点を活かした施術を行っています。

まとめ:鍼灸と精神科看護は、もっと手を組める

『精神看護』誌で戦場鍼(BFA)が紹介されたことは、単なる話題にとどまらず、今後の医療と鍼灸の関係性を変える可能性を秘めていると感じました。

医師だけでなく、鍼灸師、そして看護師が連携することで、精神科医療はもっと柔軟で包括的になっていくはずです。

「東洋医学なんて怪しい」と思われないよう、私たち専門職が根拠を持って伝える責任があります。

その第一歩として、こうした情報を知り、広め、実践につなげていきたいと思います。

-きらぼし通信