
こんにちは。
プライマリ・ケアサポート きらぼし、鍼灸師・看護師のKagayaです。
最近、すごくおもしろい本に出会いました。
タイトルは『東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』です。
東洋医学と聞くと、「なんとなく効くけど科学的根拠がないのでは?」と思われがちです。
Kagaya自身も鍼灸師を目指す中で、「どう説明したら信頼されるのか?」という課題を常に感じてきました。
そんな中、この本はとても腑に落ちる内容で、目からウロコの連続でした。
例えば、ツボの反応や経絡の流れが、実は皮膚や筋膜、神経のネットワークと関係していること。
鍼を刺したときに起きる生体反応が、実際には「迷走神経」や「炎症反射」という仕組みを介して全身の調整に関わっていること。
東洋医学の概念が、西洋医学的にも説明できる時代がきているのだと実感しました。
鍼灸師として臨床に出るにあたり、「効果がある」と自信を持って伝えるには、やはり根拠となるメカニズムを知っていることが大切です。
患者さんから「どうして効くの?」と聞かれたときに、ただ「気の流れです」と答えるのではなく、「迷走神経が活性化されて、自律神経が整うことが研究でも示されています」と説明できたら、信頼感がまったく違うと感じます。
この本では、最新の研究データや医学論文をもとに、東洋医学のアプローチがどのように作用しているかが書かれています。
「気・血・水」や「五臓六腑」の考え方も、現代医学の視点で見ると非常に理にかなっているとわかるのです。
特に、鍼灸がもたらす「炎症反射」「免疫調整作用」「副交感神経の活性化」などについては、臨床にもすぐに役立つ知識ばかり。
患者さんに安心感を与える説明ができるようになります。
この本は、東洋医学を学ぶ学生さんや、今まさに臨床に出ている鍼灸師の方だけでなく、「鍼灸って本当に効くの?」と疑問を持つ一般の方にもおすすめできる一冊です。
これからの時代は「統合医療」や「補完医療」として、東洋医学と西洋医学が手を取り合って進んでいく時代。
この本が、その橋渡しになると感じています。
🌟taVNSと東洋医学の新展開
この本を読んで一番驚いたのが、「taVNS(経皮的耳介迷走神経刺激)」という治療法の存在でした。
taVNSとは、耳の中にある迷走神経の枝を皮膚から電気的に刺激することで、自律神経系や免疫系を調整する新しい治療技術です。
迷走神経は、副交感神経の中心とも言える神経で、心拍数、消化、呼吸、炎症反応など多くの生命活動をコントロールしています。
taVNSは、この迷走神経を刺激することで、「炎症反射」と呼ばれる自己調整機構を活性化し、身体の恒常性(ホメオスタシス)を整える働きがあるとされています。
この治療法は、日本では難治性てんかんに対して医療機器として認可されており、アメリカでは難治性うつ病、線維筋痛症、炎症性腸疾患などにも臨床応用されています。
しかも、非侵襲的(手術なし)で、家庭用にも設計された機器もあり、今後ますます注目される分野です。
実際に使用されている医療機器の資料はこちらから見ることができます:

この装置、価格がなんと約100万円……。
時給2,000円のKagayaには手が届かない高額な医療機器です。
でも、Kagayaはここで一つの可能性に気づきました。
「耳ツボに微弱な通電を加えるだけでも、同じような効果が得られるのではないか?」ということです。
実際、耳には多数の神経が分布しており、特に迷走神経の耳介枝(auricular branch)は鍼灸でも重要なツボのエリアに一致しています。
鍼灸における「神門」「交感」「心」「副腎」などの耳ツボも、自律神経やホルモンバランスに作用するとされています。
これらのツボに微弱電流を流すことで、taVNSと同様のメカニズムが働く可能性があり、より手軽で安全な方法として注目しても良いのではないかと感じました。
今後、こうした神経科学的視点を東洋医学と融合させた施術スタイルが主流になっていくかもしれません。
Kagaya自身も、taVNSの理論を耳ツボ療法に応用しながら、より根拠あるアプローチで施術を組み立てていきたいと考えています。
🌟戦場鍼(バトルフィールド鍼)との出会い
taVNSに関心を持ったタイミングで、ふと頭をよぎったのが「戦場鍼(バトルフィールドアキュパンクチャー)」でした。
実は以前からその存在は知っていたのですが、改めて調べてみると、taVNSと非常に似たアプローチをとっていることに気づきました。
戦場鍼は、アメリカ軍で開発された耳介療法の一種で、戦場における緊急の痛み・不安・PTSDなどに即効性があるとされ、現在では米軍の正式な医療マニュアルにも採用されています。
特徴はとてもシンプルで、わずか5つの耳ツボに小さな鍼を刺すだけ。
それだけで強い鎮痛効果や精神安定作用があると言われています。
この戦場鍼で使用されているのが、「ASP鍼」です。
通常の置き鍼と違い、テープで固定する必要がなく、鍼自体にスプリングがついていて、皮膚に直接しっかり留まる構造になっています。

特に驚いたのが、ASP鍼が「髪の毛のある頭皮」でも使用できるという点です。
今まで使っていたパイオネックスは、頭皮のように毛が密集している部位ではどうしても粘着が弱くなり、すぐに取れてしまうのが悩みでした。
しかしASP鍼なら、粘着剤を使わずに皮膚に直接とどまるため、頭部にも安定して使えるのです。
Kagayaは今後、てんかんや自律神経系の不調に対して、頭皮鍼の導入を検討していたところだったので、「これはまさに理想的な鍼では!?」と感動しました。
また、戦場鍼の効果はアメリカだけでなく、日本でもNHKで特集されたことがあり、精神科や慢性疼痛の分野でも注目されています。
自費治療として導入している鍼灸院も少しずつ増えており、今後ますますニーズが高まるのではと感じています。
taVNSと戦場鍼、どちらも耳介を介して迷走神経にアプローチし、身体全体のバランスを整えるという共通点があります。
非薬物療法として安全で副作用も少なく、鍼灸の新しい可能性を感じるきっかけとなりました。
これからの臨床では、耳ツボや頭皮鍼のような「小さな刺激で大きな変化をもたらす」技術がますます重宝されると確信しています。
🌟日本ASPセラピー普及協会に入会してみた
戦場鍼で使用されているASP鍼。その魅力に惹かれた私は、「どうにかして入手できないか?」と調べていたところ、ある団体の存在を知りました。
それが、一般社団法人 日本ASPセラピー普及協会です。
この団体は、ASP鍼の正規販売のサポートや教育を行っている日本唯一の団体で、耳介療法(Auriculotherapy)や戦場鍼に関心のある鍼灸師・医療従事者に向けて、セミナーや実践講座、会員限定の情報提供などを行っています。
正直、「今の自分にできることはあるのかな?」という不安もありました。
でも、学生でも入会できると知り、迷わず申し込みを決意しました。
理由はひとつ、学び続ける環境に身を置きたいからです。
残念ながら、Kagayaはまだ鍼灸の国家資格を取得していないため、個人輸入の手続きができず、実際にASP鍼を購入することはできません。
それでも、この協会が開催しているオンラインセミナーには参加できますし、会員専用ページから理論や応用方法について学ぶことができるのは大きなメリットです。
Zoomを活用したセミナーでは、戦場鍼の適応症や技術解説に加え、臨床現場での活用例や注意点、さらには鍼灸院の経営やブランディングに関する話題まで取り上げられており、非常に幅広い内容になっています。
また、実技動画や資料が随時アップされるため、自宅にいながら何度も復習できる点もありがたいです。
限られた時間の中で学習したいKagayにとって、こういったサポートはとても心強いと感じました。
将来的には、正式に鍼灸師免許を取得し、ASP鍼を実際に使っていくことが目標です。
そのときのために、今はしっかりと基礎を固め、最新の耳介療法や世界の潮流に触れておきたいと思っています。
🌟これからの耳介療法とKagayaの展望
耳介療法は、ツボの選定や刺激方法によって、痛みや不調に対して即効性のある反応を引き出せる興味深い技術です。
しかも、耳という小さな部位を使うだけで、全身の状態を調整できるという点で、患者さんへの負担も少なく、セルフケアにも応用しやすいのが大きな魅力だと感じています。
Kagaya自身、これまで「耳ツボシール」や「パイオネックス」を使って家族や友人にセルフケア指導を行ってきましたが、反応がとても良く、「夜ぐっすり眠れた」「肩こりが楽になった」という声をたくさんいただきました。
これが確信につながり、「もっと深く耳介療法を学んで、臨床に活かしたい」と強く思うようになったのです。
今後は、耳介療法と頭皮鍼を組み合わせて、てんかんや不眠、自律神経の乱れといった神経系の不調に対して、より効果的な施術プログラムを構築していく予定です。
特に子どもや高齢者、薬の副作用を避けたい方などには、こうしたやさしいアプローチが選択肢になると信じています。
実際、戦場鍼やtaVNSのように、耳から迷走神経を刺激する治療は、今や世界中で研究が進んでおり、医学的エビデンスの蓄積も加速しています。
これまで「民間療法」と一括りにされていた耳介療法が、今後は「補完医療」や「神経調整療法」として、より広く社会に受け入れられていく未来が見える気がします。
そして何よりKagayaが注目しているのは、「固定テープを使わない置き鍼」の可能性です。
ASP鍼のような構造がもっと普及すれば、髪の毛のある部位や汗をかきやすい場所でも安定して使用でき、これまで鍼灸が難しかったシーンにも対応できるようになります。
国内での製造や販売が整えば、多くの鍼灸師にとって新たな武器になりますし、患者さんにとっても快適で効果的な施術を受ける選択肢が増えることになります。
今後は、そうした新しい道具や理論を積極的に取り入れ、Kagaya式の「耳ツボ×頭皮鍼」メソッドを確立し、実際の臨床に活かせるよう精進していきます。
まとめ
今回ご紹介した「戦場鍼(バトルフィールドアキュパンクチャー)」や「taVNS(経皮的耳介迷走神経刺激)」など、耳からアプローチする療法にはこれからの鍼灸にとって大きな可能性があると感じています。
その中で、KagayaはASP鍼という新しい道具と出会い、そしてその活用をサポートする「日本ASPセラピー普及協会」へ入会しました。
学生である現在はまだASP鍼の購入はできませんが、Zoomセミナーや理論学習を通じて着実に学びを深めています。
Kagayaがめざすのは、「耳ツボ×頭皮鍼」を活用したアプローチ法。
てんかんや不眠、自律神経の不調を抱える方々に対し、薬に頼らないケアの選択肢を提供していくことです。
今はまだ学生の身ではありますが、最新の研究や世界的な潮流にふれながら、「本当に役に立てる鍼灸師」になるために、一歩ずつ歩んでいます。
未来の施術に活かせるよう、地道な学びを重ねていきたいと思います。
耳ツボと頭皮鍼の融合、そして非侵襲・安全・効果的な治療の探究は、Kagayaのライフワークになりそうです。
まとめ
今回ご紹介した「戦場鍼(バトルフィールドアキュパンクチャー)」や「taVNS(経皮的耳介迷走神経刺激)」など、耳からアプローチする療法にはこれからの鍼灸にとって大きな可能性があると感じています。
その中で、私はASP鍼という新しい道具と出会い、そしてその活用をサポートする「日本ASPセラピー普及協会」へ入会しました。学生である現在はまだASP鍼の購入はできませんが、Zoomセミナーや理論学習を通じて着実に学びを深めています。
私がめざすのは、「耳ツボ×頭皮鍼」を活用した、やさしくて深いアプローチ。てんかんや不眠、自律神経の不調を抱える方々に対し、薬に頼らないケアの選択肢を提供していくことです。
今はまだ学生の身ではありますが、最新の研究や世界的な潮流にふれながら、「本当に役に立てる鍼灸師」になるために、一歩ずつ歩んでいます。未来の施術に活かせるよう、地道な学びを重ねていきたいと思います。
耳ツボと頭皮鍼の融合、そして非侵襲・安全・効果的な治療の探究は、私のライフワークになりそうです。今後の発信にも、ぜひご期待ください。
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参考文献
- 『東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』(ブルーバックス・講談社)
- 経皮的耳介迷走神経刺激装置:https://www.miyuki-net.co.jp/jp/products/catalog/taVNS.pdf
- 一般社団法人 日本ASPセラピー普及協会:https://jpn-asp.com/