四診
望診:神技ともいい視覚を通じた診察
聞診:聖技ともいい聴覚•嗅覚を通じた診察
問診:工技ともいい対話を通じた診察
切診:巧技ともいい触覚を通じた診察
望診
皮膚の色
青色:肝の病・寒証・病証・血瘀を現す
赤色:心の病・熱証を現す
黄色:脾の病・虚証・熱証・湿証を現す
白色:肺の症・虚証・寒証を現す
黒色:腎の病・寒証・痛証・血瘀を現す
顔面の部分
肝:左頬の部位を診る
心:額の部位を診る
脾:鼻の部位を診る
肺:右頬の部位を診る
腎:顎の部位を診る
舌診
舌尖部:心肺を診る
舌辺部:肝胆を診る
舌中部:脾胃を診る
舌根部:腎を診る
舌色
舌色淡紅:健康なもの、表証を現す
舌色淡::血不足、寒証を現す
舌色紅:実熱、陰虚による熱証を現す
舌色紫:血瘀を現す
舌の瘀斑・瘀点:血瘀を現す
舌形
胖大舌:陽虚、痰湿の停滞を現す
痩薄舌:気血不足、陰虚
裂紋舌:気血不足、陰虚
胖大を伴う歯痕舌:陽虚、痰湿の停滞を現す
胖大を伴わない歯痕舌:気虚を現す
点刺舌:熱が盛んなものを現す
舌下脈絡の怒張:血瘀を現す
舌苔
薄白苔:健康、表証ばど病状が軽いものを現す
厚白苔:寒証を現す
黄苔:熱証を現す
薄苔:健康、表証など病状が軽いものを現す
厚苔:痰湿、食滞を現す
少苔:陰虚を現す
膩苔:痰湿の停滞、食滞
聞診
短気:息切れのこと、気虚・肺気虚を現す
少気:慢性的な虚証
嘔吐:胃気上逆(虚寒・実熱)を現す
曖気:げっぷのこと、胃気上逆(食滞胃脘・肝気犯胃・中気不足)を現す
吃逆:しゃっくりのこと、胃気上逆(実熱・虚寒)を現す
失気:放屁のこと、脾気虚、肝鬱気滞を現す
問診
八網病症
陰
- 裏証、寒証、実証
陽
- 表証、熱証、実証
表裏
- 病の深浅(病位)
寒熱
- 病の病情(病性)
虚実
- 正邪の盛衰(病勢)
陰虚
ほてり、のぼせ、五心煩熱、長時間微熱が続く、手足身熱、盗汗、頬部紅潮、消痩、潮熱、舌質紅、舌苔少、脈細数
陰盛
- 寒証症状
陽虚
- 寒証症状+気虚症状
陽盛
- 熱証症状
表証
- 病の部位が浅く、外感病の初期に多い。悪寒・発熱・項強・身体痛・尾閉・鼻汁・咽頭部違和感・脈浮
裏証
- 病の部位が深く、発病後一定の経過を経て現れる
半表半裏証
- 表と裏の中間で邪気と正気が争っている状態。寒熱往来・胸脇苦満・口苦・眩暈・脈弦
寒証
- 冷やすと増悪し、温めると寛解する
- 悪寒・寒がり・顔面蒼白・四肢の冷え・喜温・小便清長・大便下痢・舌苔白・脈遅
熱証
- 温めると増悪し、冷やすと寛解する
- 発熱・暑がり・顔面蒼白・目赤・ほてり・喜冷・口渇・小便短赤・大便秘結・舌苔黄・脈数
寒熱錯雑証
- 寒証と熱証が同時に存在している
虚証
- 徐々に起こったもの
- 発症から長く慢性的に経過するもの
- 感覚が鈍く力が入らないもの
- 動いたり、疲れたりで増悪、休養で寛解
- 呼吸や語勢が弱い・自汗・下痢・喜按・鈍痛・小便の回数が多い
実証
- 急に起こったもの
- 発作的・間欠的に起こるもの
- 呼吸や語勢が強い・無汗・便秘・拒按・滑脈・口苦・疼痛部を押すと痛みが増強する
虚実狭雑証
- 虚証と実証が同時に存在する
疼痛部位
頭痛 | 後頭部~項背部:太陽経頭痛 前額部~眉間:陽明経頭痛 両側または一側の側頭部:少陽経頭痛 頭頂部:厥陰経頭痛 |
頸部痛 | 前頸部:陽明経 側頸部:少陽経 後頚部:太陽経 |
腰痛 | 前屈・後屈:足太陽膀胱経・督脈 回旋:足少陽胆経 |
肩痛 | 肩前面:太陰経・陽明経 肩側面:少陽経 肩後面:太陽経 |
痛みの性質
拒按 | 疼痛部位に触れたり按圧すると痛みが増強する | 実証 |
喜按 | 疼痛部位に触れたり按圧すると痛みが軽減または消失する | 虚証 |
脹痛 | 脹った感じの痛み | 気滞 |
重痛 | 重怠い痛み | 湿邪 |
刺痛 | 刺されるような鋭い痛み | 瘀血 |
冷痛 | 冷えた感覚を伴う痛み、温めると軽減、冷やすと増悪 | 寒邪・陽虚 |
隠痛 | 我慢できる程度のはっきりしない痛み | 虚証 |
酸痛 | 怠い感覚を伴う痛み | 気血不足・湿邪 |
固定痛 | 一定の部位に固定した痛み | 瘀血・寒邪・湿邪 |
遊走痛 | 痛む部位が定まらず移動する痛み | 気滞・風邪 |
夜間痛 | 夜になると痛みが誘発、増悪する痛み | 瘀血・寒邪 |
切診
腹診
肝:臍の左
心:臍の上
脾:臍部
肺:臍の右
腎:臍の下
心下痞鞭 | 心下痞(心下部が自覚的につかえる)+心下鞭(心下部が他覚的に硬く抵抗感がある) | 心・胃 |
胸脇苦満 | 季肋下部に充満感があり、肋骨弓下縁に指を入れようとしても苦満感や圧痛があり入らない | 肝・胆、気滞、少陽病 |
小腹不仁 | 下腹部に力がなくフワフワしていて、知覚鈍麻がある | 腎虚、下焦の虚 |
小腹急結 | 下腹部、とくに左下腹部に抵抗や硬結がある | 瘀血 |
裏急 | 腹裏のひきつれ、腹直筋の異常なつっぱり | 虚労 |
脈診
浮脈 | 指で軽くあてると拍動が感じられ、按じると感じ方が弱くなる(感じられなくなる) | 表証・虚証 |
沈脈 | 指で軽くあてるだけでは拍動は感じられず、筋骨の間まで按じると感じるもの | 裏証 |
遅脈 | 拍動が遅く、1呼吸に3拍以下 | 寒証 |
数脈 | 拍動が早く、1呼吸に6拍以上 | 熱証 |
虚脈 | 浮・中・沈のいずれも無力で指を押し返す力の弱いもの | 虚証 |
実脈 | 浮・中・沈のいずれも力強く指を押し返すもの | 実証 |
滑脈 | 脈の流れが滑らかで、円滑に指に触れるもの | 痰湿・食滞 |
濇脈 | 脈の流れが悪く、ザラザラとして渋滞したようなもの | 血瘀 |
弦脈 | 琴の弦に触れたような、長くまっすぐで緊張したもの | 肝胆病・痛証・痰飲 |
緊脈 | 張った縄に触れたような、緊張して有力なもの | 実寒・痛証 |
細脈 | 脈幅が小さく、細いが指にハッキリ感じられるもの | 血虚 |
緩脈 | 脈拍が1呼吸に4拍と緩やかで、遅脈より少し速いもの | 湿証・脾虚 |
濡脈 | 浮位で触れ、脈幅が小さく、軟らかく、少し按じると絶えそうなもの | 湿証・虚証 |
弱脈 | 沈位で触れ、脈幅が小さく、軟らかく、少し按じると絶えそうなもの | 気血両虚 |