
こんにちは。
プライマリ・ケアサポート きらぼし、鍼灸師・看護師のKagayaです。
最近、経済学の本を読み直していたのですが、「有形財(モノ)」と「無形財(サービス)」という区別があることを改めて感じました。
私たち看護師や鍼灸師が提供するのは、目に見えるモノではなく、形のない“癒し”や“安心”、つまり「無形の価値」です。
だからこそ、このサービスを必要な人にきちんと届けていくには、戦略が必要になってきます。
そこで今回は、「マーケティングの基本」と言われる4P(Product・Price・Place・Promotion)という考え方を使って、Kagayaが今後展開したい「頭皮鍼」のサービスについて整理してみたいと思います。
Kagayaは、看護と鍼灸のスキルを活かして、障がい児(者)やそのご家族に寄り添うようなハイブリッドケアを目指しています。
その中でも、特に「頭皮鍼」はリラックス効果が高く、心と脳にやさしいアプローチができる技術です。
それでは、頭皮鍼という無形サービスを、どうやって価値あるものとして届けていくのか、一緒に考えていきましょう。
🌟 Product:頭皮鍼ってどんなサービス?
Kagayaが提供するのは、看護と鍼灸を組み合わせた無形サービスです。
目に見える商品ではなく、「体験」や「安心感」「変化」を届けるケアです。
いくつかのサービスメニューを構想していますが、今回は特に注力している「頭皮鍼」について深掘りしてみたいと思います。
現代では、ただ「頭皮鍼やってます」とアピールしても、なかなか人は振り向いてくれません。
なぜなら、鍼灸治療そのものが一般的には「最後の手段」として見られることが多く、第一選択として選ばれることは少ないからです。
「病院で改善しなかった」「どこへ行っても変わらなかった」——そんな方が、ようやく辿り着くのが鍼灸院、というケースも少なくありません。
だからこそ、鍼灸にどんな専門性があるのか、どんな変化が期待できるのかを、しっかりと伝えていく必要があります。
たとえば、「脳にアプローチする頭皮鍼」「ストレスによる不眠に効果的な頭皮鍼」など、お客様にとってわかりやすいテーマ・目的を掲げることで、共感と信頼につながります。
一方で、鍼灸はリラクゼーション効果も高く、慰安的なサービスとしての提供も可能です。
どちらの方向性で展開するかによって、マーケティング手法も大きく変わってきます。
この「Product(何を提供するのか)」という項目は、「本当にお客様が求めていることなのか?」、そして「それは自分が本当にやりたいことなのか?」を見つめ直す大切な視点でもあります。
Kagayaは、単なる症状の緩和にとどまらず、「心と体の土台づくり」をサポートするサービスを目指しています。
その中核となるのが、この「頭皮鍼」なのです。
頭皮鍼の効果とは?症状別にみる4つのメリット
🧠 ① 痛みの軽減効果
頭の筋肉や皮膚は、顔や首、肩の筋肉とつながっています。
頭皮に鍼を打つことで、脳内ではセロトニンやオキシトシン、ドーパミンといった神経伝達物質が分泌されやすくなり、自然な鎮痛作用が働くといわれています(※参考:NIH論文)。
肩こりや顎の痛み、緊張型頭痛にも広く応用が可能です。
💇♀️ ② 育毛・美髪の促進
頭皮鍼により局所の血流が改善されることで、毛根や幹細胞の栄養状態が良くなります。
これにより、髪にツヤが出たり、白髪や抜け毛の予防、さらには薄毛改善といった美容面での効果も期待されています。
👀 ③ 眼精疲労・頭痛の緩和
パソコン作業やスマホ使用が続くと、前頭筋や側頭筋に負担がかかります。
これらの筋肉を緩め、血流を改善することで、眼精疲労や片頭痛、顎関節周囲の緊張が軽減されます。
🌙 ④ 自律神経を整え深いリラックスへ
頭皮をゆるめることで、副交感神経が優位になりやすくなります。
これは東洋医学でいう「気血の巡り」を整えることにもつながり、睡眠の質向上やストレス緩和、慢性的な疲労感の解消にも寄与します。
不眠やメンタル面で不安を抱える方にも、おすすめできる施術です。
障がいに特化した頭皮鍼としての展開
ここまでご紹介したように、頭皮鍼にはさまざまな可能性があります。
しかし、「誰に提供するのか?」によって、伝え方や価値の伝わり方は大きく変わってきます。
たとえば、高齢者なら「慢性痛やしびれの緩和」、中年男性なら「育毛」、若い女性なら「美髪とリラックス」、デスクワーカーなら「眼精疲労・頭痛対策」、更年期世代には「自律神経の安定」など。
同じ施術でも、相手のライフスタイルや悩みに合わせて打ち出す内容を変えることで、ぐっと響きやすくなります。
Kagayaは、鍼灸界の中でもマニアックといわれがちな「障がい児・者へのケア」に焦点を当て、
・脳にアプローチする頭皮鍼
・睡眠の質を高めて心身の安定を促す頭皮鍼
として、価値をしっかりと伝えていきたいと考えています。
施術内容は同じでも、「どんな目的で」「どんな人に」提供するのかを丁寧に伝えることで、サービスの意味は何倍にも広がります。
🌟 Price:価格のつけ方はどうする?
「何を提供するか」が定まったら、次に考えるのは「その価値にどれだけの価格をつけるか?」ということです。
鍼灸は医療的な一面もありますが、同時に「ビジネス」でもあります。
医療でも慰安でも、サービスである以上は適正な報酬をいただく必要があります。
価格を決めるとき、まずは「コスト+適正利益」という考え方が基本ですが、現実はそう単純でもありません。
現在、鍼灸院・整骨院・リラクゼーションサロンは全国に数万件あり、コンビニと同じくらいの競争率と言われています。
その中で「価格が高すぎても来てもらえない」「安すぎると信頼されない」というバランスが非常に重要になります。
たとえば、学生向けの施術で1万円を超えてしまえば来てもらえないでしょうし、逆に富裕層向けサロンで3,000円の施術を掲げたら「安っぽい」と思われてしまいます。
価格は誰に届けるのか、そしてどんな価値を伝えるのかによって大きく変わってきます。
🎯 障がい児(者)を対象とした価格設定の考え方
Kagayaが特にケアしたいと考えているのは、重症心身障がい児(者)とそのご家族です。
たとえば、脊髄損傷やALS、パーキンソン病などの中途障がいの方は、ご自身の意思で施術を選び、料金を支払う方が多いです。
専門性が高い分、価格は多少高くても「納得できる」と感じてもらいやすいです。
一方で、重症心身障がい児(者)の場合は保護者の理解と納得がとても重要になります。
「そもそも鍼灸って何?」「本当にうちの子に合うの?」という疑問を持たれる方も多いため、まずは保護者自身に施術を体験してもらうことが鍵になると考えています。
たとえば以下のような構成が効果的です:
- ✔ 保護者向け「自律神経ケア」メニュー
- ✔ 親子セット割引
- ✔ 初回カウンセリング無料
保護者が自分の体で「これはいい」と実感すれば、子どもへの施術にも安心してつなげてくれることが多いです。
Kagayaが目指すのは、単なる施術ではなく、家族ぐるみで「心と体を整える」ためのケア。
その価値を丁寧に伝えていけば、価格に納得していただけると信じています。
・初回カウンセリング+施術(保護者):5,500円(税込)
・重症心身障がい児(者)施術:3,300円(税込)
・親子同時施術:8,000円(税込・訪問費込み)
※あくまで一例です。地域性や家庭の状況に応じて調整予定。
価格は、「高い or 安い」ではなく、「納得して支払えるかどうか」がポイント。
Kagayaは、無理のない範囲で続けられる価格設定と、納得していただける施術内容の両立を目指していきます。
🌟 Place:どこで提供する?訪問型の強み
マーケティングの「4P」において、Placeは本来「流通チャネル(どこで売るか)」を意味します。
しかし、鍼灸治療のようなサービス業においては、「どこで施術を行うか=立地や提供形態」を指すと考えたほうがわかりやすいかもしれません。
たとえば、こんな選択肢があります:
- ✔ 商業テナントでの開業
- ✔ マンションの一室でのプライベートサロン
- ✔ 駅近や大通りに面した路面店
- ✔ 自宅兼施術室
一般的には、人通りの多いエリアのほうが「集客しやすい」と言われますが、その分家賃コストが高く、月々の経営負担が増えてしまいます。
逆に、人通りが少ない場所や住宅街の一室などはコストを抑えられる反面、広告や紹介に力を入れなければ認知されにくいというデメリットもあります。
つまり、自分がどんな価値を、誰に届けたいのかによって、最適な「Place(場所)」も変わってくるのです。
Kagaya自身は、テナント開業ではなく訪問型でのサービス提供をメインに考えています。
その理由については、次の章で詳しくお話ししますね。
🚗 訪問型サービスという選択肢
鍼灸師は、固定の施術所を持たなくても訪問型で開業することができます。
テナントや自宅で施術所を構える場合は、保健所の審査や構造基準を満たす必要がありますが、訪問型では簡易な届出のみで、地域や場所を問わずサービスを提供できます。
特に、外出が難しい障がい児(者)とそのご家族にとっては、自宅で受けられる訪問施術は大きな安心材料です。
頭皮鍼は「座っても横になっても施術可能」「イスとテーブルがあればOK」という点からも、訪問に非常に適した手技です。
また、施設内でのイベントや体験会などでも施術が可能で、省スペースで高付加価値を提供できるのが魅力です。
🌟 Promotion:どうやって知ってもらう?
サービスの内容、価格、提供方法が決まったら、次は「どうやって知ってもらうか?」を考える段階です。
具体的には以下のような方法があります:
- ✔ チラシ配布(ポスティング・施設配布)
- ✔ 口コミ紹介・お客様からの紹介
- ✔ ブログによる情報発信・SEO対策
- ✔ 地域のケア会議やマルシェイベントへの出展
特にKagayaは、SNS(インスタなど)には頼らず、リアルな人とのつながりや、地域密着型の発信に力を入れたいと考えています。
ホームページやブログからの流入は大きな爆発力はありませんが、「信頼を築く情報資産」として、やらないよりは断然やるべきだと感じています。
🏥 関係各所への丁寧な営業活動
障がい児(者)へのアプローチでは、施設や相談員との信頼関係が非常に重要です。
たとえば、
- ✔ 児童発達支援・放課後等デイサービス
- ✔ 重心型の通所・入所施設
- ✔ 地域の相談支援事業所
といった関係機関に、Kagayaの訪問サービスを「医療的ケアの補完として提供できるもの」として紹介していきます。
また、Kagaya自身が医療現場や福祉現場での経験を持っているため、施設スタッフや相談員の気持ちも理解しながら、現場目線で伝える営業を心がけています。
肩こり・腰痛などの一般的な疾患をターゲットにせず、障がい児(者)というニッチで必要性の高い領域に特化することで、差別化された存在として選ばれることを目指しています。
そして、信頼できる知人からの紹介も大切な導線になるので、一人ひとりとのご縁を大事にしていきます。
🌟 まとめ:頭皮鍼は“誰にどう響かせるか”が鍵
「頭皮鍼」という一見シンプルな施術も、マーケティングの視点で深く掘り下げてみると、さまざまな展開の可能性が見えてきます。
Kagayaは、脳へのアプローチと睡眠の質向上をキーワードに、訪問型の鍼灸サービスを展開していきたいと考えています。
これからも、自分の強みを活かして、必要な方に必要なケアを届けるために、試行錯誤を続けていきます。
🌟 まとめ:戦略のある鍼灸は未来をひらく
最近は、ひとりで考えることに限界を感じるようになりました。
だからこそ、これからはもっと多くの人の声に耳を傾け、現場のリアルや失敗談も積極的に学びにいきたいと思います。
鍼灸の技術を磨くことはもちろん大切ですが、届け方・伝え方・続け方も同じくらい大切な技術です。
これからも、必要な方へ、必要なケアが届くように。丁寧に、そして柔軟に、歩んでいきます。
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