
こんにちは。
プライマリ・ケアサポート きらぼし、鍼灸師・看護師のKagayaです。
日々、重症心身障がい児や精神的な不調を抱える方と向き合う中で、改めて東洋医学、そして鍼治療が持つ「治癒の可能性」に希望を感じています。
今回は、鍼麻酔・認知症・メンタルケア・障がい支援・がん治療という難しいテーマについて、Kagaya自身の視点と、最新の研究・臨床事例を交えながら考えていきたいと思います。
🌟 鍼麻酔の未来と可能性
みなさんは「鍼麻酔(しんますい)」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、たとえば「合谷(ごうこく)」や「足三里(あしさんり)」といったツボに鍼を刺し、そこへ低周波通電を行うことで、痛覚の感受性が鈍くなり、痛みを感じにくくなるという方法です。
1958年、中国で鍼麻酔による手術が初めて成功したとされており、その後も医療現場でさまざまな応用が模索されています。
現在では、中国の一部大学病院やドイツ、アメリカでも鎮痛補助療法として研究が進められています[参考:PMC文献]。
Kagayaが注目しているのは、以下のような患者さんへの応用です:
- 🔹 慢性的な痛みでリハビリが進まない高齢者
- 🔹 ガンによる強い疼痛がある方
- 🔹 麻酔薬の副作用リスクが高い重症心身障がい児(者)
特に、麻酔薬に過敏な体質を持つ重症心身障がい児(者)にとっては、全身麻酔のリスクから手術を避けられるケースも多く、鍼麻酔がもし安全に使えるようになれば、治療の選択肢が大きく広がると感じています。
ただし、課題もあります。
鍼麻酔は個人差が大きく、鎮痛効果の再現性には限界があるため、まだ標準医療として普及するには至っていません。
しかしながら、近年では脳波測定やfMRIを用いた科学的検証が進んでおり、安全性や有効性の裏付けが徐々に整ってきています[参考:PAIN誌, 2014]。
将来的には、麻薬性鎮痛薬に頼らず、身体への負担を最小限に抑えた「やさしい麻酔」の選択肢として、鍼麻酔がもっと一般的になる日が来るかもしれません。
現在、低周波治療器をセルフケアに応用できる家庭用機器も増えてきました。
こうした道具をうまく活用することで、治療だけでなく、予防的な「鎮痛ケア」も可能になります。
鍼麻酔の技術と研究が進めば、「痛みによる制限がない日常」を、多くの人が取り戻せるかもしれません。
🌟 認知症と鍼灸ケアの可能性
高齢化が進む現代、認知症を患う方の数は年々増加しています。
Kagayaのまわりでも「最近、物忘れがひどくて…」「家族が診断を受けて」といった声が聞かれるようになりました。
認知症とは、脳に何らかの障害が起こり、記憶・判断力・思考能力などが低下して日常生活に支障をきたす病気です。
医学的には、以下のようなタイプに分類されます:
- 🧠 アルツハイマー型認知症:βアミロイドという異常タンパク質が脳内に蓄積し、神経細胞が破壊されていくタイプ
- 🧠 血管性認知症:脳梗塞や脳出血などの血管障害によって神経細胞が壊死するタイプ
- 🧠 前頭側頭型認知症:前頭葉や側頭葉が萎縮し、性格や行動の変化が現れやすいタイプ
いずれも、「脳の老廃物蓄積」や「血流不足」が原因となっている点が共通しています。
そこで注目されているのが、脳の血流を改善する鍼灸治療です。
東洋医学では「腎は脳髄を主る(じんはのうずいをつかさどる)」という考えがあり、腎の気を補い、血の巡りを良くすることで、脳の機能低下を防ぐというアプローチをとります。
実際に、fMRIを使った研究では、百会(ひゃくえ)や風池(ふうち)などの頭部・頚部のツボへの刺激が、脳内血流を有意に増加させることが確認されています。
また、Kagayaの施術でも、物忘れや注意力の低下を感じていた高齢の方が、「最近ちょっと頭がスッキリしてきた気がする」と感想をくださることがあります。
現在、認知症に使われている薬(アリセプト、メマリー、レミニールなど)は進行を遅らせるのが目的で、根本的な治癒には至りません。
一方で、鍼灸治療には「副作用がほとんどなく」「継続的に行える」「心身を総合的に整える」というメリットがあります。
早期予防、あるいは進行を緩やかにする方法の一つとして、鍼灸はもっと注目されて良いとKagayaは感じています。
なお、家庭でできる脳活グッズも有効です。たとえば以下のようなものがあります:
ご本人だけでなく、ご家族の「ちょっと気になる変化」に気づいたときが、大切なケアのはじまりかもしれません。
🌟 メンタルヘルスと東洋医学の知恵
Kagayaは、東洋医学の勉強をする中でいつも驚かされるのが、古代中国の時代から「心の病」への対処法が数多く記されているということです。
現代では、うつ病、不安障害、統合失調症など、多くの方が長期にわたって精神科に通院し、複数の薬を服用しています。
何年も入院していたり、自殺という悲しい選択をされる方も後を絶ちません。
メンタルの治療は西洋医学が得意とする分野のひとつですが、薬の種類が増えるほど副作用に悩まされる方も多く、「本当にこれで良くなっているのだろうか…」と疑問を感じる場面もあります。
東洋医学では、心の不調は「気・血・津液(しんえき)」の滞りや、五臓のバランスの乱れによって生じると考えます。
特に心(しん)・肝(かん)・腎(じん)の働きが関与するとされ、これらを整えることがメンタルケアに直結するとされています。
実際に、神門(しんもん)・内関(ないかん)・百会(ひゃくえ)・太衝(たいしょう)といったツボには、感情の安定や自律神経調整に対する効果が報告されています[参考論文]。
Kagaya自身も、自然の中で深呼吸をしたり、季節の食材を使った温かい食事をとったりするだけで、気持ちがふっと軽くなることがあります。
薬に頼ることが必要なときもありますが、自然の力と自分自身の感覚を大切にすることが、根本的な回復への第一歩になるかもしれません。
都市生活やSNSの影響で感覚が過敏になっている現代人にとって、東洋医学の「静けさ」や「調和」の概念は、心を守る大切なヒントになると感じています。
メンタルを整えるセルフケアグッズもいくつかご紹介します。
🌟 障がいに対する東洋医学の希望と視点
人間の身体は、切断された手足や奇形を「元通り」に戻すことはできません。
でも、脳や神経、骨には本来「再生しよう」「補おう」とする力が備わっています。
Kagayaは、これまで重症心身障がい児や発達障がいのあるお子さんたちと関わる中で、「治らない」とされてきた障がいの中にも、改善や回復の兆しをたくさん見てきました。
🌿 知的障がい・発達障がいと脳の可塑性
近年、発達障がいや知的障がいはさまざまなメディアで取り上げられ、社会的な理解も少しずつ進んでいます。
この2つは異なる障がいですが、見た目や行動の特徴だけでは判別が難しく、個別性が非常に高いのが特徴です。
「治った」と言われるケースもありますが、実際には、神経が新たにつながったり、学習によって補われた結果として症状が目立たなくなった、というのが実態です。
東洋医学では、脳の働きに対してもアプローチを行います。
特に「百会」「神庭」「印堂」などのツボは、脳の興奮や沈静、血流促進に関与するとされ、集中力や落ち着きを引き出すために用いられています。
また、脳の可塑性(プラスティシティ)が発達障がいの回復に関わっているという研究もあり、鍼灸刺激がこの可塑性を促す可能性も示唆されています。
「障がいがなくなる」ことではなく、その人らしく生きられる状態に近づけること。それが東洋医学の考える「治癒」のあり方です。
🌿 重症心身障がい児(者)へのアプローチ
重症心身障がいとは、知的障がいと身体障がいが重複した状態を指します。
呼吸や嚥下、運動、感覚、感情表現など、日常生活のあらゆる場面で支援が必要になります。
Kagayaは、看護師として医療ケアをしながら、鍼灸師として子どもたちの「動きたい」「伝えたい」という思いに寄り添ってきました。
百会・四神聡・足三里などへの鍼刺激で、覚醒度が上がったり、呼吸や嚥下のリズムが安定する場面もあり、家族の方が涙されることもあります。
リハビリに鍼灸を併用することで、筋肉の緊張を緩めたり、脳の興奮を抑えたりすることも可能です。
西洋医学では限界がある部分も、東洋医学的視点で光が差す場面があると実感しています。
🌿 脊髄損傷と神経再生の可能性
脊髄損傷は、脳と身体をつなぐ神経が傷つくことで、運動や感覚が失われる状態です。
脳は正常。
筋肉も正常。
でも「命令」が届かない。
それでも、人には自然治癒力=神経を再生しようとする力があります。
損傷の程度や部位によって回復の可能性は異なりますが、強い意志と訓練、そして神経への適切な刺激があれば、歩行を取り戻すことも不可能ではありません。
鍼灸では、経絡(けいらく)を通じて神経や筋肉への刺激を与え、循環改善と神経伝達の回復を図ります。
鍼灸と脊髄損傷後の神経再生に関する研究でも、局所の電気鍼刺激によって神経軸索の成長が促されることが示唆されています。
「動かないから諦める」のではなく、小さな変化に希望を見出す医療を、Kagayaはこれからも大切にしていきたいと思っています。
🌟 ガン治療と免疫力の関係
がん細胞という言葉を聞くと、「突然できる恐ろしい病気」と思われるかもしれません。
でも実は、私たちの身体の中では、毎日3,000〜5,000個ものがん細胞が自然に発生していると言われています。
それでも、すべての人ががんになるわけではありません。
それは、免疫細胞(ナチュラルキラー細胞など)が常に監視し、がん細胞を排除してくれているからです。
ところが、ストレス・加齢・睡眠不足・栄養の偏り・冷えなどにより、免疫力が落ちると、この「排除する力」が追いつかなくなり、がん細胞が増殖しやすくなるのです。
「がん細胞がある=がん発症」ではありません。
免疫力が保たれていれば、がんを未然に防ぐことができるのです。
ここで注目したいのが、鍼灸治療による免疫力アップです。
複数の研究で、鍼刺激が免疫系(NK細胞活性、白血球バランス)に影響を与えることが確認されており、慢性疾患に対する鍼灸の補完的効果が報告されています。
Kagayaが施術を行ってきた中でも、がん治療中の方が「吐き気が減った」「気力が出てきた」「眠れるようになった」と感じられることがあります。
がんの進行度によっては、鍼灸だけでの治癒を目指すことは現実的でないケースもありますが、副作用の軽減やQOL(生活の質)の維持に大きな力を発揮します。
たとえば、以下のようなサポートも可能です:
- 🌿 手術や抗がん剤治療の副作用をやわらげる
- 🌿 免疫力の維持と回復をサポート
- 🌿 睡眠や食欲、便通などの体調調整
- 🌿 精神的な不安や不眠の緩和
「病気と闘う」のではなく、自分の身体と仲直りすることが、回復への第一歩になるとKagayaは感じています。
🌟 まとめ|鍼灸の力で「治る可能性」をあきらめない
「鍼灸って本当に効くの?」──医療従事者の中には、そんなふうに疑問を持つ方もいます。
確かに、現代医学のようなエビデンス(科学的根拠)が十分に揃っていない領域もあります。
でもKagayaは、「エビデンスがない=効果がない」ではないと、日々の臨床で強く感じています。
鍼灸は、約4,000年にわたって受け継がれてきた経験医学です。
人の手で触れ、観察し、心身と向き合う中で培われてきた技術と知恵には、目には見えなくても確かな実感があります。
かつて、ある鍼灸の先生がこう言いました。
「時間こそが最大のエビデンスなんじゃないか?」
もし時間が根拠にならないのなら、愛や絆、信頼関係といった目に見えないものはどう説明すればいいのでしょうか。
Kagayaは、「今できることを少しずつ、あきらめずに続けること」が、病気や障がいと向き合う一人ひとりにとっての希望になると信じています。
西洋医学と東洋医学は、対立するものではなく、補い合える関係です。
現代医学で手が届かない「心」「感覚」「自然治癒力」に働きかけるのが、鍼灸の本当の価値ではないでしょうか。
どんなに難しい症状であっても、「少しでも楽になりたい」「自分らしく過ごしたい」と願う気持ちに寄り添うことが、Kagayaのケアの原点です。
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