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鍼灸学生の東洋医学概論まとめノート~陰陽の生理と病証~

2022-11-05

こんにちは。

プライマリ・ケアサポート きらぼし、鍼灸師・看護師のKagayaです。

今回は、鍼灸学生として東洋医学を学ぶ中で、最初にぶつかる「陰陽」の考え方について、Kagaya自身のまとめノートをシェアします。

「陰陽って難しい」「漢字ばかりでわかりにくい」と感じている方に、なるべくイメージしやすく伝わるように、基本用語と病証をセットで整理しました。

これから東洋医学を学ぶ方にも、復習したい方にも、おすすめの内容です。

🌟陰陽の生理とは?|基本用語をわかりやすく整理

陰陽の「生理」とは、それぞれが担う働きのことを意味します。

まずは東洋医学でよく使われるキーワードと一緒に、ざっくり整理してみました。

  • 血・津液・静(=陰)
    滋潤作用(からだを潤す)と寧静作用(落ち着かせる)を担う
  • 気(=陽)
    温煦作用(温める)と推動作用(動かす)を担う
  • 陰虚
    陰が不足し、潤いや静けさを保てない状態(虚熱の症状が出やすい)
  • 陰盛
    陰が過剰で、冷えが強く現れる状態
  • 陽虚
    陽が不足して、体を温める力や活動する力が弱くなった状態
  • 陽盛
    陽が過剰になり、熱っぽさや興奮などの実熱症状が出る状態
  • 滋潤作用
    血や津液による潤いと滋養のはたらき
  • 寧静作用
    からだやこころの動きを穏やかにするブレーキの役割
  • 温煦作用
    全身を温め、寒さから守るはたらき
  • 推動作用
    血や津液、臓腑のはたらきを動かす原動力
  • 虚(きょ)
    からだに必要な精気が不足している状態
  • 実(じつ)
    邪気(病因)が旺盛、または不要なものが溜まっている状態
  • 本(ほん)
    病の根本的な原因・病態
  • 標(ひょう)
    表に現れる症状や二次的な反応

最初は言葉に圧倒されますが、「陰=冷やす・潤す・落ち着かせる」「陽=温める・動かす」とざっくり捉えると理解しやすくなりました。

Kagayaも授業で出てくるたびに「また知らない漢字…」と格闘していましたが、今は臨床でこの考え方がとても役立つと実感しています。

🌟陰陽の病証|4タイプを症状から理解しよう

東洋医学では、陰陽のバランスが崩れた状態を「病証」としてとらえます。

ここでは、鍼灸の授業でも頻出の「陰虚・陰盛・陽虚・陽盛」という4つのパターンについて、それぞれの特徴や見分け方を症状ベースでまとめてみました。

🔥陰虚|潤い不足でほてりや虚熱が出る

陰の機能が低下することで、体を冷やしたり潤したりする力が不足し、結果的に熱がこもったような症状(虚熱)が出ます。

  • 虚熱(からだの奥の熱)
  • 熱感は局所的(のぼせ、手足のほてりなど)
  • 頬の紅潮、盗汗(寝汗)、体が痩せていく
  • 舌質:赤い 舌苔:少ない 脈:細くて速い

❄️陰盛|冷えが強く出る寒実タイプ

寒の邪気が体に多すぎると、「陰が盛んな状態」となり、冷えがつらく感じられるようになります。

  • 寒気が強く、四肢の冷え・顔面蒼白
  • 腹痛・下痢・小便が透明で多い
  • 気虚をともなう場合:疲れやすさ・自汗・息切れ・食欲不振
  • 脈:弱く沈んでいる

❄️陽虚|温める力が弱くて冷えや疲れが出る

陽の機能(温める力)が不足しているために、慢性的な冷えや体のだるさが起こります。

  • 寒がり・四肢の冷え・顔色が白い
  • 下痢・尿が多くて透明
  • 痛み(冷えると悪化)・疲れやすい
  • 舌質:淡い 舌苔:湿っている 脈:遅くて弱い

🔥陽盛|熱が過剰で広範囲に症状が出る

陽が過剰になると、体にこもるような強い熱(実熱)があちこちに現れます。

  • 全身的な発熱・顔の紅潮・口渇・冷たい飲み物を好む
  • 多弁・怒りっぽい・便秘・尿が少なく濃い
  • 舌質:赤く 舌苔:黄色 脈:速くて力強い

こうして並べてみると、同じ「熱」や「冷え」の症状でも、その背景にある陰陽の状態によってアプローチが異なることがよくわかります。

Kagaya自身も、授業や実習で「なんでこの症状が出てるんだろう?」と悩んだときに、この4つの視点に立ち返るとスッキリ整理できるようになりました。

🌟陰証と陽証の見分け方|東洋医学的な観察ポイント

陰陽の病証を見分けるときには、症状だけでなく、舌の色や声の調子、脈の強さなど、五感を使った観察がとても重要になります。

ここでは「陰証」と「陽証」の違いを表にまとめてみました。

実際の臨床や勉強のときに、照らし合わせて使えるようにしてあります。

観察項目陰証の特徴陽証の特徴
顔色明るく紅潮(血色良い)
※黄疸は明るい黄色
暗く黒ずむ・紫色がかる
※黄疸は暗黄色
舌の色淡い〜明るい赤赤みが強く青紫を帯びる
尿の色濃く、短いことが多い淡く、長い・多い
腫れの色赤く腫れる色の変化少ない/青暗色
腫れの質適度に硬い極端に硬い/軟らかすぎる
腫れの形高く盛り上がる平坦・凹み気味
浮腫(むくみ)押して戻る(弾力あり)押すと凹んで戻らない
声の特徴大きな声、話が多い声が弱く、話したがらない
痛みの感じ方押すと悪化するさする・押すと楽になる
脈の様子力強く、速い力弱く、遅い
病気の性質急性が多い慢性が多い

こうして一覧で見ると、陰証は「内側が充実・実熱寄り」、陽証は「虚・冷え傾向」というイメージがつかみやすくなります。

Kagayaも実際の臨床で、声の調子や顔色、むくみの状態を見るだけでも、どちらに傾いているかがなんとなくつかめるようになりました。

患者さんとのやり取りの中で、五感を総動員して観察する力を養っていくことが、東洋医学を使いこなす第一歩です。

陰陽の病理

▼あわせて読みたい:五行論とセットで学ぶと、さらに理解が深まります。

🌟参考文献|Kagayaおすすめの東洋医学入門書

ここでは、Kagayaが鍼灸学校に入学する前に読んでいた本や、授業の理解を助けてくれた入門書をご紹介します。

はじめは漢字だらけで「何が書いてあるのか…」と正直くじけそうになりましたが、授業と並行して読むうちに「こういうことか!」と少しずつ理解できるようになりました。

今では「授業の補助資料」としても「独学で東洋医学を始めたい人」にとっても、とても役立つ本だと感じています。

『中医学の仕組みがわかる基礎講義』
講義形式で話が進むスタイルで、読みやすく図も豊富。「システマチックな思考」が苦手な人でも理解しやすい構成になっています。

『オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書』
視覚的にとても分かりやすく、全ページフルカラー。初学者にやさしい1冊です。学校の課題やテスト対策にも活躍しました。

『最新カラー図解 東洋医学 基本としくみ』
図解中心で、流れをつかみやすい構成です。短時間で要点を押さえたい方におすすめ。

どれも東洋医学を学ぶうえで、「基礎づくり」にぴったりの1冊です。内容の重なりもあるので、まず1冊選んで手にとってみてくださいね。

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