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広告 きらぼし通信

東洋医学で考える発達障がいとは?その特性とアプローチ方法

2024-03-02

こんにちは。

プライマリ・ケアサポート きらぼし、鍼灸師・看護師のKagayaです。

東洋医学の教科書を読んでいると、「昔の人たちも今と同じように心の不調に悩んでいたのかな?」と思うことがあります。

特に、精神的な症状や“心の病”についての記述がとても多く、興味深いのです。

現代でも「体がつらいけど、心は元気」という人はあまりいませんよね。

やっぱり、心と体はつながっています。

Kagayaも今、鍼灸国家試験に向けて勉強中で、2025年の第33回試験を受験予定です。

使っているのはこちらの教科書👇

この教科書には、西洋医学と東洋医学の両方の視点から症状や病態が書かれていて、「わかりやすいようで難しい…」と感じることも・・・

2026年(第34回)以降の国家試験では、この教科書からの出題範囲も広がると言われていて、ますます気が抜けません。

読むだけなら面白いのに、いざ試験となると事例問題などで「え、これが正解?」と納得できないこともありそうで、少し複雑な気持ちになります。

でも、せっかく学んでいるなら、実際の臨床やケアに役立てたい。

そんな想いで、この教科書にある「東洋医学から見た発達障がい」の内容を、Kagayaなりにまとめてみました。

🌟 発達障がい(神経発達症群)について

「目が合わない」「じっとしていられない」「急に怒り出す」──お子さんのそんな行動に戸惑うことはありませんか?

こうした特徴が強くみられる場合、「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如・多動症(ADHD)」「学習障害(LD)」といった神経発達症群、いわゆる発達障がいの可能性が考えられることがあります。

これらは生まれつきの脳の発達特性によるもので、育て方のせいではありません。

特性によっては、集団生活や日常の場面で困難が生じることもあります。

近年は「発達障がい」が注目される機会が増え、保育園や学校などで「一度病院を受診してみては?」と勧められるご家庭も多くなっています。

ただ、Kagaya自身の看護や療育の現場経験から言うと、「診断」は医師の専門性に左右される部分もあり、誤診や過剰診断のリスクもあると感じています。

それでも、もしお子さん自身やご家族が「生きづらさ」を感じているなら、それは支援や療育の対象になります。

診断があってもなくても、困っているならサポートを受けてよいのです。

「病院に行くのはちょっと抵抗がある…」という方は、地域の発達支援センターや子育て支援の窓口でも相談できます。

Kagayaのように訪問でのサポートを行っているところもありますので、一人で抱え込まないでくださいね。

🌟癇癪とは?その意味と特徴

癇癪(かんしゃく)は、子どもが感情をうまく言葉で表現できず、声を荒げて泣いたり、手足をバタバタさせたり、人や物にあたってしまったりする状態を指します。

これは「感情のコントロール機能」がまだ未熟なために起きる、ある意味“自然な現象”でもあります。

つまり、癇癪=発達障がいではありません。

とはいえ、年齢が上がるにつれて少しずつ感情を調整する力は育っていきます。

もし3歳以降になっても、激しい癇癪が頻繁に続くようであれば、発達特性の一つとして注意して見ていくことも大切です。

「いつまでたっても癇癪が収まらない」「きょうだいと比べても違いが気になる」など、気になる場合は早めに専門家に相談することで、ご家庭での対応も楽になることがあります。

この後は、東洋医学の視点から見た「癇癪」や「発達障がい」の捉え方と、セルフケアや鍼灸を活用したアプローチについて詳しくお話ししていきます。

🌟 東洋医学からみる「癇癪」と発達の関係

東洋医学では、子どもの激しい癇癪や情緒の不安定さを「小児肝鬱(しょうに かんうつ)」という病態でとらえます。

これは、「肝の気」がうまく巡らず、心と体の調和が乱れてしまっている状態です。

専門的には「肝鬱気滞(かんうつきたい)」とも呼ばれます。

肝は、情緒をスムーズに保つ働きを担っており、この“気のめぐり”が感情と深く関係しています。

ストレスや感情の乱れが長引くと、気が滞り、結果として「癇癪」や「不機嫌」「暴れやすさ」などの症状が出やすくなります。

ただし、東洋医学では、こうした「小児肝鬱」は子ども自身だけでなく、妊娠中の母体の影響が大きいとも考えられています。

たとえば、妊娠中にお母さんが強いストレス(不安・怒り・焦り・悲しみなど)を感じ続けていた場合、その感情による「気の乱れ」が胎児にも影響を及ぼすとされているのです。

これは「母子一体(ぼしいったい)」という東洋医学の基本的な考え方に基づいています。お母さんの“肝の気”が滞れば、生まれてきたお子さんもその影響で肝鬱の傾向をもつ可能性がある、というわけです。

そのため、出産後のお子さんに癇癪や情緒不安定が見られる場合、Kagayaはお母さんの産前・産後の体調や心の状態を伺うことが多いです。

小児肝鬱の状態になると、肝の疏泄(そせつ:気をめぐらせる働き)が過剰になり、「気」が頭に昇りやすくなります。

結果として、感情が爆発しやすくなり、癇癪として表れます。

発達障がいと診断されている子どもたちの中にも、この「小児肝鬱」の傾向が強く見られることがあり、Kagayaは東洋医学の視点からアプローチすることがよくあります。

薬に頼らず、やさしく「気の流れ」を整える──それが東洋医学ならではのケアの魅力です。

🌟 東洋医学からみる治療法とは?

「小児肝鬱」の治療では、滞っている“肝の気”をやさしく整えて、心と体のバランスを回復させることが目的です。

Kagayaがよく使うのは以下のツボです:

  • 太衝(たいしょう):足の親指と人差し指の間にあるツボで、気の流れを整え、イライラを鎮める効果があります。
  • 肝兪(かんゆ):背中にある肝の反応点で、情緒の不安定さを緩和します。
  • 期門(きもん):みぞおちのあたりにあり、ストレスを緩めるツボです。
  • 内関(ないかん):手首の内側にあるツボで、不安や吐き気にも対応します。

もし、お子さんが鍼に慣れていたり、少し年齢が上がっていれば、細くて柔らかい毫鍼(ごうしん)を使用することも可能です。

ですが、実際のところ、鍼に対して怖がったり嫌がったりする子も多いのが現実。

そこでKagayaがよく活用しているのが「刺さない鍼」です。

刺さない小児鍼の写真

このような専用の「刺さない鍼」は、皮膚の上をやさしくなでるだけ。痛みや刺激もほとんどなく、お子さんも安心して受けられます。

また、特別な道具がなくても、ご家庭にある「スプーン」の背でなでるだけでも、十分に気の流れを整える効果が期待できます。

お子さんの肌にやさしく触れて、笑顔で「なでなでタイム」を過ごすことが、実は一番の治療かもしれません。

🌟 ご家庭でできるセルフケア

専門家によるリハビリ療育や鍼灸治療ももちろん効果的ですが、日々の暮らしの中でできる小さなセルフケアこそ、子どもの心と体の安定に大きくつながります。

ここでは「睡眠リズム」と「スキンシップ」に焦点を当てたセルフケア方法をご紹介します。

睡眠リズムを整える

東洋医学では、夜は「肝血(かんけつ)」が養われる大切な時間とされています。

つまり、しっかり眠ることが、子どもの情緒の安定や成長に深く関わっているのです。

発達障がいのあるお子さんは、睡眠に課題を抱えていることが少なくありません。

「寝つきが悪い」「夜中に目が覚めてしまう」「朝がぐずぐず」など、日常の困りごとにつながりやすいですね。

「リズムを整えましょう」と言うのは簡単ですが、実際にはとても大変なこと。

Kagayaも「できたら苦労しないよね…」と感じる日々もあります。

それでも、毎日同じ時間に起きる・寝る、就寝前の光を減らす・入浴のタイミングを一定にする、といった“ちょっとした習慣”の積み重ねが、リズムの土台になります。

プラネタリウムやヒーリングソングなどを取り入れて、就寝前に「入眠儀式」をつくることです。

スキンシップの力を侮らない

東洋医学でも西洋医学でも、スキンシップは子どもの情緒安定に欠かせないとされています。

西洋医学の視点では、スキンシップによって「オキシトシン」という“愛情ホルモン”が分泌されることがわかっています。

これは不安を和らげ、親子の信頼関係を深め、脳の発達にも好影響を与えると言われています。

一方、東洋医学では「肌をなでること」が“気の巡り”を良くするとされています。

肝鬱気滞のような状態も、やさしいスキンシップで改善の方向に向かうことがあります。

特におすすめなのが、お風呂上がりにタオルで身体を拭くときに「気持ちいいね〜」「がんばったね〜」と声をかけながら、ていねいになでること。

これだけでも十分立派な“気のケア”です。

また、先ほど紹介した刺さない小児鍼やスプーンの背を使って、軽く背中や手足をなでるのもおすすめです。

「手のひら」は最高のセラピスト。

お子さんの不安定な気を整える、魔法のようなツールだとKagayaは思っています。

🌟 まとめ|心と身体を整えることから始めよう

発達障がいは、脳の発達に特性があることで、子どもの成長に「偏り」や「個性」が現れる状態です。

その特性に合わせて、療育やリハビリを通じて少しずつ「できること」を広げていく──これは多くのご家庭が取り組んでいることだと思います。

ただ、その学びやすさ・吸収のしやすさは、子ども自身の“こころとからだの安定”があってこそです。

西洋医学では薬によって症状を抑える方法もありますが、副作用や依存の心配もあり、使いどころに悩まれる方も少なくありません。

一方で東洋医学は、体のバランスを整えることで自然に心も安定させていくアプローチ。

副作用が少なく、やさしく寄り添うことができるのが特徴です。

Kagayaは、「療育のスタート地点は“整えること”」だと考えています。

お子さんの本来の力を引き出すために、まずは家庭でできるセルフケアやスキンシップ、鍼灸などの東洋医学の知恵をぜひ取り入れてみてください。

心と身体が整うことで、子どもの笑顔や「できた!」の瞬間が、きっともっと増えていきます。

もしご家庭でのケアに不安がある方や、東洋医学的なサポートにご興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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