
こんにちは。
プライマリ・ケアサポート きらぼし、鍼灸師・看護師のKagayaです。
ある日、カニューレバンドの作り方を調べていたら、ふと「胃ろうパット」や「ベグカバー」といった名前の商品が目に留まりました。
どうやら、Yガーゼの代わりに胃ろうボタンの周囲に挟んで使うものらしく、ハンドメイド販売もされているようです。
そういえば、最近ヘルパーさんたちが「胃ろうに挟まっている布って何ですか?」と、よく分からない様子で聞いてきたことを思い出しました。──いや、それ、Kagayaも最初は何かと思ったくらいです(笑)。
胃ろうボタンの「あそび」が多い人にスポンジたわしを加工して挟んでいる人を見たことがあったけど、皮膚トラブルがなければ何も付けないケースもありますし、ちょっとした浸出液があればティッシュを巻く、という対応もあります。
医療物品が豊富な病院やクリニックでは、Yガーゼを使っていることが多く、浸出液が多い場合は「ラップキュアドレッシング」や「メロリンガーゼ」を処方されることもありますよね。
でも、「胃ろうパット」なる商品として手作りされているとは、正直、盲点でした。
ネットでハンドメイドの医療ケアグッズを探していると、本当にいろいろなアイデアがあって、「あぁ…これは愛情から生まれた工夫だな」と感動することも多いです。
手作りで工夫されているのは、カニューレバンドだけじゃなかったんですね。
ただ、看護師として気になるのはやはり「衛生面」。
浸出液が出ている状態で、布地を当てるって本当に大丈夫?と思うところもあります。
でも吸水性があって、肌触りの良い素材を選べば、しっかりと浸出液を吸収してくれて、皮膚トラブルの予防にもなるかもしれません。
しかも、洗濯して繰り返し使えるとなれば、経済的にも衛生的にも魅力的。
そして何より──見た目がかわいい!これは、ケアを受けるご本人だけでなく、介助する側の心にも優しさを与えてくれる大事なポイントだと思いました。
そんな思いから、Kagayaも「胃ろうパット」の試作を始めてみることにしたのです。
🌟 西洋医学・東洋医学から見る皮膚トラブルと対策
西洋医学では、浸出液による皮膚の湿潤環境がマセレーション(皮膚のふやけ)を引き起こし、皮膚炎や感染のリスクを高めることが知られています(参考:日本褥瘡学会ガイドライン)。
一方、東洋医学では「湿邪(しつじゃ)」の影響として、皮膚のトラブルや痒み、化膿などが起こりやすくなるとされます。
特に「脾虚湿盛(ひきょしつじょう)」タイプの方は、体内の水分代謝がうまくいかず、皮膚に湿潤が残りやすいのです。
🌟 あなたにも当てはまる?皮膚トラブルのセルフチェック
- 胃ろう部分に湿った臭いがある
- 赤みやただれが起きやすい
- Yガーゼがすぐにびしょびしょになる
- 肌にティッシュがくっついてしまう
- 肌触りが良くて洗えるものが欲しい
1つでも当てはまる方には、手作りの胃ろうパットがケアの助けになるかもしれません。
🌟 胃ろうケアは清潔がいちばん!衛生的に使える素材とは?
胃ろうボタンの周囲に巻くYガーゼやティッシュは、実は必ずしも滅菌である必要はありません。
でも、いざ「布地」を当てるとなると、なんだか衛生的に不安を感じてしまいませんか?
特に、浸出液でジュクジュクしている皮膚に布を当てる…と考えると、「本当にこれで大丈夫なのかな?」という気持ちになります。
たとえば、創傷処置の現場では、ワセリンなどで皮膚を保護してからガーゼをあてますよね。
それなら、素材もガーゼ生地を使えば良いのか?と一瞬思いました。
でも最近は、布ナプキンのように、デリケートな部分にネルやダブルガーゼを当てて皮膚トラブルを軽減するという方法も広まっています。
「じゃあ、胃ろうのまわりにも同じようにやさしい布を当ててあげるのもアリなんじゃないか?」と思い、探してみました。
そこで見つけたのが、抗菌加工された布地「CLEANSE®(クレンゼ)」でした。
このクレンゼは、繊維上の特定の細菌の増殖を抑制する「Etak®」という固定化抗菌成分を使用しており、50回の洗濯後も抗菌機能が維持されるとされています(※倉敷紡績公式サイトより)。
肌に直接当てるものだからこそ、こういった安心できる素材が選ばれているのは大事ですよね。
気休めかもしれませんが、抗菌機能があるだけで「大丈夫そう」と思えるのも、心理的にうれしいポイントです。
ちなみに、色のバリエーションも豊富ですが、Kagaya的には「生成り(きなり)」が一番おすすめ。
真っ白だと汚れが目立ちすぎるし、濃い色だと逆に衛生的に見えないこともあります。
好みはあると思いますが、「Yガーゼの代わり」として考えるなら、白や生成りがやっぱり無難かもしれません。
Amazonでも「クレンゼ®」の生地は購入できます。
気になる方はこちらからチェックしてみてください。
▶ 抗菌・防臭素材 CLEANSE® クレンゼ 生地(綿100%)
肌に直接触れる面はこのクレンゼを使って、吸水側にはネル生地を重ねることで、より快適に使える胃ろうパットができあがります。
ただし注意点もあります。
浸出液が多くてカピカピに固まってしまうと、パッドが皮膚に貼り付いて、はがすときに皮膚を傷つけることもあるんです。
そのため、吸水力と肌離れのバランスが良い素材を選ぶのがとても重要です。
理想は「浸出液が張り付いても、皮膚を傷つけずに剥がせる素材」ですね。
今後は、その点にもこだわって、より肌にやさしく、衛生的に使える手作りパッドの研究を続けていきたいと思います。
🌟 ケアに彩りを添えるやさしいデザインの工夫
市販されている胃ろうパットを見てみると、定番はやっぱり「円形」が多い印象です。
でも、Yガーゼのような「四角い形」のものも見かけました。
さらに素敵なのが、「ツリーの形」や「動物のアップリケ」など、かわいさ満点のデザインがあること。
まるでフェルトマスコットのようなパッドもあり、見ているだけで気持ちが和みます。
もちろん、胃ろうをつけている本人には見えづらいかもしれません。
それでも、毎日のケアで目にする介助者の立場からすれば、無機質なティッシュやYガーゼよりも、こんな温かみのあるデザインがそっと心を癒してくれるのではないでしょうか。
Kagayaも、現場で毎日ケアをしながら「ほんの少しでも気分が上がる工夫があれば、介護ってもっと楽になるかもしれない」と感じてきました。
パッドに刺繍を入れたり、好きな布で個性を出したり、柄を左右非対称にして会話のきっかけにしたり。
ちょっとした「見た目の工夫」が、日々の医療的ケアに優しさと彩りを加えてくれます。
「使いやすさ」だけでなく、「心地よさ」や「癒し」を届けるデザイン──それもまた、ケアの大切な要素なのではないかと思います。
🌟 清潔を保つために──洗濯・お手入れのポイント
胃ろうパットは皮膚に直接触れるうえ、浸出液が付着することもあるため、清潔を保つことがとても大切です。
汚れたままの状態で使い続けると、かぶれや感染のリスクが高まってしまいます。
だからこそ、しっかりと洗濯して再使用することが基本。
でも、手作りのものって「すぐヨレてしまいそう」「壊れたらどうしよう」って思いがちですよね。
実際には、多くのハンドメイド胃ろうパットは、綿100%のしっかりした生地で作られていて、洗濯機にも対応しているものがほとんどです。
大事なのは「仕立ての丁寧さ」。
ミシンで二重に縫ってあったり、返し縫いがしっかりしていれば、簡単には型崩れしません。
ただし、小さなサイズのものなので、洗濯ネットに入れて洗うのがおすすめ。
ネットに入れることで、型崩れや他の衣類との絡みを防ぎ、長持ちしやすくなります。
洗濯機の「おしゃれ着コース」や「手洗いモード」が使える方は、ぜひその機能も活用してみてください。
優しく洗うことで、布地の風合いや形も保ちやすくなります。
中には、「皮膚がとてもデリケートで、市販の布でも刺激が強い…」という方もいらっしゃるかもしれません。
そんな場合には、シルク素材のパッドを使用するのも選択肢の一つ。
お値段は少し張りますが、そのぶん肌へのやさしさは抜群です。
ただしシルクはデリケートな素材なので、「中性洗剤」や「シルク用洗剤」でやさしく手洗いすることが大切です。
脱水も軽く行い、陰干しを推奨します。
どんな素材であっても「使って→洗って→また使う」この循環がきちんとできること。
それが、胃ろうパットを安全かつ気持ちよく使い続けるためのポイントです。
🌟 胃ろうパットの作り方と留め具の工夫
作り方については、「NICO.LAB」さんのブログを参考にさせていただきました。
いろいろ見てきた中で、一番わかりやすく丁寧に紹介されているなと感じたからです。
ただ実際に作ってみると、返し口が「挟む側」にあるとひっくり返しづらかったので、私は「外側」に返し口を作って、より返しやすく改良してみました。
胃ろうの状態や体位、生活スタイルは人それぞれ。
だからこそ、かわいくて実用的な形にできたら嬉しいですよね。
ところで、多くの市販品では「簡易式スナップボタン」が使われています。
確かにカンタンに取り付けられて便利ではありますが、厚みが気になったり、寝た時に当たることがあったり…。
もっと良い方法はないかな?と思い、いろいろな留め具で試作してみました。
🧵 糸ループ+ビーズ


ダイソーで買ったビーズをボタンにして、糸ループで留められるようにしてみました。
見た目がとってもかわいいですし、アレンジの幅も広がります。
ただ、ちょっと厚みがあるので、腹臥位(うつ伏せ)になるとゴロつきが気になるかもしれません。
ふんわり中綿を入れて、クッション性を出すと改善する可能性もあります。
🔘 スタンダードなスナップボタン


市販品でもよく使われているスナップボタン。
工具不要タイプなら簡単に取り付けられますし、表からは目立ちにくくて見た目もすっきり。
出っ張りも少なめなので、横になる時間が長い方にも比較的使いやすい印象です。
汎用性が高く、初心者にもおすすめの留め具です。
🔗 マジックテープ(面ファスナー)


こちらはマジックテープ(面ファスナー)で留めるタイプ。
開閉がしやすく、力が弱い方でも扱いやすいのが特長です。
ただし、オス(ザラザラ)部分が肌に当たると刺激になることがあるので、付ける位置には注意が必要です。
ついでに縁をブランケットステッチで飾ってみたら、手作り感がアップしてちょっと気分も上がりました♪
それぞれの留め具にはメリット・デメリットがあるので、使う方の体位・皮膚状態・介助のしやすさなどを考えて、ぴったりの仕様を見つけてみてくださいね。
🌟 購入する前に確認したいポイント──素材は要チェック!
最近では、minneやCreema、BASEなどのハンドメイド販売サイトで、胃ろうパットも多く出品されるようになりました。
かわいらしい柄や、刺繍入りの個性的な作品もあって、見ているだけでも癒されますよね。
でも、医療ケアに使う以上、やっぱり「見た目」だけでなく「素材」も大事にしたいところです。
というのも、素材によっては肌に合わず、かぶれや湿疹などの皮膚トラブルを起こしてしまうこともあるからです。
出品者の多くは、障がい児のお母さんや看護師さんなど、実際のケア現場をよく知っている方々が多く、配慮された素材選びをしているとは思います。
でも、中にはポリエステルやナイロンなどの化学繊維100%のものや、複数の繊維を混ぜた「混紡」生地で作られていることもあります。
もちろん、化学繊維が悪いというわけではなく、機能性が高くて通気性や速乾性に優れたものもたくさんあります。
ただ、特に皮膚が弱かったり、浸出液が出ている状態の場合は、できるだけ天然繊維100%(綿やガーゼ)の生地をおすすめしています。
Kagayaとしては、素材を購入する際にも、「肌に優しいか」「吸水性があるか」「繰り返し洗えるか」を基準に選んでいます。
肌に直接触れるものだからこそ、ぜひ商品説明やレビュー、素材名をしっかり確認してから購入していただけたらと思います。
もし迷ったら、「綿100%」や「ダブルガーゼ」「ネル生地」などが、胃ろうパットにはやさしくて安心な選択肢ですよ。
🌟 Kagaya式!手作り胃ろうパットの素材と工夫
市販されている胃ろうパットには、さまざまな素材がありますが、私が注目したのは以下の3点です。
- 肌触りのよい吸水性素材(ネル・ダブルガーゼ)
- 抗菌機能付き布地「クレンゼ®」
- 洗濯耐久性と乾きやすさ
クレンゼはSEKマーク付きの抗菌素材で、医療現場でも使用実績があります。Amazonなどでも購入できます。
肌に当たる側にはクレンゼ、吸水側にはネル生地を重ねて、デザインは丸型・四角型・星型など、ケアを受ける人にも介助する人にもやさしい見た目にしてみました。
🌟 Kagayaおすすめ!使いやすい手作り材料3選
以下は、私自身が試してみて良かったと思える素材・道具です。
- 抗菌布地「クレンゼ®」
- 肌にやさしいネル生地(綿100%)
- スナップボタン(工具不要タイプ)
これらを使えば、初心者でも簡単にかわいくて衛生的な胃ろうパッドが作れます。
🌟 まとめ──ケアにやさしさと実用性を
これまで、ティッシュやYガーゼで胃ろうの周囲をケアしていた方が、皮膚トラブルに悩まされているのを何度も見てきました。
Kagaya自身も、胃ろうパットの存在を知らなかった頃は、「何かいい方法はないかな?」とあの手この手で工夫していました。
そして、やっとたどり着いたのが「メロリンガーゼ」でした。
でも、もしその時に、こういったやさしい手作りの胃ろうパットに出会っていたら──もっと早く、皮膚トラブルが改善していたかもしれない。
そう思うこともあります。
今回、Kagaya自身が試作品を作ってみたことで、あらためて「見た目のかわいさ」と「機能性」の両立が大事だと実感しました。
まだまだ改良の余地はたくさんあります。
でも、ケアを受ける人にも、支える人にも、やさしい選択肢を届けられたら──そんな気持ちで、これからも改良を重ねていきたいと思います。
同じように悩んでいる方のヒントになれたら、とても嬉しいです。
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🌟 参考文献・データ
- 日本褥瘡学会「褥瘡予防・管理ガイドライン 第4版」
- 倉敷紡績株式会社「CLEANSE®抗菌機能について」