
こんにちは。
プライマリ・ケアサポート きらぼし、鍼灸師・看護師のKagayaです。
ここ数年、医療・福祉の現場では「低賃金」「長時間労働」「雇用形態による格差」など、看護師を取り巻く厳しい労働環境が話題になっています。
その解決策として、2019年から「働き方改革関連法」が施行され、国もようやく本腰を入れて取り組み始めました。
厚生労働省のホームページには、働き方改革についてわかりやすくまとめたパンフレットもあります。
▶働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて
▶働き方改革関連法に関するハンドブック(時間外労働の上限規制など)
今の働き方に違和感を覚えている方は、一度目を通してみるのもおすすめです。
そしてこの流れを受けて、「副業」や「起業」を選択肢とする看護師も増えてきました。
時代は、看護師も起業する時代です。
看護学校を卒業し、一つの病院に長く勤めることも素晴らしいことです。
でも、「いくら頑張っても給料が上がらない」「忙しすぎて理想の看護ができない」「人間関係がつらくて毎日がしんどい」と感じている看護師も多いのではないでしょうか。
かつてのKagayaも、雇われる働き方に限界を感じながら、なんとか踏ん張ってきたひとりです。
そして思い切って「鍼灸師として独立する」という道を選びました。
自分の理想の職場は、自分でつくる。それが、Kagayaにとっての本当の「働き方改革」でした。
🌟看護師の給与事情
看護師の平均収入はどのくらい?
看護師は「安定していて稼げる」と思われがちですが、実際にはどうでしょうか?
厚生労働省の「令和3年 賃金構造基本統計調査」によると、2021年の看護師の平均年収は498.6万円でした。
(参照:厚生労働省:令和3年賃金構造基本統計調査)
ここ数年でわずかに上昇傾向にはあるものの、ここから所得税・住民税・社会保険料などが差し引かれるため、実際の手取り年収は360〜390万円程度に落ち着きます。
つまり、月収ベースで見ると手取り25〜27万円ほどが現実的なラインなのです。
Kagayaも病棟勤務時代は、まさにこの「平均的な給与水準」の中で生活していました。
夜勤手当や残業代に頼らなければ生活がきついと感じることもありました。
生活費、子どもの教育費、老後の備え…すべてを考えると、「今の収入で本当に足りるのか?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
では、どうすれば看護師として年収600万円を目指すことができるのでしょうか?
看護師給与の内訳とは?
一口に「年収○○万円」といっても、内訳によって手取りや待遇に大きく差が出るのが看護師の給与の特徴です。
Kagayaもこれまで複数の法人で勤務してきましたが、給与の構成や算出基準は職場によって本当にバラバラでした。
基本給
給与の「土台」となる部分で、各種手当や賞与(ボーナス)の算出基準にもなります。
この基本給の金額は、職場ごとの給与規定や経験年数によって決まるため、同じ職種でも大きく差がつくことも。
各種手当
基本給で補えない部分をカバーするための手当です。
よくあるのは以下のようなもの:
- 通勤手当
- 住宅手当
- 資格手当
- 危険手当
注意すべき点は、多くの職場でボーナスの計算には「基本給のみ」が使われること。
つまり、基本給が低くて手当が高めな給与構成だと、ボーナスが極端に少なくなる可能性があります。
求人を見るときは、手当の内訳と合わせて「基本給の割合」を必ずチェックしましょう。
時間外勤務給(残業・夜勤手当)
法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働いた場合、25%増しの時間外手当を支払うことが法律で定められています。
夜勤手当や深夜割増などもここに含まれ、勤務時間や回数によって金額に大きな差が出ます。
夜勤の多い病棟勤務などでは、この手当の占める割合が高く、収入アップにつながる反面、身体的・精神的な負担も大きいことを忘れずに。
ボーナス(賞与)
ボーナスは夏・冬に支給されることが多く、「年収」に大きく影響する要素です。
ただし、ボーナスの支給は法的義務ではありません。
たとえ正職員であっても、以下のように職場によって方針が異なります:
- 月給が高い代わりにボーナスなし
- ボーナス一律1万円
- 業績連動で支給の有無が決まる
- 完全に賞与制度がない
「正職員=ボーナスがある」とは限らないので、事前に確認しておくことがとても大切です。
Kagayaも昔、「ボーナスありと聞いていたけど実際は一律3万円だった…」という職場を経験したことがあります。
求人票と現実は違うこともあるので、要チェックです!
🌟看護師が年収600万円を実現する5つの働き方
「看護師で年収600万円って、本当に実現可能なの?」と思う方もいるかもしれません。
実は、Kagayaもそう思っていたひとりです。
だけど、現場でさまざまな働き方をしてきた今ならわかります。
看護師が年収600万円を稼ぐことは、決して夢ではありません。
ただし、それには工夫と戦略が必要です。
以下に、実際によくある「年収600万円を達成するための働き方パターン」をまとめました。
- 正職員で20年以上の勤続を続ける
- 中間管理職(看護師長など)の役職に就く
- 夜勤専従で働く
- ダブルワーク(非常勤・副業)で収入アップ
- 単発バイトをこなして収入を補う
これらの方法にはそれぞれにメリットとデメリットがあり、どれが正解かは人それぞれです。
次のセクションでは、Kagaya自身が実際に体験した方法も含めて、それぞれの働き方について詳しくご紹介していきます。
あなたのライフスタイルや価値観に合った働き方を、ぜひ見つけてみてくださいね。
正職員で20年以上勤続する
最近では転職が当たり前の時代になっていますが、看護師業界はまだまだ年功序列や終身雇用の文化が根強く残っています。
実際、Kagayaが働いてきた病院でも、勤続年数が長いほど役職や給与が自然に上がっていく「安定型のキャリアルート」が主流でした。
例えば、看護学校を卒業した20代前半から、コツコツと20年以上正職員として勤務を続けていけば、40代頃には年収600万円台に到達するケースも珍しくありません。
これは、長く勤務することで「基本給が自動的に上がっていく」ためです。
そして、基本給が上がれば、それに連動して賞与(ボーナス)も増加します。
つまり、新人のころは手取りが少なくても、時間をかけて確実に年収を積み上げていけるのがこの働き方の特徴です。
ただし、その分「異動・夜勤・人間関係・役割責任」なども比例して重くなることが多く、体力・精神力が求められるのも事実です。
長く安定した働き方を望む方には合っていますが、柔軟さや自由な働き方を求める方には少し窮屈に感じるかもしれません。
中間管理職(師長・部長など)の役職に就く
看護師として収入を上げるもう一つの道が、「中間管理職」や「看護部長」などの役職に就くことです。
管理職になると役職手当がつき、基本給も上がるため、年収600万円以上も現実的なラインになります。
ただし、向き・不向きがはっきり分かれるポジションです。
経営視点やマネジメントに長けていて、「人をまとめること」「数字や会議が苦ではない」タイプの人には向いていると思います。
でも、Kagayaのように「現場で直接患者さんと関わるのが好き」というタイプには、ちょっと違う道かもしれません。
実際に管理職になると、以下のような業務が増えてきます:
- 職員のシフト・人員管理
- 勤務評価や面談
- 部署運営に関する会議や書類仕事
- 患者さんやご家族からのクレーム対応
責任が重くなるぶん、ストレスも比例して大きくなると感じる方も多いです。
Kagayaは「目指したことも、選ばれたこともありません(笑)」
ただ、管理職が向いているタイプの方にとっては、確実に収入アップが期待できる選択肢であることは間違いありません。
夜勤専従で働く
夜勤専従の求人を見ると、正職員なら月給40万円以上、非正規でも1勤務あたり3万円前後という高収入の案件が目立ちます。
実際、給与面だけを見ると「夜勤専従」は年収600万円を目指すための最短ルートのひとつです。
夜間は患者さんも眠っている時間帯が多いため、「業務はそこまで多くない」と感じる人もいるかもしれません。
でも、体への負担は相当なものです。
Kagayaも実は、かつて夜勤専従のバイトを経験したことがあります。
給与の良さに惹かれて始めましたが…体がついていかなかったです。
やっぱり人間は「夜は眠るようにできている」と実感しました。
特に、生活リズムの乱れやホルモンバランスの崩れが、女性にとっては大きな影響を及ぼすこともあります。
短期間で収入を増やしたい時や、体力に自信がある人には向いている働き方です。
けれど、Kagayaのように「心身の健康を大事にしたい」方には、長期的にはおすすめできないかもしれません。
「高収入=高ストレス」になりがちなのが夜勤専従という働き方のリアルです。
フリーランス・派遣ナースとして働く
最近では、フリーランスの看護師という働き方も注目されています。
「フリーランス」といっても、完全に個人で仕事を受けるわけではなく、派遣会社を通じて高時給の勤務先を転々とするスタイルが一般的です。
この働き方の魅力は、なんといっても自由度の高さ。
- 面倒な委員会や係がない
- 職場の人間関係に深く関わらずに済む
- 希望の勤務日・時間帯を選べる
Kagayaも正職員を辞めてから、「派遣・単発」のお仕事をいくつか経験してきました。
「人間関係が面倒で退職した」という方には、精神的にとてもラクに感じられる働き方です。
ただし、注意点もあります。
派遣先ごとに業務内容や雰囲気が異なり、臨機応変な対応力が求められること。
そして、表に出ない「暗黙のルール」が存在する現場も多くあります。
「柔軟な対応が得意」「多少の空気の違いなら気にならない」という方にはぴったりですが、逆にそれがストレスになる方もいるかもしれません。
とはいえ、経験値を活かして、自由に働きながら高収入を目指すなら選択肢としてはかなり有効です。
自分の性格や体力に合った現場を見つけられれば、満足度も収入も高くなる可能性がありますよ。
単発バイトで収入を補う
現在の勤務先で副業が許可されているのであれば、「単発バイト」はとても有効な選択肢です。
単発バイトは、1日だけ・短時間だけの勤務でも、かなりの高時給を狙える案件が多く出回っています。
Kagayaもこれまでに何度か単発バイトを経験してきました。
驚いたのは、「時給は高いのに、仕事内容は比較的シンプル」なこと。
健康診断の補助やワクチン接種、デイサービスの短時間業務など、看護師経験が浅くても対応しやすい内容も多く、経験年数が少ない方にもおすすめです。
ただし、注意点もあります。
- 場所が遠方で移動が大変な場合がある
- 短時間でも体力的にハードな案件もある
- 交通費が出ないこともある
特に、「日勤で働いた後に夜間のバイトを入れる」といった無理なスケジュールは、心身の消耗が激しくなる原因になってしまいます。
単発バイトは「空いている時間を有効に使いたい」「月収を少し底上げしたい」という方にはぴったりです。
ただし、無理をせず、自分の体力と相談しながら選ぶことが大前提だと思います。

アラフォー・ジプシーナースでも、日勤のみで年収600万円は可能です
看護師の給与が「高い」と思われがちなのは、夜勤手当が含まれているからというのが現実です。
日勤のみだと収入はぐっと下がる…そう思われる方も多いのではないでしょうか?
でも、実はKagayaは日勤のみ&非正規雇用で、年収600万円を達成した経験があります。
しかも、特別な資格や管理職経験があったわけではありません。
その方法はズバリ、訪問看護ステーションで複数掛け持ち勤務するという働き方です。
訪問看護には、大きく分けて2つの報酬形態があります:
- 時給制:訪問1件あたりではなく、拘束時間で報酬が決まる
- 出来高制(1ケア○円):訪問件数や内容によって報酬が決まる
Kagayaの働き方は、次のようなハイブリッドスタイルでした。
- 週4日:時給制の訪問看護ステーション(非正規職員)
- 週2日:1ケア制の訪問看護ステーション(業務委託契約)
こうすることで、フルタイムで働かなくても高収入を実現することができたのです。
もちろん、正社員のような「年功序列で上がる昇給」はないし、ボーナスや退職金もありません。
でも、自分でスケジュールを組み、ストレスの少ない環境で収入を得られるのは、Kagayaにとって何より大きなメリットでした。
注意点としては、自分の時間をある程度差し出す覚悟が必要ということ。
勤続年数も役職もない「アラフォー・ジプシーナース」が年収600万を稼ぐということは、裏を返せば「そのぶん働いていた」ということでもあります。
けれど、それでも夜勤やストレスの多い職場に縛られない働き方ができたことは、何ものにも代えがたい体験でした。
🌟自分らしい“ちょうどいい”働き方
正職員じゃなくてもいいという選択
かつてのKagayaは、「正職員=安定」だと思っていました。
社会保険、ボーナス、退職金…たしかに制度上は整っています。
でも、正職員であるというだけで、やりたくない業務も抱えなくてはいけない。
人間関係も選べず、嫌な人ともチームを組まなければならない。
それがもう、ストレスでしかなかったのです。
Kagayaが考えたのは、最低限守りたいラインだけ。
「社会保険に加入できればそれでいい」
実は、非正規職員でも週20時間以上勤務すれば社会保険には加入できるのです。
だったら、あとは時給換算で正職員より高いところを探せばいい。
ボーナス?それ、ほぼストレス手当だと思ってる(笑)
退職金?期待してないです。
そう割り切ってからは、正職員で働く意味がどんどん薄れていきました。
メリットがあるようで、実はデメリットの方が重かった。
だから、とっとと正職員、やめました。
もう二度と、看護師として正職員に戻ることはないだろうと思います。
時給2,000円のパートでも、正社員と変わらない生活はできます
「パート=収入が少ない」と思っていませんか?
Kagayaは、時給2,000円のパートとして、正社員とほぼ同じ時間働くことで、十分な生活を維持できました。
もちろんボーナスはありませんが、精神的ストレスが大幅に軽減されたおかげで、無駄遣いも減りました。
気づけば、しっかり貯金もできているし、家や車のローンも普通に返済できています。
正社員の頃は「係や委員会、管理業務」など本来の看護以外の仕事に追われていたぶん、心の余裕がなかったと思います。
毎日疲れて帰っては寝るだけ。
気づけば病院通い…なんてことも。
でも、パート勤務に変えてからは、体調も心もぐんとラクになったのを実感しています。
生活は「年収の額面」より、自分にとってのちょうどよさのほうが大事。
そう気づいた今は、ストレスを抱えてまで正職員にこだわる必要はないと思っています。
看護師を続けながら、鍼灸師として独立するという選択
鍼灸師には開業権があるため、国家資格さえあれば一人で自由に働けるという大きな魅力があります。
Kagayaも、「自分のペースで、誰にも縛られずに働きたい」という思いから、鍼灸師としての独立を決めました。
でも正直なところ、社会保険の壁が悩みのタネでした。
完全に個人事業主になると、国民健康保険と国民年金のみの加入になり、将来の備えや医療費の不安が残ります。
Kagayaは、「独立したいけれど、社会保険の恩恵も受けたい」──そんな欲張りな働き方を考えました。
そこで選んだのが、週20時間だけ看護師として働くことで社会保険加入条件をクリアし、残りの時間を鍼灸師として活動するというハイブリッドなスタイルです。
この働き方なら、会社員と同じように保険や年金の安心を得ながら、鍼灸師としての経験と信頼を積み上げることができます。
もちろん、いつかは鍼灸師一本でやっていけるようになりたい。
でも、軌道に乗るまでの間は、この「Wキャリア型の働き方」で準備と安定を両立しています。
「看護師だからできること」「鍼灸師だからこそできること」。
その両方を大切にしたい方に、この働き方はきっと参考になるはずです。
🌟理想の働き方は人それぞれ
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
あなたは、いくら稼げれば満足ですか?
どれくらいの収入があれば、「自分らしく働けている」と感じられますか?
看護師が年収600万円を目指すことは、確かに可能です。
でも、そのためには体力・経験・努力が必要で、正直、心身を削るような働き方になってしまうこともあります。
そこまでして「600万円」という数字が本当に必要なのか、Kagaya自身も何度も立ち止まって考えてきました。
結論として、Kagayaは数字よりも「自分の納得できる働き方」を選びました。
病院だけが看護師の職場じゃない。
正社員だけが「安定」ではない。
今は「看護師+鍼灸師」という二つの国家資格を活かしながら、必要なだけ働き、必要なだけ稼ぎ、必要な人に寄り添うスタイルで活動しています。
夜勤が得意な人、フルタイムで働くことにやりがいを感じる人もいれば、Kagayaのようにフリーで自由な働き方が合う人もいます。
あなたにとっての「ちょうどいい働き方改革」を、ぜひ見つけてくださいね。
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