こんにちは。
プライマリ・ケアサポート きらぼし、鍼灸師・看護師のKagayaです。
今回は、Kagayaがなぜテナントではなくシェアサロンを選んだのか、そして実際に購入した物品について、少し丁寧に言葉にしてみようと思います。
開業という言葉には、どうしても「覚悟」や「大きな決断」といった、少し身構えてしまう響きがあります。
物件を借りて、内装を整えて、設備を揃えて、毎月の固定費を払いながら経営を続けていく。
それが“ちゃんとした開業”だと、どこかで刷り込まれている感覚もありました。
でも、Kagaya自身がやりたかったのは、最初から完成された場所を持つことではありませんでした。
むしろ、「このやり方で合っているのか」「この空間は本当に必要なのか」を、実際に動きながら確かめていくことでした。
正直に言ってしまえば、かなり年季の入ったアパートであっても、家賃は5万円前後かかります。
そこに光熱費や通信費、消耗品費が重なり、売上がゼロでも支出だけは確実に発生します。
「まずはやってみたい」「形にできるか試したい」その段階で、毎月決まって出ていくお金を背負うことは、Kagayaにとって現実的とは言えませんでした。
そこで一度立ち止まり、「本当に必要なものは何か」「なくても困らないものは何か」を一つずつ整理していきました。
流しは欲しいが風呂場は必要ない。
生活する場所ではなく、ケアを行うための“場”として機能すればいい。
そう考えたとき、シェアサロンという選択肢は、「妥協」ではなく「今の自分に合った方法」だと感じられるようになりました。
また、シェアサロンを選ぶことで、
・物を増やしすぎないこと
・動ける範囲で試すこと
・違和感があれば修正できること
こうした余白を、最初から持つことができます。
そんな考えのもとでシェアサロンを選択した理由と、実際にどんな物品を購入し、どんな基準で空間をつくっているのかを、できるだけ具体的にお伝えしていきます。
これから開業を考えている方や、「いきなりテナントはハードルが高い」と感じている方にとって、一つの選択肢として参考になればうれしいです。
🌟 始めながら形を探すためのシェアサロン
シェアサロンを選んだ理由は、単に「お金をかけたくなかったから」ではありません。
むしろKagayaにとっては、どんな形でなら、この仕事を続けていけるのかを見極めるための選択でした。
開業というと、どうしても「形」を先に整えなければならないような空気があります。
立派な看板、きれいな内装、きちんとした施術ベッド。
それらが揃ってはじめてスタートラインに立てる、そんな無言の圧力を感じることもありました。
けれど、Kagayaが大切にしたかったのは、外から見た完成度よりも、中にいる自分が無理をしていないか、続けるうえで違和感がないか、という点でした。
もしテナントを借りていたら、「家賃を払うためにやめられない」「稼がなければならないから断れない」そんな状況に、早い段階で追い込まれていたかもしれません。
それは決して悪いことではありません。
ただ、Kagayaが目指しているケアのあり方とは、少しズレていると感じました。
きらぼしでやりたいのは、短期的な売上を最大化することではなく、「この人にとって、今必要な関わり方は何か」を考え続けることです。
そのためには、自分自身の状態に余裕がないと難しい。
焦りや不安が強いと、どうしても判断が雑になります。
シェアサロンは、時間もお金も、最小限から始めることができます。
シェアサロンという環境は、「自分は何をしている人なのか」「この場で、何を提供しているのか」を、否応なく言葉にする必要があります。
看板も、内装も、空気感もシンプルだからこそ、曖昧なままでは伝わらない。
その過程で、
・これは本当に必要か
・これは自分のやりたいことか
・誰に向けたものなのか
を、何度も問い直すことになりす。
シェアサロンは、ただ場所を借りて施術をするだけの空間ではありません。
Kagayaにとっては、考えを整理し、試し、修正するための実験室のような場所です。
完成してから始めるのではなく、始めながら形を見つけていく。
そのプロセスを大切にしたかったからこそ、今はシェアサロンという選択が、最も自然だと感じています。
ここから先は、そんな環境の中で、実際にどんな物を選び、どんな基準で空間を整えているのかについて、具体的に書いていきます。
🌟 ベッドを置かないという選択

シェアサロンを使うと決めたとき、「施術ベッドをどうするか」という点でした。
鍼灸や施術と聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのは、ベッドに横になって受ける姿だと思います。
実際、ベッドがあることで「治療を受ける場所」としての分かりやすさは生まれます。
それでもKagayaは、あえて施術ベッドを置かないという選択をしました。
理由はとても現実的で、洗濯物を増やしたくなかったからです。
施術ベッドを使うということは、必ずリネン管理が発生します。
シーツ、タオル、ブランケット。
使うたびに洗濯し、乾かし、畳み、保管する。
一つひとつは小さな作業でも、積み重なると確実に時間と体力を奪っていきます。
シェアサロンでの活動を「無理なく続ける」ことを考えたとき、この負担は想像以上に大きいと感じました。
また、洗濯物が増えるということは、生活と仕事の境界が曖昧になるということでもあります。
Kagayaは、仕事としてのケアと、日常生活をできるだけ切り分けて考えたかった。
そのためにも、ベッドを置かないという判断は、ごく自然なものでした。
そこで代わりに選んだのが、レジャーシートと座イスです。
これらは軽く、持ち運びがしやすく、汚れても手入れが簡単。
シェアサロンという「使うたびに設営・撤収が必要な場所」との相性もとても良いものでした。
ただし、目的は「簡素にすること」ではありません。
Kagayaが大切にしているのは、横になることそのものではなく、緊張が抜け、安心できる姿勢をつくれるかどうかという点です。
必ずしもベッドに横にならなくても、身体が守られていると感じられる姿勢、力を抜いて呼吸できる姿勢はつくれます。
座イスに身体を預け、床に近い位置で過ごすことで、人は思っている以上に警戒心を手放します。
この感覚は、スヌーズレン空間の考え方とも重なります。
刺激を与えるのではなく、安心できる環境を整えることで、自然と緩んでいく。
そのため、Kagayaが目指しているのは、「治療室」でもなく、「リラクゼーションサロン」でもない、少し輪郭の曖昧な、やさしい空間です。
施術ベッドがないことで、「治療を受けに来た」という構えが和らぎ、「ちょっと身体を休めに来た」という感覚に近づく。
この距離感こそが、今のきらぼしにとって、とても大切だと感じています。
ベッドを置かないという選択は、設備を削ったという話ではありません。
どんな状態で人と向き合いたいのかを考えた結果の、空間づくりの一部です。
シェアサロンという限られた環境の中だからこそ、こうした一つひとつの選択が、きらぼしの輪郭を少しずつ形づくっていると感じています。
🌟 実際に購入した物品
シェアサロンを使って活動を始めるにあたって、Kagayaが購入した物品は、正直なところ多くありません。
「とりあえず揃える」「あった方が安心だから買う」という考え方は、今回は意識的に手放しました。
その代わりに大切にしたのが、選ぶ基準を明確にすることです。
基準は一貫していて、軽いこと・洗濯物が出ないこと・持ち運びができること。
シェアサロンは、常設の自分の場所ではありません。
使うたびに設営し、終われば片付ける。
だからこそ、物品は「場を支える道具」であって、「管理に追われる存在」にならないように意識しました。
ここでは、実際に購入した物品を、空間づくりのためのものと、伝えるためのものに分けて紹介します。
安心できる空間をつくるための物品


内装に関しては、「施術のための設備」というよりも、安心して過ごせる環境をつくるための要素を重視しました。
まず取り入れたのが、アロマディフューザーです。
強い香りで空間を演出するのではなく、入った瞬間に「なんとなく落ち着く」と感じる程度の、ごく控えめな使い方をしています。
嗅覚は、意識よりも先に身体に働きかけます。
言葉で説明しなくても、緊張が少しゆるむ。
その下地を整えるためのツールとして、アロマは欠かせませんでした。
次に導入したのが、小型のプラネタリウムです。
照明を落としたとき、天井や壁にやわらかな光が広がることで 空間の輪郭が曖昧になります。
これはスヌーズレンの考え方とも重なりますが、刺激を与えるためではなく、「今ここ」に意識が戻ってくる環境をつくるための工夫です。
常設の内装工事はできないシェアサロンだからこそ、こうした持ち運べる感覚的なアイテムが、空間づくりの要になります。
外に向けて存在を伝えるための物品




一方で、実際に使い始めてすぐに必要性を感じたのが、外に向けて存在を伝えるためのものでした。
シェアサロンは、外から見るとどうしても「中で何をしているのかわからない」場所になりがちです。
静かな空間ほど、通りすがりの人にとっては存在しないのと同じになってしまいます。
そこで最初に購入したのが、ブラックボードです。
ブラックボードには、
・今日は何をしているのか?
・予約なしでも大丈夫なのか?
・どんな人向けなのか?
といった最低限の情報を載せています。
ここで意識しているのは、「営業」ではなく「案内」です。
無理に呼び込むのではなく、気になった人が一歩近づける余地を残す。
さらに、視認性を高めるために横断幕も用意しました。
これは、遠目からでも「何かやっている場所だ」と分かるための目印です。
内容を詳しく伝えるというより、存在を知らせる役割を担っています。
横断幕の設置には、突っ張り棒を使用しています。
壁や窓を傷つけず、設営と撤去が簡単。
これも、シェアサロンという環境に合わせた選択です。
ブラックボード、横断幕、突っ張り棒。
どれも高価なものではありませんが、「外に向けて伝える」という点では、とても重要な役割を果たしています。
限られた物品でも、空間としての役割は十分に果たせると感じています。
シェアサロンでの活動は、豪華な設備で勝負するものではありません。
何を削り、何を残すか?
その選択そのものが、きらぼしの考え方を形づくっているのだと思います。
🌟 ミニ展示会風という発想
ブラックボード用のPOPを作っているとき、Kagayaはふと手を止めました。
施術内容を書き、料金を書き、対象となる人を書いているはずなのに、どこか「案内」というより「説明」に近い違和感があったからです。
そのとき、頭に浮かんだのが、「これ、展示に近いな」という感覚でした。
誰かに強く勧めるためのものではなく、通りすがりの人が、立ち止まって眺め、気になった部分だけを持ち帰る。
ブラックボードに貼るPOPは、その構造自体が、すでに「展示」に近いのではないかと感じたのです。
実はKagayaは、学芸員と養護教諭の資格を持っています。
学芸員として学んできたのは、「どう説明するか」ではなく、「どうしたら人が自分で気づけるか」という視点でした。
展示は、答えを押し付けるものではありません。
情報を並べ、関係性を示し、受け取る側に考える余地を残す。
また、養護教諭として関わってきた現場でも、一方的に教えることより、「自分の身体に目を向けるきっかけ」をつくることの方が、ずっと大切だと感じてきました。
そんな自分の経歴が、このブラックボードの前で、思いがけずつながったのです。
「これまでの経験、何か活かせないかな」
そう思ってChatGPTに相談したところ、返ってきたのが、「からだのことを伝える展覧会を企画するといい」という言葉でした。
その瞬間、頭の中でバラバラだったものが、一本の線でつながりました。
施術を受ける・受けないの前に、まず「からだって、こういう見方もあるんだ」と感じてもらう。
予約を取る・取らないの前に、「今の自分の状態、少し気にしてみようかな」と思ってもらう。
それは、まさに展示が果たしてきた役割と同じだと感じました。
とはいえ、シェアサロンでできることには限界があります。
壁を自由に使うことはできないし、照明や動線を大きく変えることもできません。
実際にできるのは、窓にPOPを貼ることくらいです。
それでもKagayaは、「ただの施術案内」にはしたくありませんでした。
だから、
・読む順番が決まっていないこと
・全部読まなくてもいいこと
・正解が一つではないこと
を意識して、内容を組み立てています。
ここは施術を受けるためだけの入口ではなく、からだについて考えるための入口。
たまたま通りかかって、「今日はいいや」と通り過ぎてもいい。
でも、どこかに一言だけ、引っかかる言葉が残れば、それで十分だと思っています。
このミニ展示会風の試みは、今すぐ完成するものではありません。
むしろ、試しながら、失敗しながら、少しずつ形を変えていくものです。
将来、もしカフェという形で場を持つことができたら、そのときは、もっと自由に、「鍼灸やからだのことを伝える展示」をやってみたい。
今はまだ、窓一枚分の小さな展示です。
もこの経験そのものが、きらぼしの在り方を静かに育てていると感じています。
🌟 将来の構想|カフェと啓発展覧会
今すぐではありませんが、将来もし自分の場を持てるとしたら、Kagayaは「カフェ」という形を選びたいと考えています。
いわゆる鍼灸院でも、治療院でもなく、もっと日常に近い場所。
体調が悪くなってから駆け込む場所ではなく、「ちょっと立ち寄る」「なんとなく気になる」そんな動機でも入れる空間です。
そのカフェの中で、Kagayaがやってみたいのが、鍼灸やからだに関する啓発の小さな展覧会です。
治療を受けなくてもいい。
予約がなくてもいい。
ただコーヒーを飲みに来るだけでもいいし、展示を眺めて帰るだけでもいい。
そこでふと、「からだって、意外とおもしろいな」「整えるって、こういう考え方もあるのかもしれない」そんな感覚を持ち帰ってもらえたら、それで十分だと思っています。
鍼灸という言葉には、どうしてもハードルがあります。
「痛そう」「怖そう」「よく分からない」。
そのハードルを、説明や説得で下げたいわけではありません。
むしろ、触れなくても伝わる形をつくりたいのです。
展示は、答えを与えるものではなく、問いを置いておくもの。
「この症状にはこの治療」ではなく、「自分のからだ、最近どうだろう」。
そんな問いが、日常の中にそっと差し込まれる。
それがKagayaの考える啓発です。
いま行っているシェアサロンでの活動は、その構想に向けた実験であり、練習でもあります。
大きな資金をかけず、立派な設備を整えず、できる範囲で試してみる。
ブラックボード一枚、POP一枚、窓に貼れる小さな展示。
それでも、「からだについて考える入口」はつくれる。
その手応えを、少しずつ感じています。
もし最初から理想の形を追いかけていたら、きっと動き出せなかったと思います。
だからこそ今は、お金をかけず、無理をせず、自分の輪郭を確かめながら進むことを大切にしています。
この選択は、妥協でも遠回りでもありません。
今のKagayaにとって、いちばん自然で、いちばん納得のいく歩き方です。
小さな試みを積み重ねながら、いつか、カフェという形で、「からだと出会い直せる場所」をつくる。
シェアサロンは、その未来に向けた静かな助走路なのだと思っています。

