末梢神経系には脳神経と脊髄神経があります。
今回は脳神経についてまとめました。
看護学生も苦戦するところです。
Kagayaもほとんど覚えていないのでまた覚えなおしです‼
覚えるのが大変だけど臨床でよく出会う患者さんは脳・神経系の疾患が多いです。
「こんな症状が出ている」から「ここが障害されている」とCTやMRIがなかった時代は、それで予測をしていたそうです。
※中枢神経は「脳」と「脊髄」だけです。 脳神経は末梢神経です。「~神経」とついているものは末梢神経です。
脳神経とは?
- 「脳」神経は「脳から直接出ている」神経で12対ある
- 頭頚部の筋肉、皮膚、目鼻耳に分布している
- 脳神経は脳幹・脳底から出て頭蓋底の孔を通る
- 脳神経麻痺の評価により、脳底・頭蓋底の病変部位を予測することができる
脳神経の機能と障害による症状
Ⅰ.嗅神経
部位:大脳
感覚神経→嗅覚(臭いの感覚)
嗅細胞(嗅粘膜)→嗅神経→篩板(篩骨)→嗅球
- においを感じるところ
- 障害されるとにおいを感じなくなる(鼻づまりとは違うよ)
- 篩骨からすだれのように垂れ下がっている
- 奥深いところにあるからめったに傷つかない
Ⅱ.視神経
部位:間脳
感覚神経→視覚(光の感覚)
網膜(眼球)→視神経管→頭蓋腔→視神経叉→外側膝状体→視覚野(後頭葉)
- 視覚を感じるところ
- 障害されると目が見えない
Ⅲ.動眼神経
部位:中脳
運動神経→外眼筋(上直筋・下直筋・内側直筋・下斜筋)支配
中脳(動眼神経核)→上眼窩裂→眼窩→外眼筋→眼瞼挙上筋
副交感神経→内眼筋(瞳孔括約筋・毛様体筋)
中脳(動眼神経核)→上眼窩裂→眼窩→毛様体筋→眼球→内眼筋
- 眼瞼挙上運動
- 瞳孔の調節(瞳孔括約筋)
- ピント調節(毛様体筋)
- 障害されると物が二重に見えたり(複視)、まぶたが下がったり(眼瞼下垂)、対光反射が消失したり、物体の焦点調節ができなかったりする
Ⅳ.滑車神経
部位:中脳
運動神経→外眼筋(上斜筋)
滑車神経核(中脳背面)→上眼窩裂→眼窩→外眼筋
- 障害されると内下方の複視
Ⅴ.三叉神経
部位:橋
感覚神経→顔面部皮膚、舌前2/3の感覚
V1:眼神経
三叉神経節→上眼窩裂→眼窩→眼球、前頭部の皮膚、口腔粘膜
V2:上顎神経
三叉神経節→正円孔→翼口蓋窩→上顎部・頬部の皮膚、口蓋、鼻腔粘膜、歯髄
V3:下顎神経
三叉神経節→卵円孔→側頭下窩→側頭部の皮膚、口腔・舌粘膜、歯髄
運動神経→咀嚼筋、鼓膜張筋
三叉神経節→卵円孔→側頭下窩→咀嚼筋、顎二腹筋の前腹、鼓膜張筋、口蓋帆張筋
- 顔の感覚
- 舌前2/3の感覚
- 食べ物をかむ(咀嚼運動:下顎神経のみ)
- 障害されると顔の感覚麻痺、咀嚼運動障害
- 文字通り3つに分かれている
Ⅵ.外転神経
部位:橋
運動神経→外眼筋(外側直筋)
橋(後縁)→上眼窩裂→眼窩→外眼筋
- 眼球を外側に向ける
- 障害されると複視
Ⅶ.顔面神経
部位:橋
感覚神経→舌前2/3の味覚
顔面神経核(橋・延髄の境目)→内耳孔→顔面神経管→茎乳突孔→外頭蓋底→顔面の表情筋、茎突舌骨筋
運動神経→表情筋・アブミ骨筋
孤束核(橋・延髄の境目)→内耳孔→膝神経節→鼓索神経→舌神経(下顎神経の枝)→舌前2/3
副交感神経→涙腺、舌下腺、顎下腺
上唾液核(橋・延髄の境目)→内耳孔→鼓室神経→舌神経(下顎神経の枝)→顎下神経節→顎下腺・舌下腺
上唾液核(橋・延髄の境目)→内耳孔→大錐体神経→翼突管神経→翼口蓋神経節→涙腺・鼻腺
- 顔の筋肉(表情筋:前頭筋・眼輪筋・口輪筋)
- 味覚(舌の前2/3)
- 唾液・鼻汁・涙の分泌
- 障害されると味覚障害、顔面神経麻痺
Ⅷ.内耳神経
部位:橋
感覚神経→聴覚:蝸牛神経、平衡覚:前庭神経
蝸牛神経・前庭神経(橋・延髄の境目)→内耳孔→前庭神経節→コルチ器
蝸牛神経・前庭神経(橋・延髄の境目)→内耳孔→ラセン神経節→前庭・三半規管
- 聴力(蝸牛神経)
- 平衡感覚(前庭神経)
- 障害されると聴力障害、平衡感覚の喪失
Ⅸ.舌咽神経
部位:延髄
感覚神経→舌後1/3の味覚・知覚
運動神経→喉を動かす(嚥下)
副交感神経→唾液の分泌(耳下腺)
- 障害されると嚥下障害、味覚障害、唾液分泌の低下
Ⅹ.迷走神経
部位:延髄
感覚神経→圧受容器、化学受容器
運動神経→発声(喉頭筋支配)
副交感神経→各種臓器の心筋・腺・平滑筋
- 障害されると嚥下障害、声がかすれる
Ⅺ.副神経
部位:延髄
運動神経→僧帽筋・胸鎖乳突筋の運動
延髄(副神経脊髄核)→頚静脈孔→胸鎖乳突筋、僧帽筋
- 首の運動(胸鎖乳突筋・僧帽筋支配)
- 障害されると肩が落ちる。頸部が回転しない(マヒはめったにおきない)
Ⅻ.舌下神経
部位:延髄
運動神経→舌筋(舌を動かす)
延髄(舌下神経核)→舌下神経管→舌筋群
- 障害されると話しづらい(構音障害)
⁂眼球運動:動眼神経・滑車神経・外転神経の3つで目玉をクルクル動かすことができるよ!
⁂喉の神経:舌咽神経・迷走神経の両方が支配しているよ!
脳神経の覚えかた
日本人の大好きな語呂合わせです💞
色々な語呂合わせがありますが、Kagayaはこれで覚えました‼
12脳神経
「嗅いで見る、動く車の三つの外、顔聴く舌の迷う副舌下」
神経が出ている場所
Ⅰ大脳、Ⅱ間脳、Ⅲ,Ⅳ中脳、Ⅴ~Ⅷ橋、Ⅸ~Ⅻ延髄
神経の出る孔
感覚性の脳神経(7つ)
受容器からの感覚情報を伝える神経
「①・②は(感覚)ご納得」
Ⅰ,Ⅱ,Ⅷ(感覚のみ)Ⅴ,Ⅶ,Ⅹ,Ⅸ
運動性の脳神経(9つ)
骨格筋に運動の命令を伝える神経
「シロー、胃に良い(運動)ご納得さん」
Ⅳ,Ⅵ,Ⅻ,Ⅺ(運動のみ)Ⅴ,Ⅶ,Ⅹ,Ⅸ,Ⅲ
感覚神経+運動神経(4つ)
「混交、ご納得」
Ⅴ,Ⅶ,Ⅹ,Ⅸ
副交感性の脳神経(4つ)
平滑筋・心筋・分泌腺を支配する神経
「港区で服交換」
Ⅲ,Ⅶ,Ⅹ,Ⅸ
※副交感神経のみが入る神経はない→運動神経+副交感神経or運動神経+感覚神経+副交感神経
※脳神経内に交感神経は含まれない
ワンポイント
脳神経は12対の名前と神経が出ている場所、その神経がどんな働きをしているのか、障害されるとどんな症状が出るのかを覚える。