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広告 東洋医学

同じ高さにある経穴の覚え方~頭部•頸部編~

2024-05-09

🌟前髪際

前髪際とは、髪の生え際にある経穴のことを指し、前頭部の経穴の中でも位置関係が問われやすいポイントです。

特に、国家試験では「眉衝」「本神」「曲差」といった経穴の並びや高さを比較する問題が頻出しています。

前髪際の経穴位置:眉衝・本神・曲差

前髪際にある代表的な経穴は以下の通りです。

  • 眉衝(びしょう):胃経の経穴。前頭部正中線(督脈)から外方0.5寸に位置。
  • 本神(ほんしん):胆経の経穴。正中線から外方3寸に位置。
  • 曲差(きょくさ):督脈の経穴。正中線上、神庭のすぐ上。

これらの経穴は、すべて「前髪際上方0.5寸」の高さで水平に並んでいます

つまり、同じ高さに位置しているため、国家試験では「並列の高さを選ぶ問題」として出題されやすいポイントです。

以下は実際に出題された過去問の例です。

はき第22回-112

経穴で同じ高さに並ぶのはどれか。

  1. 脳戸と絡却
  2. 風門と陶道
  3. 眉衝と本神
  4. 水突と扶突

この問題では、選択肢3の「眉衝と本神」が正解です。

どちらも前髪際の高さにあり、瞳孔線上と正中線外方に位置することから、同じ高さと判断されます。

ちなみに、その他の選択肢は高さが異なります:

  • 脳戸と絡却:脳戸は後頭部中央、絡却はやや下方。
  • 風門と陶道:風門は第二胸椎の外側、陶道は第一胸椎の正中。
  • 水突と扶突:どちらも頸部にあるが、高さに若干の差あり。

よって、前髪際に関して覚えるべきポイントは、次のように整理できます。

  • 眉衝・本神・曲差は前髪際のラインに水平に並ぶ。
  • 「前髪のライン上=同じ高さ」という意識で覚えると◎。
  • 本神は「神庭の外方1.5寸」、眉衝は「督脈から外方0.5寸」も合わせて確認。

語呂合わせとしては、以下のように覚えると楽です。

「眉と神、前髪ラインで横一列」

このように語呂と位置関係をセットで覚えると、国家試験の経穴問題に強くなります。

🌟頭部

頭部には、前頭部・側頭部・後頭部にわたって多くの重要な経穴が点在しています。

特に国家試験では、目や耳、顔面のランドマーク(瞳孔・鼻孔・耳珠・髪際など)を基準にした経穴の取穴位置が頻出です。

頭部の経穴位置:巨髎・顴髎・本神など

中でも、瞳孔線上や耳珠の周囲にある経穴は出題されやすく、正確な位置関係を覚えておく必要があります。

ここでは、国家試験に出題された内容を中心に、代表的な経穴の位置と問題例を確認していきましょう。

まずは、顔面における代表的な経穴を整理します。

  • 巨髎(こりょう):瞳孔線上、鼻孔の外方8分(胃経)
  • 顴髎(けんりょう):外眼角の直下で、頬骨の下縁(小腸経)
  • 曲差(きょくさ):督脈上、神庭と上星の間
  • 本神(ほんしん):神庭の外方3寸(胆経)
  • 瞳孔線上にある経穴(例:巨髎)は必ず覚える。
  • 外眼角/内眼角を混同しないように注意。
  • 神庭を基準に外側へ展開される経穴の距離(1.5寸、3寸など)も重要。

また、頭部の経穴は「正中線上」「瞳孔線上」「耳珠周辺」「髪際」に分類すると整理しやすくなります。

例えば:

  • 正中線上:曲差、神庭、上星、百会
  • 瞳孔線上:巨髎、承泣、睛明
  • 耳珠周囲:耳門、聴宮、聴会(開口時に陥凹する部位)
  • 髪際部:眉衝、本神、曲差、頭維

このように、頭部の経穴は「ラインと基準点」で記憶すると、国家試験での選択肢が絞りやすくなります。

視覚イメージを合わせながら覚えていきましょう。

はき第14回-118

取穴法で正しい記述はどれか。

  1. 本神は神庭の外方1寸5分に取る。
  2. 巨髎は瞳孔線上で鼻孔の外方8分に取る。
  3. 顴髎は内眼角の直下に取る。
  4. 曲差は頭維の内方1寸5分に取る。

はき第16回-112

脳戸の外方2寸にある経穴はどれか。

  1. 脳空
  2. 浮白
  3. 玉枕
  4. 角孫

はき第23回-106

耳珠と下顎骨関節突起の間の陥凹部で縦に並ぶ経穴が属さない経脈はどれか。

  1. 三焦経
  2. 胃経
  3. 胆経
  4. 小腸経

🌟胸鎖乳突筋

胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)は、頸部にある大きな筋肉で、耳の後ろ(乳様突起)から鎖骨と胸骨へと走行しています。

この筋は視診・触診がしやすく、経穴の取穴において重要な指標となります。

胸鎖乳突筋と経穴の関係

胸鎖乳突筋に関わる経穴は国家試験でも頻出です。

特に、前縁・後縁・筋間などの位置関係を正しく理解しておくことが重要です。

以下に代表的な関連経穴と出題例を紹介します。

胸鎖乳突筋の前縁にある経穴

あ第30回-102

胸鎖乳突筋の前縁にある経穴はどれか。

  1. 扶突
  2. 完骨
  3. 欠盆
  4. 人迎

この問題の正解は人迎(じんげい)です。

人迎は胃経に属し、胸鎖乳突筋の前縁に位置します。

拍動を感じる頸動脈上にあり、触診でも確認しやすい経穴です。

胸鎖乳突筋の間(前縁と後縁の間)にある経穴

はき第20回-112

胸鎖乳突筋の前縁と後縁の間に取る経穴はどれか。

  1. 天牖
  2. 天容
  3. 人迎
  4. 扶突

この問題では、扶突(ふとつ)が正解です。

扶突は胸鎖乳突筋の筋間、すなわち前縁と後縁の中間あたりに位置し、甲状軟骨の高さに取穴されます。

胸鎖乳突筋の後縁にある経穴

はき第21回-113

胸鎖乳突筋の後縁で輪状軟骨の高さにある経穴はどれか。

  1. 扶突
  2. 水突
  3. 天鼎
  4. 人迎

天鼎(てんてい)は小腸経の経穴で、胸鎖乳突筋の後縁、輪状軟骨の高さに位置します。

胸鎖乳突筋の走行を指標とした経穴の中でも、後縁を明確に問う問題は頻出です。

胸鎖乳突筋を指標としない経穴

はき第17回-115

取穴の際、胸鎖乳突筋を指標としない経穴はどれか。

  1. 天容
  2. 天鼎
  3. 天衝
  4. 天牖

正解は天衝(てんしょう)で、これは耳の上方に位置する胆経の経穴です。

胸鎖乳突筋とは直接関係がありません。筋肉を基準としない例外として覚えておきましょう。

  • 胸鎖乳突筋は前縁・後縁・筋間の3部位に注目。
  • 人迎(前縁)、扶突(筋間)、天鼎(後縁)をセットで覚える。
  • 指標にしない経穴(例:天衝)も例外として押さえる。

胸鎖乳突筋は目立ちやすく触診しやすいため、臨床でも重要な目印となります。

国家試験対策としては、筋のどの縁に位置するかを正確に把握することが合格のカギです。

🌟まとめ|頭部・頸部の経穴を高さで覚えるコツ

頭部や頸部の経穴は、国家試験で毎年のように出題される重要ポイントです。

特に「同じ高さにある経穴を選ぶ」「特定のライン(髪際・甲状軟骨・瞳孔線上など)にある経穴を把握する」といった出題形式が多く見られます。

本記事では、前髪際・頭部・胸鎖乳突筋に関連する経穴について、それぞれの高さや筋肉との位置関係を中心に整理してきました。

最後に、出題パターンの特徴や覚え方のポイントを再確認しておきましょう。

  • 高さの横ライン(前髪際・甲状軟骨・輪状軟骨など)は、経穴が水平に並ぶ問題で頻出!
  • 瞳孔線上・外眼角・耳珠の前後など、顔面のランドマークを起点に覚える。
  • 胸鎖乳突筋は「前縁・後縁・間(筋間)」のどこにあるかを問う問題が多い。
  • 神庭・百会・督脈の正中線を基準に、外方へ展開される経穴の距離(寸法)も重要。
  • 耳周囲の経穴では、属する経絡(胆・三焦・小腸など)を間違えないこと。

さらに、頭部・頸部の経穴は視覚的な位置関係が記憶の助けになります。

語呂合わせや分類表を使うのも効果的です。

  • 「眉と神、前髪ラインで横一列」:眉衝と本神は同じ高さ
  • 「人は前、扶は中、鼎は後ろ」:胸鎖乳突筋の取穴位置
  • 「巨髎は瞳孔、鼻の外」:瞳孔線上の典型例

このように覚え方を工夫すれば、単なる丸暗記ではなく、理解を伴った記憶が可能になります。

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