看護学生の時の臨床実習は地獄でしたが、鍼灸学生の臨床実習はすごくラクです。
今はほぼ見学実習ですが、もしかして、これから大変になってくるのだろうか?
それでも、看護実習に比べたら苦ではないです。
看護実習は1クール3週間をそれぞれぞの領域看護を学んでいきます。
1週間目は主に情報収集、2~3週目は看護計画立案・実施・評価していきます。
看護実習の中で何が大変かというと、看護記録です。
1人の患者さんの看護で3~4cm程度の分厚い記録冊子が完成します。
それに比べて、鍼灸実習はほぼ見学のみでその後の記録は一切なく(学校によって違うかもですが。。)、普通に眠れます。
鍼灸の臨床実習は1グループ5、6人で各教員の医療面接から治療の流れ、手技を順番に見ていきます。
肩こり・腰痛を訴える人が多いです。
肩こり・腰痛の治療に興味がないので、教員の鍼手技を見るのはおもしろいですが、正直つまらないです。
脊髄損傷の方やパーキンソンの方の治療を見てみたいですが、まあ、学校の鍼灸院じゃ来ないでしょうね。
階段があるので、治療院にすら入ることができません。
そんな臨床実習ですが、学んだことをまとめたいと思います。
臨床実習1の学習目標
臨床実習は1~4まであり、段階的に実習を行います。
1ではほぼ教員の施術の見学をし、臨床の実際を学びます。
「見学を通して、臨床に携わる者としての態度、習慣を身につける。また、将来必要となると臨床能力を見学することで「気付き」を促す」ことが、1で学ぶ段階だそうです。
・・・といっても完全なる見学ではなく、指導教員によって、実際の患者さんに鍼を打たせてもらったり、医療面接を補助的に行ったりします。
まだまだ2年生は、学生主体では治療を行いません。
医療面接について
看護学生の時は看護計画を立案するためにコミュニケーションを取りながら情報収集をしていました。
それを治療計画を考える上での情報収集を医療面接というらしい。
医療面接という言葉を初めて聞きました。
患者さんを治療室に案内し着替えを促します。
そして、医療面接が始まります。
主訴を細かく丁寧に聞いていきます。
疼痛の訴え方は患者さんよって表現が違うので、共通認識できるよう聞き直したり、言い直したりします。
何回も来ている患者さんだからなのか、生活習慣は聞いても、職業と既往歴•現病歴は確認しないんだなと思いました(一応、初診という設定ですが。。)。
職業病というものもあるし、既往歴や感染症の確認も大事です。
アレルギーの確認も必要です。
鍼の素材やアルコールの使用によって、症状が出ることもあります。
訪問看護をしていると、フェイスシートに訪問看護利用の目的や希望を記入する欄があります。
何のために記入するのかわかりませんでしたが、利用目的や希望をしっかり確認していくこちが大切だと思いました。
特に鍼灸やマッサージは慰安目的なのか、治療してほしいのか。。
鍼灸院に来る患者さんは必ずしも症状を治してほしいと思って来ているとは限らないです。
来院目的をしっかり確認しないと治療方針にズレが生じ、患者さんの不満やクレームに繋がります。
訪問をやっていると看護師や理学療法士をマッサージ屋と勘違いして、マッサージが下手だと怒る患者さんもいます。
患者さんが望む治療と自分の治療方針が合わないのであれば、断ることも必要かもしれません。
治療の流れについて
医療面接で得た情報から治療方針を考えていきます。
まず鍼灸適応かどうかをアセスメントします。
糖尿病などキズが治りにくい疾患や血液が止まりにくい薬を内服している場合は、感染症や出血に気をつけます。
症状によっては鍼灸治療の前に病院を受診を促した方がいい場合もあります。
鍼灸適応疾患かどうか鑑別できるように、鍼灸師も解剖生理だけでなく、病態生理もしっかり学びます。
鍼によって状態が悪くなったとなれば、訴訟問題にもなる可能性もありますし。。
鍼灸適応となったら、まず患者さんが一番辛いと思っている所を最初に治していきます。
「漂治」をしてから、根本的な症状の原因となる所を治療する「本治」をしていきます。
いきなり「本治」をして、症状が治ればいいが、主訴となる所が治ってないと患者さんの不満に繋がります。
主訴が長ければ長いほど、治療に時間がかかります。
色々な要因が影響してくるので、主訴の症状を引き起こしている本当の原因を特定するのは難しいです。
治療目安3ヶ月として、なるべく間隔を開けずに来てもらう。
1つの治療法で効果があったものを、3回1クールとして行って経過を診ていきます。
患者さんの中には1回の治療で症状がなくなると、治ったと勘違いして来なくなる患者さんもいます。
そして、症状が出たらまた来るというパターン。
治療方針をしっかり説明した上で、「漂治」だけで満足しているなら、患者さん自信が決めた治療方針をなので、それ以上言うことはないと思います。
病気を治すのは患者さん自身であり、鍼灸師はそれを手伝うだけなので。。
それは、病院でも同じことです。
治療に熱心な人は治療者の話を良く聞いて、早く良くなっていますが、人の話を聞かない人は治りも遅いです。
病院と違い保険診療ではない治療院では、金銭的に厳しいこともあります。
施術の後は、生活習慣に気を付けることを具体的に説明することも必要です。
鍼事故の防止について
どんな施術や治療でも人が行っている以上、事故は起きます。
鍼は危険な治療法ではありませんが、やり方を間違えると事故に繋がります。
リスク管理をしっかり行うことは、自分を守ることと患者さんの安全を守るために、学んで行く必要があります。
鍼刺し事故
看護師は採血や輸液治療にて針を使用します。
針刺し事故に関しては、感染症のリスクから新人の時からキビしく指導されます。
看護師歴10年以上で針刺し事故を起こしたことはないですが、1回だけ針刺し事故を起こした人を見ました。
そんなに多くはないですが、たまにあります。
鍼灸師も鍼を扱う以上、鍼刺し事故が起こる可能性は0ではないため、気を付ける必要があります。また
臓器や神経損傷
鍼を体内に入れるということは、臓器や神経を損傷する可能性があります。
置鍼中の鍼の上にタオルや毛布を掛けると重みで、鍼が深く侵入してしまう可能性があるので、タオルの工夫が必要です。
特に鍼灸師が怖いと思っているのが気胸です。
採血の針より細い鍼でどれぐらいの確率で気胸を起こすのかかわかりませんが、実際に死亡事例もあるので、気を付けたいです。
内出血に関しては、どんなに優秀な鍼灸師でも避けようのない内出血が起こります。
しっかり、患者さんに内出血のリスクを説明し、極力、止血をて広がらないようにしていきます。
鍼の抜き忘れ
鍼灸院で一番多いヒヤリハットは鍼の抜く忘れだそうです。
ルート治療のような患部に100本程度鍼を刺す手技であれば、鍼の抜き忘れる可能性も高いです。
使用した鍼の本数をしっかり管理する必要があります。
沢山、鍼を使用するのは管理が面倒です。
それに鍼はただではないので、Kagayaは必要最小限の鍼で治療したいと思っています。
何なら「百会」一穴で。。
鍼の抜き忘れは信頼関係にも繋がります。
どんなに良い関係を築いていても、これをやったら一発で信頼関係失います。
自分で管理できない治療法法はしない方が良いですね。
ドーゼオーバー
ドーゼオーバーとは刺激量過多のことです。
ドーゼオーバーにより身体の状態が悪化することがあります。
刺激量は人によって違います。
状態を確認しながら治療をしていく必要があります。
知り合いから「母親が鍼灸治療をやめたら歩けるようになった」という話を聞いて、鍼灸が怖いと思っていました。
今、考えるとその鍼灸師の腕が悪かったのだろう。。
もしくは、わざと悪化させていたのか。
不必要な治療をして、わざと症状を悪化させて通院させる悪質な鍼灸師もいるらしいです。
治療として多少の痛みに耐えなくてはいけないこともありますが、何の説明もなく、ただ痛み刺激を与えるような鍼灸院はやめた方がいいです。
お灸による火傷
昔はお灸でわざと火傷をさせて治療する方法があるみたいですが、現代でこんなことしたら、訴訟問題ですね。
火傷に注意するとともに、火の始末にも気を付けないといけません。
火事になります。
Kagayaは自分の足で張り切って練習したら、見事な火傷を作りました。
根性焼きか?みたいな感じになりました。
鍼灸で作ったキズは鍼灸で治しています。
まとめ
臨床実習1は見学実習ですが、2では学生が医療面接を行うようです。
学校の治療院には首、肩、腰のこりや痛みを訴えてくる患者さんが多いです。
内科的疾患やメンタル面を訴えてくる患者さんには出会えていないです。
首、肩、腰のこりや痛みに関しての治療は学生でも出来るようになるということか?
Kagayaが学びたいと思う、脊髄損傷や障がい児の鍼灸治療は学校では学べそうにないですが、色々な教員の手技や考え方が学べて良かったです。