2年生前期の試験が終わりました。
今回は無事に再試験はかったです。
鍼灸専門学校は1日2コマしかなく、授業の進みが早いため、テスト範囲も広いのです。
なめてるとカンタンに落ちます。
そんな苦戦した今回のテストのうちに東洋医学臨床論という科目がありました。
その科目では「弁証論治」というものを学びます。
弁証論治とは「証」に基づいて治療するプロセスのことです。
この科目のテスト課題が難しく、かなり臨床に近い事例を弁証論治するものでした。
「25歳 女性 看護師」という設定。
情報を元に論治するのですが、だいぶリアルな感じなので、ついつい沼にはまってしまった感じで「こんな治療じゃ、この人治らないわ」となってしまいました。
そして、この人を論治するより「Kagayaを論治してよ」と思いました。
Kagayaの方が重症だよ?と思いながら例題に取り組んだわけです。
例題に取り組んでいるうちに、弁証論治と同じようなことを、看護学生の時にもイヤというほどやったようなと記憶が蘇ります。。
そう、それは「看護過程」と同じではないですか?
ゴードンだかヘンダーソンだかで患者から得られた情報を項目に振り分けて、アセスメントして看護診断立てるやつ!
弁証論治も一つ一つ得た情報を整理し、身体の中でどのような状態になっているのかを導きだして、治療方針を立てていきます。
そんなKagayaの弁証論治と看護過程を展開してみようと思います。
情報収集方法
鍼灸学校に入って知った言葉に「医療面接」というものがあります。
医療面接とは患者から治療に必要な情報を聞くことです。
授業で医療面接について学びました。
医療面接とはアナムネのことか!と思いました。
授業ではフェイスシートに沿って1つずつ丁寧にマニュアル通りに質問しているDVDを見ました。
看護学生の時もこんな感じで聞いていったな~と思いました。
医療面接にかなり時間をかけても、クレームが来たことはないと先生は言っていました。
患者からしたら丁寧に聞いてくれた方が、自分を知ってくれて嬉しいと思うらしいです。
マージョリ・ゴードンというアメリカの看護学者が開発した11の領域に分けた「機能的健康パターン」を利用して情報を展開していこうと思います。
Kagayaの事例紹介
Kagayaの情報を11の領域に振り分けてみました。
健康管理・健康認識パターン
- 38歳 女性 看護師
- 主訴:胃痛・肩こり・倦怠感・冷え性
- 子どもの頃から胃痛、肩こり、腰痛がある
- 小学生の時にすい臓の機能が低下し入院している
- 25歳の時にヘリコバクターピロリ菌駆除しているが現在も時々、胃が張った感じや重い感じがして胃の不快感が現在もあり
- 仕事中、下半身によく汗をかいて下着が湿ることあるが顔にはほとんど汗をかかない
- ぶつけた記憶がないのに大きな青あざができていることがある
- 舌質淡、舌質薄白、歯痕あり、舌下脈絡怒張あり
- 中脘部分が張っている
- 臍周囲に圧痛がある
栄養・代謝パターン
- 食事は1日3回摂るようにしている
- 食欲あり
- 仕事と学校にため忙しく、カロリーメイトやメイバランスで栄養を摂ることがある
- 甘いものが好きで、ストレスが多い時や疲れているときは板チョコをたくさん食べてしまう
- 身長:159cm、体重:56kg BMI:23
- 皮膚の状態は乾燥気味で両下肢は朝から浮腫がみられている
- 爪の状態は問題なし
- 毛量はある方だが抜け毛が多いような気がする
- 食事の前後に関係なく常に胃の不快感があり、お腹を触ると張っている
- 水分は1日1.5l程度摂取
- 口渇はない
排泄パターン
- 排便回数:1回/1日
- 便の色:茶色・硬さ:普通便の時もあるが大抵、泥状~水様・臭気:やや臭う
- ほぼ毎日排便はあるがスッキリ感は得られていない
- 朝方に腹痛とともに下痢をすることあり
- 排尿回数:6回/1日 (夜間0~1回)
- 尿の色:薄く透明に近い・臭気:なし
活動・運動パターン
- 週6勤務と夜間学校のため常に過労している
- 訪問看護の仕事のため、仕事内容や休みだいたい決まっており、生活リズムは乱れていない
- 週1回の休みは溜まった家の掃除や身体のメンテナンスに鍼灸院やマッサージに行くため、家でゆっくり休むことはほとんどない
- 常に疲労感・倦怠感がある
- 身体を動かすことが嫌いなのでスポーツはしていないが、仕事で1日15km以上自転車に乗ることがある
- 首~腰にかけて凝りがあり、仕事で走ったり、ラジオ体操をしたりすると、20代の頃に比べて身体中が痛く、関節可動域が狭まっていると感じている
睡眠・吸息パターン
- 睡眠時間は7時間程度確保しているが、眠りが浅く熟睡感は得られていない
- 朝起きると怠さを感じている
- 寝付きは悪くベッドに入ってから1時間くらいは眠れない
認知・知覚パターン
- 去年の健康診断で視力低下しショックを受ける
- 26歳の時にレーシックをして視力0.03から1.5まで回復した
- 現在は0.7程度
- 授業でパソコン画面を見る時間が増えたことにより、目を酷使しかすんだり乾いたりするのを強く感じるようになった
- 聴力は正常
- こどもの頃から立ちくらみあり、臥床していると楽
- 夏は体感温度は暑いため冷房が必要であるが、身体を触るとお腹やお尻が冷えている
- お風呂に入ると気持ちがよく自分の身体が冷えていることを実感する
- アイスやお刺身が好きで一年中、食べている
- お腹が冷えて胃が重たい時は白湯を飲むと楽になる
- 冬の寒さは辛いため、かなり厚着をしている(ダウンの上にダウンを着ている)
自己知覚・自己像パターン
- 痛み止めや睡眠薬など常習性のある薬は内服したくない
- 慢性的な体調不良は病院に行っても自律神経失調症と言われ、精神薬や鎮静剤しか処方されないとわかっているため、病院に行っても意味がないと思っている
- 体調不良は鍼灸やマッサージで改善している
役割・関係パターン
- 3年前に中古マンションを購入し、独り暮らしをしている
- 時々、隣接する市にある実家に帰っている
- 両親は高齢であるが、まだ介護を必要としていない
- 仕事は非常勤勤務であるため、時間の融通がきく
性・生殖パターン
- 月経周期は正常だが、月経痛が強い
- 月経痛は生理前から生理中に強くなり、生理後は痛みは落ち着く
- 鎮痛剤は常習性があるため、なるべく使用したくないと痛みに耐えている
- 経血量は多め、経血色は暗紅色、血塊・帯下やや多い
- 月経前に乳房が張る
コーピング・ストレスパターン
- ストレスは常に感じている
- 主なストレスの原因は仕事であるが、生活があるため働かないといけない
- 働き方を変えるために鍼灸の学校に通っている
- 夜間の鍼灸学校は大変だが新しいことが学べて楽しい
- 座学の授業はオンデマンドで授業を受けることができるが、実習の授業は通学するため、電車に乗るのがストレス
- 電車内で何度か動悸や冷汗、目の前が真っ暗になるといったパニック発作を起こしている
- 訳もなくイライラや不安感、ちょっとしたことで思い悩むことは昔からある
価値パターン
- 鍼灸師の資格を取得して、自分のペースで働けるストレスフリーな生活がしたいと思っている
- 定期的に旅行がしたい
情報分析・アセスメント
11の領域に情報を振り分け、情報から読み取れるKagayaの身体状態を把握していきます。
健康管理・健康認識パターン
主訴より慢性的な症状→虚証
子どもの時より消化器系が弱い→生理物質の生成不足
- 多量の汗・内出血→気の固摂作用低下
- 歯痕あり→陽虚、痰湿
- 舌下脈絡怒張・臍周囲に圧痛あり→瘀血
栄養・代謝パターン
体形に問題なし。
食事内容に問題がありそうだが、栄養補助食品で栄養を補っている。
脾が虚しているため甘いものを好む。
排泄パターン
排尿は問題なし。
- 残便感あり:痰湿や食滞、気滞など気機の失調によるものが多い。
- 泄瀉あり:脾の運化機能の失調により、小腸での清濁の秘別ができず、痰湿が大腸に停滞することによって起こるものが多い。
肝脾不和
肝の機能が失調し、脾の気機に影響を及ぼすと、脾の機能が失調し、食欲不振・腹脹・下痢などの症状が起こる。
活動・運動パターン
仕事や学校があるため休息が取れていない状態のため疲労感が強い。
気虚による疲労・倦怠感
気は大病・長患い・過労などにより消耗され、飲食物の摂取不足や気の化生に関わる臓腑の機能低下により化生する量が減少する。
気が不足すると全身に滋養が行きわたらず、活動力が低下するため、疲れやすく、身体に力が入らず、疲労・倦怠感が起こる。
不通則痛・不栄則痛
不通則痛:気血の流れが通じず痛む
不栄則痛:気血が不足し栄養されず痛む
首肩痛や背部痛は気血の滞りが多い。
腰痛は気血不足や瘀血が多い。
睡眠・吸息パターン
生理物質の不足により心神が十分に滋養されないと心神の機能は失調する。
睡眠は心神の機能により維持されているため、心神がかき乱されたり、心神や脳が十分に滋養されないと睡眠障害が引き起こされる。
入眠困難や熟眠困難による不眠症がみられている。
肝鬱気滞による不眠
情志の失調などにより気機の上昇または過剰に働くと、心神に影響を及ぼす。
心神がかき乱され、安静・安寧を失い、入眠困難となる。
陰虚による不眠
加齢や過労により陰液の不足が持続すると陰虚となる。
陰液が不足すると心神が滋養されず、睡眠と覚醒を適切に切り替えることができず、熟眠障害や中途覚醒が起こる。
認知・知覚パターン
肝血虚による眼精疲労
過労、飲食不節、出産、手術、月経過多などにより精血を損傷し、血虚・精虚となり、目を滋養できなくなると眼精疲労になる。
血虚・精虚から陰虚へと進行すると内熱が生じ、眼精疲労だけでなく目が充血したり乾いたりするようになる。
陽虚による冷え
陽とは、気の温煦作用の現われであるため、気が減少すると陽の機能も低下し、相対的に陰の機能が陽より旺盛になり、冷えが起こる。
冷えは全身に現れるが、四肢・腹部が顕著である。
陽虚は気虚が発展し、温煦作用が低下した状態であるため、気虚症状を伴う。
陰盛による冷え
寒い環境や急激な気温変化など体外からの寒邪の影響や冷やす性質の飲食物の偏食による体内からの影響により、身体を冷やす陰の力が旺盛になり、冷えが起こる。
寒邪には気・血・津液の循環を妨げる凝滞性があり、流れが悪くなると痛みを生じる。
血の流れが悪くなると血瘀となり、瘀血を生じる。
湿邪を伴った場合、粘滞性も相まって気血の流れはさらに悪くなり、下注性により下腹部や下肢に冷えが起こる。
自己知覚・自己像パターン
常習性のある薬は内服したくないと考えている。
慢性的な不快症状に対しては代替医療を行っている。
役割・関係パターン
問題なし。
性・生殖パターン
月経痛:実証・気滞・血瘀・寒湿。
経血量は多め:気虚により固摂低下、血行促進、動血。
経血色は暗紅色:気滞血瘀
血塊:血瘀
帯下やや多い:痰湿
乳房が張る:気滞
気滞血瘀による月経痛
抑鬱傾向であったり、情志の失調などにより肝の疏泄機能が失調すると、気機が鬱滞する。
血を鬱滞させて血瘀になると、不通則痛の病機により月経痛となる
コーピング・ストレスパターン
仕事によるストレスが大きいが、生活のため辞めることはできない。
仕事を変えるために鍼灸学校に通い、現状生活を変えようとしている。
イライラ(肝)や不安感(肺)、思い悩む(脾)、ストレス増強によりパニック発作がみられることから、情志の変化・情志の失調が考えられる。
肝鬱気滞傾向
情志の変化により疏泄が失調し、気鬱・気滞が起こる病証。
長期にわたり気分がふさいだり、突然強い精神的な刺激を受けたりすると起こりやすい。
気機の失調、気鬱や気滞は情志に影響し、悪循環を形成しやすい。
- 疏泄の失調:疏泄の不及により、気機が滞ると精神抑鬱が出現しやすくなる。
- 気が滞る:胸部や上腹部に気の滞りが生じ、前胸部の不快感が出現する。
価値パターン
問題なし。
現状を変えるための行動を起こすことができている。
こんな感じに、情報を整理しアセスメントしてみました。
看護過程では関連図を作りますが、ちょっと面倒なので、いづれ暇なときがあれば作ろうかと思います。
関連図を書くと情報が視覚的に整理されてわかりやすいですが、Excelの使い方から勉強しなおさないとなのでめんどうです。
子どもの頃から消化器系に問題があり、生理物質の生成不足がある。
栄養状態は問題はないですが「脾」の機能が低下している。
「脾」の機能が低下すると消化•吸収が阻害され、生理物質が作られず不足する。不足すると生理物質がうまく働かない。
胃痛•肩こりは気血不足+気血が巡っていないことによる。
倦怠感は生理物質の不足、生理物質が身体全体に巡っていない。
気が不足すると身体を温めることができない冷え、瘀血により必要な場所に血が届かず冷え、冷えを体内に取り入れすぎていることによる。
以上のように「卵が先か鶏が先か」状態です。
巡りをよくすれば生理物質が必要な所に届けられるが、その巡りをよくするための生理物質が上手く作れていない。
生理物質が作られないと生理物質は正しく機能できない。
正しく機能できなければ、生理物質を作ることができない、負のスパイラルに陥っています。
食物から栄養は摂れているはずなので、まずは巡りをよくするところからだと思います。
生活習慣の見直しと治療
最近、サウナで「整った~」というCMを見ました。
ヨガなどでも「整う」という言葉を聞きます。
サウナやヨガでそんなにカンタンに整うワケないじゃないと思っていました。
しかし、普通に健康な人はそれぐらいで「整う」らしいです。
体調不調の原因は日々の生活習慣にあります。
不摂生な生活習慣を送っていると、いづれ糖尿病や高脂血症といった病気になります。
本当に生活習慣の病です。
そういう生活をしているから、そういう病気になるんだね!ということが多々あります。
東洋医学は陰と陽バランスが大切です。
なので身体が冷えるような食べ物をやめることはできないので、白湯を飲んで±0にしていこうと思います。
身体全体の巡りが悪いですが、特に頭の部分に気と血が滞っているみたいなのです。
頭に刺絡をしたりカッサをしたりして、滞っている巡りをよくしていきます。
巡りがよくなれば、生理物質が正しく働き、臓腑も栄養できるようになるはずです。
日々のバランスを考えながら、健康的に過ごす努力が必要です。
まとめ
ゴードンの11の機能的健康パターンに情報を振り分けて、東洋医学的な弁証論治をしてみました。
ちゃんとした弁証論治はできていませんが。。
Kagayaはこんな感じで情報を展開してみましたが、同じ情報から別の人が展開したら、また違う治療法になるかもしれないです。
今回の東洋医学臨床論のテスト問題でも「この情報から考えられることは何か」とか「この情報はどのような状態といえるか」など、1つの情報から読み取れることについての問題が多かったです。
先生の課題の意図は考えさせることであり、決まった弁証をただ答えさせる問題ではありませんでした。
だから、持ち込み可でも問題を解くのに時間がかかりました。
多分、問題が解ききれていない人もいたかもしれません。
看護過程も決まった答えは1つとは限らないです。
看護に答えがないように、弁証論治にも答えはないんだと思いました。
弁証論治はあくまでも情報を整理し、治療方針を導くための過程でしかないので、決めつける必要も治療方針も1つにする必要もありません。
東洋医学の概念である気•血•津液を知ることにより、原因不明の症状を自室神経失調症と誤魔化すことなく説明することができます。
自分の体調不良の原因がわかれば、それを改善しようと行動できます。
そしてどのようにして治療していくかは、自分自身で決めることができます。
原因不明の体調不良で不安になっている方は、東洋医学の知識を取り入れてみるのも良いかもしれません。