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西洋医学

鍼灸学生の解剖生理学まとめノート~内分泌~

2023-02-06

内分泌系の特徴

誘導欠如

分泌物→直接に血管

特定の標的器官や細胞の機能調節

ホルモンの分類と働き

視床下部

間脳にあり、下垂体から分泌されるホルモンの調節を行っている

ホルモン名標的組織作用
成長ホルモン放出ホルモン
(GRH)
下垂体前葉特異的なホルモン分泌を調整
プロラクチン放出ホルモン
(PRH)
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン
(TRH)
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン
(CRH)
性腺刺激ホルモン放出ホルモン
(GnRH)
成長ホルモン抑制ホルモン
(GIH)
プロラクチン抑制ホルモン
(PIH)

下垂体

視床下部の下にあるソラマメ状のもの

腺性下垂体(前葉):下垂体門脈系を形成、視床下部により調節される

神経性下垂体(後葉):腺細胞がない、視床下部で産生されたホルモンが後葉で蓄積放出される

下垂体前葉

ホルモン名標的組織作用
成長ホルモン
(GH)
多くの組織タンパク質合成促進
成長促進
プロラクチン
(PLH)
乳腺乳腺の発育と乳汁産生•分泌
甲状腺刺激ホルモン
(TSH)
甲状腺甲状腺ホルモン分泌促進
副腎皮質刺激ホルモン
(ACTH)
副腎皮質副腎皮質ホルモン分泌促進
卵胞刺激ホルモン※
(FSH)
性腺♀卵胞の成熟、エストロゲン生成分泌促進
♂精細管の発育促進、精子形成促進
黄体形成ホルモン※
(LH)
性腺♀卵胞誘発、黄体形成促進、黄体ホルモン分泌促進
♂テストステロン生成分泌促進
※FSH.LH:性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)

下垂体後葉

ホルモン名標的組織作用
オキシトシン
(OX)
子宮
乳腺
子宮収縮
射乳誘発(射乳反射)
バゾプレソン
(ADH)
腎臓水の再吸収促進(抗利尿作用)

松果体

間脳の背面にあり、メラトニン分泌(日内リズム)

ホルモン名標的組織作用
メラトニン概日リズム ※夜間に分泌が増加

甲状腺

頚の前面下部にあり、甲状軟骨を下から取り込む

濾胞:単層立方上皮、甲状腺ホルモン(サイロキシン)を分泌

傍濾胞細胞:カルシトニン分泌

ホルモン名標的組織作用
サイロキシン
(T4)
多くの組織代謝促進、体温上昇、発育促進
トリヨードサイロニン 
(T3)
カルシトニン骨・腎臓血中カルシウムイオン濃度低下、骨形成促進

副甲状腺(上皮小体)

甲状腺の背面(後面)に上下1対で4つある

パラソルモン分泌→血中カルシウム濃度を高める

ホルモン名標的組織作用
パラソルモン骨・腎臓血中カルシウムイオン濃度上昇、骨吸収促進

膵臓(ランゲルハンス島)

膵臓の尾部にある

α細胞:グルカゴン

β細胞:インスリン

δ細胞:ソマトスタチン

血糖値上昇はグルカゴンのみではなく、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、副腎髄質ホルモンでも起こる

ホルモン名標的組織作用
グルカゴン肝臓・脂肪組織血糖値上昇
インスリン多くの組織血糖値低下
ソマトスタチンランゲルハンス島インスリンとグルカゴン分泌抑制

副腎

副腎皮質

腎臓の上にある、表層から球状帯、束状帯、網状帯の3層構造

球状帯:アルドステロン分泌→ナトリウムイオンの再吸収促進(腎臓)

束状帯:糖質コルチコイドを分泌→糖新生

網状帯:男性ホルモン分泌

※糖質コルチコイドは血糖値上昇の他に抗炎症作用や抗ストレス作用・胃酸分泌促進がある

ホルモン名標的組織作用
アルドステロン多くの組織血糖値上昇、抗炎症、胃酸分泌促進
コルチゾール腎臓ナトリウムイオンの再吸収促進
アンドロゲン身体の男性化

副腎髄質

クロム親性細胞→アドレナリンとノルアドレナリン分泌

ホルモン名標的組織作用
アドレナリン心筋、血管、肝臓、脂肪組織心拍数・血圧・代謝・血糖値上昇
ノルアドレナリン血管収縮、血圧上昇
ドパミン腎臓血流量増加、血圧上昇
※カテコールアミン:アドレナリン・ノルアドレナリン・ドパミンの総称

性腺

卵巣

卵胞膜から卵胞ホルモン(エストロゲン)、黄体から黄体ホルモン(プロゲステロン)

妊娠中には胎盤の絨毛膜から性腺刺激ホルモンが分泌され、卵巣からプロゲステロン分泌を促進し、妊娠を維持する

ホルモン名標的組織作用
卵胞ホルモン(エストロゲン)多くの組織
生殖器官
女性第二次性徴の発現
卵胞発育、子宮内膜肥厚、膣上皮増殖
黄体ホルモン(プロゲステロン)子宮
乳腺
妊娠維持
発達の促進

精巣

間細胞(ライディッヒ細胞)による男性ホルモン(テストステロン)分泌

ホルモン名標的組織作用
テストステロン多くの組織
生殖器官
男性第二次性徴の発現
精子形成

消化管

ホルモン名標的組織作用
ガストリン消化管・胆嚢・膵臓胃酸分泌促進
セクレチン胃酸分泌抑制
膵液分泌促進
コレシストキニン膵液分泌促進
胆嚢収縮

腎臓

ホルモン名標的組織作用
レニン副腎皮質アルドステロン分泌促進
エリスロポエチン骨髄赤血球の生成促進

ホルモンと疾患

ホルモン状態疾患名
成長ホルモン亢進
低下
巨人症(成長期)、末端肥大症(成人)
小人症(成長期)
下垂体ホルモン亢進
低下
シーハン症候群(分娩後下垂体機能低下症)
シモンズ病(汎下垂体機能低下症)
バソプレシン低下尿崩症
サイロキシン
トリヨードサイロニン
亢進
低下
バセドウ病
クレチン症(小児)、粘液水腫(成人)
パラソルモン亢進
低下
汎発線維性骨炎
テタニー
インスリン亢進
低下
突発性低血糖症
糖尿病
電解質コルチコイド亢進コン症候群
糖質コルチコイド亢進クッシング症候群
副腎アンドロゲン亢進副腎性器症候群
副腎皮質ホルモン低下アジソン病

ホルモンの科学的性質

ステロイドホルモン:副腎皮質ホルモン、性ホルモン

アミン類ホルモン:カテコールアミン、甲状腺ホルモン

ペプチドホルモン:上記以外のホルモン

ホルモンの作用機序

細胞膜の受容体に作用(水溶性):ペプチドホルモン、カテコールアミン

細胞内の受容体に作用(脂溶性):ステロイドホルモン、甲状腺ホルモン

ホルモンの分泌調整

①階層的支配

②負のフィードバック機構

③自律神経・血中成分による調節

④ホルモン分泌の生態リズム

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