
🌟六臓六腑とは?五行と官職名から学ぶ基礎
東洋医学における「臓腑(ぞうふ)」の概念は、西洋医学の解剖学とは異なり、生理的・機能的な役割を重視して体系づけられています。
臓とは主に貯蔵と精気の生成を行う五臓六臓を、腑とは飲食物の消化・吸収・排泄に関わる六腑を指します。
さらに、臓腑は五行(木・火・土・金・水)と対応し、それぞれに象徴的な役割や性質が付与されます。
以下の表では、臓腑が五行とどのように関連づけられているかを一覧にしています。
また、五臓・六腑の機能的な違いや正常・病的状態の比較、さらにはそれぞれが持つ「官職名(官職にたとえた働き)」も理解することで、蔵象論の基礎をつかむことができます。
六臓六腑と五行の対応表
臓腑 | 木 | 火 | 土 | 金 | 水 | 相火 |
---|---|---|---|---|---|---|
六臓 | 肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 | 心包 |
六腑 | 胆 | 小腸 | 胃 | 大腸 | 膀胱 | 三焦 |
臓腑の基本的な性質は以下のように分類されます。
形状 | 働き | 正常な状態 | 病態 | |
---|---|---|---|---|
五臓 | 精気で満ちる | 精・気・血の生成と貯蔵、精神活動の主宰 | 気血精が充実している | 主に虚症(不足・低下) |
六腑 | 中空器官 | 消化・吸収・排泄など運搬と変化 | 滞りなく通過し機能が円滑 | 主に実症(停滞・亢進) |
臓腑には象徴的な「官職名」が与えられており、それぞれの役割を行政官になぞらえています。
臓腑 | 官職名 |
---|---|
肝 | 将軍の官(気血の運行を指揮) |
胆 | 中正の官(決断力を司る) |
心 | 君主の官(全身を統括) |
小腸 | 受盛の官(食物の選別・吸収) |
脾・胃 | 倉廩の官(栄養の管理) |
肺 | 相傅の官(補佐役、呼吸・水分代謝) |
大腸 | 伝導の官(排泄) |
腎 | 作強の官(生命力と発育) |
膀胱 | 州都の官(水の排泄) |
心包 | 臣使の官(心を守る) |
三焦 | 決瀆の官(水液と気の通路) |
また、五臓が付着するとされる脊椎の部位は、体表観察や治療部位の選定にも役立ちます。
- 肺:第3胸椎
- 心:第5胸椎
- 肝:第9胸椎
- 脾:第11胸椎
- 腎:第2腰椎
誤っているのはどれか。
- 小腸は受盛の官である。
- 大腸は伝導の官である。
- 胃は水穀の海である。
- 胆は州都の官である。
誤っているのはどれか。
- 憂は肺を傷る。
- 思は脾を傷る。
- 喜は心を傷る。
- 恐は肝を傷る。
臓腑について正しい記述はどれか。
- 奇恒の腑は伝化の腑ともいう。
- 肝は水分の吸収の働きをもつ。
- 六腑は実質器官である。
- 五臓は精気を内に蔵している。
臓腑について正しい組合せはどれか。
- 肺 ───── 作強の官
- 小腸 ──── 伝導の官
- 胆 ───── 中正の官
- 心 ───── 将軍の官
臓腑について誤っている組合せはどれか。
- 胃 ─── 腐熟を主る。
- 肺 ─── 水道を主る。
- 胆 ─── 作強の官である。
- 腎 ─── 二陰に開竅する。
臓腑の表裏関係で誤っているのはどれか。
- 肝と胆
- 腎と膀胱
- 脾と胃
- 肺と小腸
臓腑の表裏関係で正しいのはどれか。
- 肝と胃
- 肺と大腸
- 腎と小腸
- 心と胆
表裏関係で正しい組合せはどれか。
- 脾 ─── 小腸
- 肝 ─── 膀胱
- 肺 ─── 大腸
- 心 ─── 三焦
五臓の病証で誤っている組合せはどれか。
- 肺 ─── 陽萎
- 心 ─── 譫語
- 脾 ─── 脱肛
- 腎 ─── 五更泄瀉
臓腑の表裏関係で誤っているのはどれか。
- 心と小腸
- 脾と胃
- 腎と膀胱
- 肺と胆
臓腑の表裏関係で誤っているのはどれか。
- 心と小腸
- 腎と膀胱
- 脾と大腸
- 肝と胆
臓腑と生理作用の組合せで正しいのはどれか。
- 小腸 ――― 受納
- 胆 ―――― 腐熟
- 大腸 ――― 化物
- 胃 ―――― 降濁
臓腑とその作用との組合せで正しいのはどれか。
- 膀胱 ──── 糟粕を伝化する。
- 脾 ───── 昇清を主る。
- 肝 ───── 納気を主る。
- 大腸 ──── 清濁を分別する。
六臓六腑に属するのはどれか。
- 骨
- 三焦
- 筋
- 女子胞
六腑に属するのはどれか。
- 肝
- 心包
- 三焦
- 脾
六腑に属さないのはどれか。
- 大腸
- 心包
- 胃
- 膀胱
五臓について誤っている記述はどれか。
- 心は血脈を主る。
- 肺は水道を通調する。
- 肝は精を蔵する。
- 腎は二陰に開竅する。
五臓に関する組合せで正しいのはどれか。
- 耳 ――― 統血を主る
- 口 ――― 発育を主る
- 目 ――― 疏泄を主る
- 鼻 ――― 血脈を主る
五臓の生理機能について誤っている記述はどれか。
- 腎は統血を主る。
- 肝は疏泄を主る。
- 肺は皮毛を主る。
- 心は血脈を主る。
五臓と生理作用の組合せで正しいのはどれか。
- 脾 ─── 昇清
- 肝 ─── 封蔵
- 心 ─── 蔵血
- 腎 ─── 治節
五臓とその機能との組合せで誤っているのはどれか。
- 脾 ─── 運化
- 肝 ─── 統血
- 腎 ─── 納気
- 肺 ─── 宣散
五臓とその働きの組合せで正しいのはどれか。
- 心 ――― 蔵精
- 肝 ――― 蔵血
- 肺 ――― 納気
- 腎 ――― 統血
五臓とそれが蔵すものの組合せで正しいのはどれか。
- 腎 ─── 魂
- 肝 ─── 精
- 心 ─── 血
- 脾 ─── 営
病証と病因の組合せで正しいのはどれか。
- 心火亢盛 ――― 心陰が亢進したもの
- 脾胃湿熱 ――― 湿が脾胃に長く影響し化熱したもの
- 肝胆湿熱 ――― 肝血虚が胆火に波及したもの
- 腎陰虚 ―――― 腎気虚が進行し気の温煦作用が低下したもの
病証と症状の組合せで正しいのはどれか。
- 脾気虚 ――― 内臓下垂
- 肝血虚 ――― 目の充血
- 心陽虚 ――― 盗汗
- 肺陰虚 ――― 壮熱
臓腑の働きと五華の組合せで正しいのはどれか。
- 精を蔵する ――― 爪
- 神を蔵する ――― 毛
- 血を蔵する ――― 面色
- 営を蔵する ――― 唇
臓腑とその生理作用について正しい組合せはどれか。
- 胃 ───── 糟粕を伝化する。
- 心包 ──── 血を蔵す。
- 肺 ───── 治節を主る。
- 胆 ───── 清濁を分別する。
臓腑の付着位置とその臓腑の機能の組合せで正しいのはどれか。
- 第12胸椎 ―― 腐熟を主る
- 第9胸椎 ――― 運化を主る
- 第3胸椎 ――― 納気を主る
- 第1仙椎 ――― 貯尿を主る
臓腑と病因との組み合わせで誤っているのはどれか。
- 脾 ─── 受験のためにイライラした。
- 腎 ─── 不審者に追いかけられた。
- 肝 ─── 扇風機をかけたまま眠った。
- 心 ─── 炎天下で農作業をした。
五臓とその症状との組合せで誤っているのはどれか。
- 肺 ─── 体臭が生臭い。
- 脾 ─── 肌肉がやせる。
- 肝 ─── 汗をよくかく。
- 心 ─── 顔色が赤い。
臓腑と生理作用との組合わせで正しいのはどれか。
- 腎 ───── 統血
- 胆 ───── 水穀の受納
- 小腸 ──── 清濁の分別
- 肺 ───── 運化
臓腑と開竅部との組合わせで正しいのはどれか。
- 肝 ─── 口唇
- 脾 ─── 耳
- 腎 ─── 目
- 心 ─── 舌
五臓の生理機能について誤っている記述はどれか。
- 肺は統血を主る。
- 脾は運化を主る。
- 肝は筋を主る。
- 心は血脈を主る。
臓腑とその生理作用との組合せで正しいのはどれか。
- 胆 ─── 営を蔵す。
- 心 ─── 血を蔵す。
- 肝 ─── 神を蔵す。
- 腎 ─── 精を蔵す。
五邪について正しい組合せはどれか。
- 寒邪 ─── 心
- 暑邪 ─── 腎
- 湿邪 ─── 肺
- 風邪 ─── 肝
五臓とその役割りとの組合せで正しいのはどれか。
- 脾 ─── 伝導の官
- 腎 ─── 中正の官
- 心 ─── 臣使の官
- 肺 ─── 相傅の官
🌟肝の働きと東洋医学における役割
肝は、五行では「木」に属し、生命活動を円滑に保つために非常に重要な臓器です。
東洋医学における肝は、単に肝臓という臓器ではなく、気や血の流れ、精神状態、消化機能、さらには月経の調節にまで関与しています。
「将軍の官」と称される通り、肝は体内のあらゆる機能を統率・指揮する役割を持っています。
肝の主な生理作用とその意義
- 疏泄作用:
- 気機の調節:気の流れをスムーズに保ちます。滞ると「気滞」「血瘀(けつお)」「痰湿(たんしつ)」などが発生し、痛みや抑うつ、消化不良などを招きます。
- 情志の調節:感情の起伏を整える。疏泄が過剰だと「怒りやすい・イライラ」、不足すると「抑うつ・気分が沈む」などがみられます。
- 脾胃への影響:肝の疏泄が乱れると消化吸収が低下し、胃もたれや食欲不振に。
- 月経調節:女性においては、肝が月経周期や経血の排出に関与し、疏泄の異常が月経不順・経痛の原因に。
- 蔵血(ぞうけつ):
- 血液を貯蔵し、身体の活動状況に応じて血流量を調整する。
- 血虚や血瘀により、月経量の異常、目の疲れ、筋のこわばりが起こることも。
- 生理特性:
- 「昇発」:気機を上昇させ、全身に活力を与える。
- 「条達」:気血や津液を体中に行き渡らせる。
肝は「筋肉」「目」「爪」などとも深く関わっており、目のかすみやこむら返り、爪のもろさなどは肝の不調を示すサインとされます。
五官 | 目 |
五液 | 涙 |
五体 | 筋 |
五華 | 爪 |
五神 | 魂 |
五志 | 怒 |
五味 | 酸 |
肝の不調は感情面だけでなく、筋・目・爪・月経など多岐にわたる身体症状となって表れます。
そのため、肝の機能を整えることは、現代でいう自律神経やメンタルケア、婦人科疾患の対策としても重要とされています。
気の流れを順調にするのはどれか。
- 納気
- 粛降
- 統血
- 疏泄
肝について正しいのはどれか。
- 魂を蔵す。
- 体温調節を行う。
- 第5胸椎に付着する。
- 鼻に開竅する。
肝の臓について誤っているのはどれか。
- 筋を主る。
- 血を蔵す。
- 昇清を主る。
- 疏泄を主る。
疏泄を主る臓はどれか。
- 肺
- 脾
- 肝
- 腎
筋や目に関係する臓はどれか。
- 肺
- 心
- 肝
- 脾
魂を宿し血を蔵するのはどれか。
- 肺
- 心
- 脾
- 肝
魂を蔵し、判断力や計画性などの精神活動を支配する臓腑はどれか。
- 心
- 肝
- 腎
- 胆
気機を上昇させる特性をもつ五志に損傷されやすい臓の症状はどれか。
- 歯のぐらつき
- 不整脈
- 目のかすみ
- 皮膚の乾燥
肝の臓の生理作用はどれか。
- 血を蔵す。
- 運化を主る。
- 神を蔵す。
- 納気を主る。
腎と相生関係にある臓の生理作用はどれか。
- 昇清
- 疏泄
- 統血
- 納気
肝が蔵する物質の生理作用でないのはどれか。
- 髪に潤いを与える。
- 神の機能を維持する。
- 循環を促進する。
- 組織を栄養する。
陽中の陰の臓が剋する臓の生理作用はどれか。
- 疏泄を主る。
- 水を主る。
- 血を主る。
- 運化を主る。
胆と表裏関係にある臓の生理作用はどれか。
- 腐熟を主る。
- 気を主る。
- 水を主る。
- 血を蔵す。
疏泄の失調により起こりやすくなるのはどの臓腑の病変か。
- 肺
- 肝
- 腎
- 脾
肝の病証に属するのはどれか。
- のどのつかえ
- 手足の冷え
- 頻尿
- 息切れ
肝の病証に含まれるのはどれか。
- 動悸
- 喘鳴
- 下痢
- 頭痛
四肢のふるえとめまいとが共にみられる病証はどれか。
- 脾血虚
- 肺陰虚
- 肝血虚
- 腎陽虚
次の文で示す症状はどの臓腑の病か。 「顔色は青く、酸味を好み、目がかすみ、夜間にふくらはぎがつる。」
- 心
- 肺
- 肝
- 脾
次の文で示す病証に関係する臓はどれか。 「手足の筋のひきつれ、季肋部痛、めまいや目の乾燥がある。」
- 肺
- 心
- 腎
- 肝
肝陽の上亢によるのはどれか。
- 小腹急結
- 顔面紅潮
- 胖大舌
- 吃逆
肝血虚証でみられる症状はどれか。
- 腰がだるい。
- 目が乾燥する。
- 皮下出血がある。
- 手足が冷える。
次の文で示す患者の病証で適切なのはどれか。 「16歳の男子。試験前になると食欲不振、腹部膨満感が起こる。腹鳴や腹痛を伴う下痢を頻発する。」
- 肝脾の不調
- 脾腎の陽虚
- 脾胃の湿熱
- 肝腎の陰虚
🌟心の役割と精神活動との関係
心(しん)は、東洋医学における五臓のひとつで、五行では「火」に属します。
「君主の官」と称され、全身の気血や精神活動を総括する中心的な存在です。
西洋医学での心臓の働きに加え、感情や意識、思考、睡眠などの心身機能に関与すると考えられています。
心の主な生理作用
- 主血(しゅけつ):
- 血液を全身に送り出す機能を持ちます。
- 血流循環の中心であり、栄養と酸素の供給に関与。
- 心の失調により、動悸(心悸)、怔忡(ちょうちゅう:動悸と不安)、不整脈などの症状が現れます。
- 神志(しんし)を主る:
- 精神・意識・思考・記憶などの「神」の働きを司る。
- 東洋医学では「神は心に蔵す」とされ、心の働きが神志の安定に不可欠です。
- 心の不調は、不眠・多夢・健忘・不安感・情緒不安定などにつながります。
- 全身の陽気を主る:
- 心陽は体内の陽気の中心として全身を温め、機能を活性化します。
- 臓腑の機能を統括する総指揮官としても働きます。
これらの働きにより、心は「循環器+神経系+内分泌系」をまとめたような機能を担っていると捉えることもできます。
現代におけるストレス障害や不眠、情緒不安定などは、東洋医学では心の病とされることが多いです。
五官 | 舌(言語・味覚) |
五液 | 汗(心の機能低下で汗が漏れやすい) |
五体 | 血脈(血管の状態を反映) |
五華 | 面色(顔色の赤みや艶) |
五神 | 神(精神の中心) |
五志 | 喜(喜び・幸福感) |
五味 | 苦(苦味との関係) |
心の不調は、単なる循環器症状にとどまらず、精神面や睡眠、発汗、表情など多面的に表れるのが特徴です。
東洋医学では「心を整えることは神を安んずること」とされ、全身の調和を保つ要となる臓腑なのです。
第5胸椎に付着する臓腑はどれか。
- 小腸
- 肝
- 心
- 膀胱
心について正しいのはどれか。
- 決断を主る。
- 営を蔵する。
- 四肢を主る。
- 君主の官である。
神を蔵し君主の官といわれるのはどれか。
- 心
- 肝
- 肺
- 腎
心の臓の作用で正しいのはどれか。
- 血を蔵す。
- 運化を主る。
- 神を蔵す。
- 皮毛を主る。
心の臓の生理・病理について誤っているのはどれか。
- 心は血脈をつかさどる。
- 心は舌に開竅する。
- 心は疏泄をつかさどる。
- 心は神を蔵す。
心を傷る七情はどれか。
- 喜び
- 悲しみ
- 憂い
- 怒り
舌に開竅する臓が蔵すのはどれか。
- 気
- 精
- 血
- 神
舌に開竅する臓はどれか。
- 脾
- 肝
- 腎
- 心
決断を主る臓腑と表裏関係にある臓腑の生理作用はどれか。
- 気を主る。
- 全身の陽気を主る。
- 血流量を調節する。
- 水分代謝を調節する。
清濁を分ける腑と表裏関係にある臓の生理作用はどれか。
- 納気を主る。
- 運化を主る。
- 疏泄を主る。
- 血脈を主る。
心の病証に属さないのはどれか。
- 健忘
- 難聴
- 言語障害
- 不眠
四肢の冷え、胸痛、畏寒を示す病証はどれか。
- 心陽虚
- 肝陰虚
- 脾陽虚
- 腎陰虚
心気虚、心陽虚に共通する症状はどれか。
- 心悸
- 無汗
- 回転性めまい
- 四肢の冷え
五心煩熱や盗汗がみられるのはどれか。
- 心脾両虚
- 心腎不交
- 心肝火旺
- 肝脾不和
心火亢盛証でみられないのはどれか。
- 結脈
- 口渇
- 舌尖紅
- 不眠
次の文で示す患者の病証として適切なのはどれか。 「38歳の男性。半年前の失職以来、不安と不眠がある。起立時のめまいと軽度の動悸とを訴えている。」
- 脾陽虚証
- 心血虚証
- 肝陰虚証
- 腎気虚証
🌟脾の役割と運化・昇清の重要性
東洋医学における「脾(ひ)」は、単に解剖学上の脾臓を指すのではなく、消化・吸収・栄養の運搬などを担う重要な機能系です。
五行では「土」に属し、「後天の本(こうてんのもと)」とも呼ばれ、生命活動を支える気血の生成に深く関わっています。
特に脾は「運化」と「昇清」の機能によって身体の調和を保っています。
脾の主な生理作用
- 運化(うんか):
- 脾は胃と協力して飲食物を「水穀の精微」に変え、これを肺・心などへ送って気血を生成します。
- 水液の代謝にも関与し、痰湿を防ぎます。
- 運化が失調すると、食欲不振・軟便・下痢・痰の生成・むくみなどが生じます。
- 統血(とうけつ):
- 脾の気は「固摂作用」を持ち、血が脈外に漏れ出ないよう保っています。
- 機能低下により、皮下出血・血便・血尿・子宮出血(崩漏)などが起こります。
- 昇清(しょうせい):
- 水穀の精微を上昇させ、肺・心へ運びます。
- 昇清の力が弱まると、清陽が上がらず、めまいや倦怠感、臓下垂、脱肛などが現れます。
脾の不調は、慢性疲労や免疫力の低下、消化不良、浮腫、情緒の乱れなどさまざまな症状として現れます。
特に現代人に多い「脾虚(ひきょ)」は、食生活の乱れやストレスに起因することが多く、未病ケアの観点からも注目されています。
五官 | 口(味覚・消化の状態を反映) |
五液 | 涎(よだれ) |
五体 | 肌肉(筋肉のつき方・弾力) |
五華 | 唇(血色や潤い) |
五神 | 意(思考・記憶力) |
五志 | 思(思慮・思い悩み) |
五味 | 甘(甘味のとりすぎは脾を損ねる) |
脾を健やかに保つことは、気血を養い、全身のエネルギーバランスを整える鍵となります。
東洋医学の食養生や灸治療でも、脾の強化は重要なテーマとされています。
脾は何番目の胸椎に付くか。
- 第5
- 第3
- 第9
- 第11
脾について誤っているのはどれか。
- 精神活動の中心である。
- 肌肉を主る。
- 水穀の精微を吸収する。
- 血を脈内に留める。
脾の臓に関与しないのはどれか。
- 肌肉
- 統血
- 運化
- 血脈
営(栄)気を蔵するのはどれか。
- 胆
- 心
- 肺
- 脾
気血を化生する臓はどれか。
- 腎
- 肝
- 心
- 脾
考え過ぎると傷つきやすい臓はどれか。
- 肺
- 脾
- 肝
- 腎
五行の土に属する臓腑について正しいのはどれか。
- 降濁作用
- 第3胸椎に付着
- 奇恒の腑
- 作強の官
昇清を主るのはどれか。
- 心
- 肝
- 脾
- 肺
脾の生理機能はどれか。
- 運化を主る。
- 目に開竅する。
- 精を蔵す。
- 液は汗である。
脾の生理作用で正しいのはどれか。
- 血を蔵す。
- 肌肉を主る。
- 目に開竅する。
- 飲食物の清濁を分ける。
中焦の生理機能と関係の深いのはどれか。
- 脾
- 肝
- 腎
- 肺
脾の生理作用で正しい記述はどれか。
- 肌肉を主る。
- 目に開竅する。
- 血を蔵す。
- 飲食物を清と濁に分ける。
腎を剋する臓の生理作用はどれか。
- 血を蔵す。
- 気を主る。
- 精を蔵す。
- 統血を主る。
腐熟を主る臓腑と表裏関係にある臓腑の生理作用はどれか。
- 津液を全身に散布する。
- 精が漏れ出ることを防ぐ。
- 全身の気機を調節する。
- 水穀の精微を心に送る。
脾の運化作用の失調による症状で最も適切なのはどれか。
- 胃下垂
- 軟便
- 月経過多
- 皮下出血
運化作用の失調で起こるのはどれか。
- 難聴
- 食欲減退
- 目のかすみ
- 発汗異常
脾の病証として適切でないのはどれか。
- 全身倦怠感
- 腹部膨満感
- 性欲減退
- 消化不良
脾の病証でみられないのはどれか。
- 全身倦怠感
- 咽喉の閉塞感
- 崩漏
- 軟便
脾の病証でみられる症状はどれか。
- 性欲減退
- 腹部膨満感
- 胸脇苦満
- 心悸亢進
脾虚の症状はどれか。
- 健忘
- 咳嗽
- 内臓下垂
- 筋けいれん
腹痛、喜按、畏寒、四肢の冷えがみられる脾の病証はどれか。
- 脾胃湿熱
- 脾陰虚
- 脾陽虚
- 脾気虚
次の文で示す是動病の経脈はどれか。 「食するともどし、胃部が痛み、腹が張る。よくおくびし、放屁すればすっきりする。全身が重く感じる。」
- 大腸経
- 肺経
- 脾経
- 胃経
脾虚の症状はどれか。
- 陽萎
- 咳嗽
- 軟便下痢
- 目のかすみ
次の文で示す患者の病証はどれか。 「25歳の女性。1か月前から食事制限による減量を始めたところ、疲れやすくなり、手足がだるく、冷えるようになった。」
- 脾陽虚
- 肺気虚
- 肝気鬱結
- 腎陰虚
次の文で示す患者の治療方針で最も適切なのはどれか。 「27歳の女性。月経過多に悩む。食欲不振で大便溏薄、臍部に力がなく、四肢が冷える。面色委黄。」
- 胃熱を除く
- 脾気を補う
- 腎精を補う
- 痰湿を除く
次の文で示す患者の病証として適切なのはどれか。 「40歳の男性。食欲がなく、食べると腹が張り、便は軟らかい。四肢が冷えて疲れやすい。」
- 心血虚証
- 脾陽虚証
- 肺気虚証
- 肝陰虚証
脾虚による内湿が熱化して生じた病証として最も適切なのはどれか。
- 肝胆湿熱
- 脾陰虚
- 心火亢盛
- 腎陰虚
🌟肺の働きと気・津液の調整機能
肺は東洋医学において「嬌臓(きょうぞう)」と称され、五行では「金」に属します。
身体の最上部に位置し、外界と直接接するため非常にデリケートな臓器とされています。
肺は呼吸を主り、気や津液の巡りを調整するほか、水分代謝や血流にも関与する多機能な臓器です。
肺の主な生理作用
- 宣発(せんぱつ):
- 気や津液を体の外(皮膚)や上部に広げる。
- 呼気によって濁気(老廃物)を外へ排出する。
- 粛降(しゅくこう):
- 気や津液を下方向・体内に向けて巡らせる。
- 吸気により「清気(せいき)」を取り込む。
- 主気(しゅき):
- 呼吸によって全身の気を統括する。
- 「宗気(そうき)」を作り出し、全身の気の源となる。
- 通調水道(つうちょうすいどう):
- 津液を腎・膀胱に運び、水分の流れを調整する。
- 水の上源:
- 肺は水の流れをコントロールする始点であり、特に上半身の水分代謝に重要。
- 百脈を朝ずる:
- 全身の血脈は肺を一度通り、肺からまた全身へ巡るとされる。
- 治節(ちせつ):
- 気・血・津液の運行を調和・調節する中枢的役割を持つ。
- 華蓋(かがい):
- 肺は体の最上部にあり、外邪(風・寒など)から身を守る蓋のような存在。
- 嬌臓:
- デリケートで気温や湿度、風邪などの外邪に弱く、すぐに症状が出る。
肺の働きが乱れると、咳・息切れ・鼻づまり・汗の異常・皮膚トラブル・水滞(むくみ)など多様な症状が現れます。
秋の乾燥や冷え、日々のストレスも肺に大きな影響を与えるため、日頃からのケアが重要です。
五官 | 鼻(嗅覚・呼吸) |
五液 | 涕(てい:鼻水) |
五体 | 皮(皮膚とその防御機能) |
五華 | 毛(体毛や皮膚のツヤ) |
五神 | 魄(本能的生命力) |
五志 | 憂(肺が弱ると憂いがちに) |
五味 | 辛(発散作用あり) |
肺を整えることは、呼吸器や免疫の強化に直結します。
とくに季節の変わり目やストレスの多い時期は、肺のケア(深呼吸・鍼灸・湿度管理など)を意識してみましょう。
第3胸椎に付着する臓腑の作用はどれか。
- 治節
- 水穀の受納
- 糟粕の伝化
- 納気
肺の臓について正しいのはどれか。
- 作強の官である。
- 第3胸椎に付く。
- 口唇に開竅する。
- 統血を主る。
治節を主るのはどれか。
- 肝
- 肺
- 脾
- 心
津液の宣散、粛降を主るのはどれか。
- 心
- 肝
- 肺
- 脾
鼻と皮膚に関係する臓はどれか。
- 腎
- 心
- 脾
- 肺
水の上源といわれる臓腑はどれか。
- 膀胱
- 脾
- 腎
- 肺
肺が外邪の侵襲を防ぎ、臓腑を保護することを示すのはどれか。
- 宣発
- 嬌臓
- 粛降
- 華蓋
鼻に開竅する臓の作用で正しいのはどれか。
- 清濁を分ける。
- 納気を主る。
- 昇清を主る。
- 治節を主る。
肺の生理作用はどれか。
- 納気作用
- 昇清作用
- 疏泄作用
- 宣発(宣散)作用
肺の生理作用はどれか。
- 疏泄
- 納気
- 統血
- 宣散
肺の生理作用はどれか。
- 疏泄
- 統血
- 宣散
- 運化
肺の生理作用で誤っているのはどれか。
- 気を主る。
- 納気を主る。
- 宣発を主る。
- 皮毛を主る。
心が剋する臓の生理作用はどれか。
- 神明を主る。
- 治節を主る。
- 発育を主る。
- 統血を主る。
心を剋する臓の生理作用はどれか。
- 治節
- 運化
- 統血
- 納気
心と相剋関係にある臓の生理作用はどれか。
- 昇清
- 疏泄
- 降濁
- 粛降
疏泄を主る臓を剋する関係にある臓の生理作用はどれか。
- 宣発を主る。
- 運化を主る。
- 納気を主る。
- 神志を主る。
納気の失調で最も起こりやすい症状はどれか。
- 太息
- 噯気
- 喘息
- 吃逆
宣発作用の失調で起こる病証はどれか。
- 便秘
- 自汗
- 目のかすみ
- 食欲不振
肺の病証にみられないのはどれか。
- 梅核気
- 短気
- 無汗
- 湿疹
肺の病証でみられるのはどれか。
- 咳嗽
- 腰痛
- 不眠
- 耳鳴り
肺の病症でみられるのはどれか。
- よくため息が出る。
- 暑くなくても汗が出る。
- 腹痛のない下痢が起こる。
- 臓腑が下垂する。
🌟腎の本質と生命力を支える多面的な機能
腎は東洋医学において「先天の本(せんてんのもと)」と呼ばれ、生命エネルギーの源とされる重要な臓です。
五行では「水」に属し、成長・発育・生殖・老化など人生全体に関わる働きを持ちます。
腎は単なる泌尿器ではなく、精の貯蔵、津液の調整、気の納め、さらには全身の陰陽のバランスを保つ役割を担います。
腎の主な生理作用
- 蔵精(ぞうせい):
- 腎は「精(生命エッセンス)」を蓄える場所で、成長・発育・生殖機能の維持に不可欠。
- 先天の精と後天の精を蓄積・維持し、エネルギーとして全身に分配。
- 主水(しゅすい):
- 水液代謝の中心として、津液の吸収・再分配・排泄を調整。
- 腎が弱ると浮腫や排尿異常が起きる。
- 納気(のうき):
- 肺が吸い込んだ清気を下方に取り込み、気を深く納める働き。
- 腎虚では息切れ・浅い呼吸が起こる。
- 封蔵(ほうぞう):
- 腎の働きにより、尿・汗・精液など生理物質を必要に応じて漏れないよう貯える。
- 陰陽の根本:
- 腎は全身の陰陽バランスを支える源であり、陰(滋潤)・陽(温煦)の調整中枢。
- 腎陰:
- 血・津液の基礎となる陰液を提供し、潤いと冷却作用を担う。
- 腎陽:
- 原気を推進し、体温維持や代謝の活性化を担う。
腎の衰えは老化現象として現れやすく、難聴・腰痛・夜間頻尿・足腰の冷え・骨粗しょう症・性機能低下などにつながります。
逆にいえば、腎を養うことは「老化予防」にも直結します。
五官 | 耳、二陰(泌尿・生殖器) |
五液 | 唾(濃厚な津液) |
五体 | 骨・髄(骨密度・中枢神経) |
五華 | 髪(髪の量やツヤ) |
五神 | 志(意志・継続力) |
五志 | 恐・驚(恐れやすさ) |
五味 | 鹹(塩味) |
腎を元気に保つことは、「体力」「精神力」「若々しさ」の維持に直結します。
日常的に黒豆・黒ごま・山芋など「腎を補う食材」を取り入れることも有効です。
腎について正しい記述はどれか。
- 将軍の官である。
- 骨を主る。
- 神を蔵する。
- 第3腰椎に付く。
呼吸に関与しているのはどれか。
- 心
- 肝
- 腎
- 脾
先天の原気を宿すのはどれか。
- 肝
- 心
- 腎
- 肺
腎が開竅するのはどれか。
- 鼻
- 耳
- 目
- 口
腎の臓の働きでないのはどれか。
- 水分代謝
- 成長
- 消化
- 性機能
納気を主る臓が開竅する部位はどれか。
- 鼻
- 耳
- 口
- 目
臓腑の生理作用のうち骨と髄の生長発育に関係し、耳と二陰に開竅するのはどれか。
- 腎
- 肝
- 肺
- 心
腎が主るのはどれか。
- 納気
- 宣散
- 疏泄
- 血脈
精を蔵すのはどれか。
- 腎
- 心
- 肺
- 脾
気血を化生する臓が剋する臓について正しいのはどれか。
- 魂を蔵する。
- 耳に開竅する。
- 血を主る。
- 発汗を調節する。
五神の志を蔵すのはどれか。
- 腎
- 肺
- 肝
- 脾
耳と骨とに関係する臓はどれか。
- 肝
- 脾
- 肺
- 腎
次の病証を示す臓腑はどれか。 「発育の遅れ、難聴、不眠、内臓下垂」
- 胃
- 肝
- 肺
- 腎
条達作用をもつ臓腑と相生関係にある臓腑の作用はどれか。
- 陰陽の根本
- 水穀の海
- 水の上源
- 気血の源
腎の臓の作用で正しいのはどれか。
- 精を蔵す。
- 運化を主る。
- 血脈を主る。
- 筋を主る。
腎の症状はどれか。
- 胸痛
- 血便
- 脇痛
- 難聴
腎の症状として誤っているのはどれか。
- 耳鳴り
- 性欲減退
- 四肢の冷え
- 目の充血
「神明を主る」の失調による症状で最も適切なのはどれか。
- 倦怠感
- 浮腫
- 健忘
- 息切れ
次の文で示す患者の病証はどれか。 「顔に精気が感じられず、いつも腰がだるいという。小腹部は力がなくフワフワしている。最近、耳が聞こえにくくなった。」
- 心の病証
- 腎の病証
- 脾の病証
- 肝の病証
腎陽虚証の症状はどれか。
- 不眠
- 口渇
- 煩熱
- 浮腫
次の文で示す患者の病証の病理で正しいのはどれか。 「82歳の男性。半年前に誤嚥性肺炎で1か月間入院した。退院後から腰の痛み、耳鳴り、手足のほてりが出現し寝汗をかくようになった。」
- 腎陰の不足
- 運化の失調
- 肝火の上炎
- 疏泄の失調
🌟奇恒の腑の特徴と臓腑との違い
「奇恒の腑(きこうのふ)」は、東洋医学において特別な性質を持つ臓器群です。
五臓六腑に分類されないものの、重要な機能を担っています。
共通点として、「形は腑に似て中に精気を蔵する」という特徴があり、臓器のように本質的な物質を蓄えるものの、六腑のような通導性(出し入れ)は持ちません。
奇恒の腑の代表例と主な役割
- 骨:
- 髄(ずい)を貯え、肢体を支える構造体としての働き。
- 腎と深い関係があり、腎精から髄が生じ、骨が滋養される。
- 髄:
- 骨髄や脊髄などを含み、脳と骨を栄養する源。
- 中枢神経系や知覚・運動の反応にも関与する。
- 脳:
- 「元神の府」とされ、精神・知覚・運動などを主る重要な中枢器官。
- 髄の充足が脳の健全性に直結する。
- 脈:
- 全身を巡る血管系を指し、血・気・津液の輸送路となる。
- 心との関係が深く、情報伝達の手段でもある。
- 胆:
- 六腑に分類されるが、精気を蔵する性質があり、奇恒の腑に含まれる。
- 意思決定や勇気(胆力)とも関係するとされる。
- 女子胞(ししほう):
- 女性の生殖器にあたり、月経・妊娠・出産に関わる。
- 肝・腎および衝脈・任脈・督脈との連携が密。
奇恒の腑は、形こそ腑に似ていても「精気を蓄える」特性を持つため、単なる通道器官ではありません。
特に脳・髄・女子胞などは、身体の根本的な活動や繁殖、意識や精神の働きに直結しており、五臓との協調によってその機能を発揮します。
奇恒の腑に属するのはどれか。
- 小腸
- 胆
- 胃
- 大腸
奇恒の腑はどれか。
- 胆
- 胃
- 脾
- 肝
奇恒の腑に属するのはどれか。
- 皮
- 肉
- 筋
- 骨
奇恒の腑に属するのはどれか。
- 肝・腎
- 脾・胃
- 脳・子宮
- 心包・三焦
奇恒の腑でないのはどれか。
- 髄
- 女子胞
- 胆
- 三焦
🌟胆の働きと決断力との関係
胆の主な機能
- 胆汁の貯蔵と排泄
- 消化を助ける胆汁を肝から受け取り、十二指腸に排泄する
- 胆の機能が乱れると 口苦(口の苦み) や 黄疸 が現れる
- 決断を主る(中正の府)
- 五臓の中で唯一、精を蔵する腑であり、精神活動にも深く関わる
- 決断力・勇気・自信などの精神的作用を担う
- 胆気虚弱になると:
- 優柔不断
- おどおどする
- びくびくしやすい
五官 | 目 |
五液 | 涙 |
五体 | 筋 |
五華 | 爪 |
五神 | 魂 |
五志 | 怒 |
五味 | 酸 |
胆について誤っているのはどれか。
- 奇恒の腑である。
- 君主の官である。
- 決断を主る。
- 第10胸椎に付着する。
決断を主る臓腑はどれか。
- 肺
- 胆
- 胃
- 肝
決断の精神作用を有するのはどれか。
- 肺
- 腎
- 胆
- 胃
胆の腑の作用で正しいのはどれか。
- 決断を主る。
- 大便の排泄を主る。
- 津液の生成を主る。
- 栄養の吸収を主る。
飲食物の伝化・排泄に直接関与しないのはどれか。
- 小腸
- 三焦
- 胆
- 胃
🌟小腸の役割と清濁分別の重要性
- 受盛
- 胃から送られてくる未消化の飲食物(糜粥)を受け取る。
- 化物
- 水穀を「水穀の精微(清)」と「糟粕(濁)」に変化させる。
- 脾胃と協力し、気血の生成に関与する。
- 清濁の秘別
- 清(栄養分)を脾に送って肺・心へ、濁(不要物)は大腸・膀胱へ送る。
- この働きが乱れると、下痢・浮腫・尿トラブルなどが生じる。
小腸の働きで正しいのはどれか。
- 水穀の気を全身に巡らせる。
- 決断や勇気を主る。
- 糟粕を水分と固形分に分ける。
- 水分を体外に排泄する。
小腸について誤っているのはどれか。
- 清濁を分ける。
- 闌門で大腸に連なる。
- 受盛の官である。
- 中焦に属する。
全身の陽気を主る臓腑と表裏関係にある臓腑の生理作用はどれか。
- 納気
- 降濁
- 治節
- 受盛
心と表裏関係にある腑の生理作用はどれか。
- 清濁の分別
- 糟粕の伝化
- 水穀の受納
- 胆汁の貯蔵
次の文で示す臓腑の病証はどれか。 「食後の腹脹、下痢、腹鳴がある。」
- 膀胱
- 三焦
- 胆
- 小腸
🌟胃の働きとその生理機能
- 受納
- 飲食物を受け入れ納める働きがある。
- 「水穀の海」と呼ばれ、栄養摂取の入口として重要。
- 腐熟
- 飲食物を温かく湿った環境で消化(腐熟)する。
- 脾と連携して水穀の精微を取り出す。
- 降濁
- 消化された物を小腸へ、不要物は大腸へと下降させる。
- 胃気の下降が滞ると、嘔吐・呃逆(しゃっくり)などが発生。
- 喜湿悪燥
- 胃は湿潤を好み、乾燥や過熱に弱い。
- 燥邪や熱邪により機能が障害されやすい臓器。
胃の生理作用で正しいのはどれか。
- 体内の水路を調える。
- 水液を吸収する。
- 栄養素を全身に供給する。
- 食物の受納を行う。
統血を主る臓と表裏関係にある腑の生理作用はどれか。
- 糟粕の伝化
- 胆汁の貯蔵
- 清濁の泌別
- 水穀の受納
六腑に属する奇恒の腑が、剋する腑の生理作用はどれか。
- 昇清を主る。
- 受納を主る。
- 貯尿を主る。
- 決断を主る。
胃熱による症状はどれか。
- 心下痞
- 五更泄瀉
- 消穀善飢
- 梅核気
🌟大腸の役割と排泄機能
- 糟粕の伝化
- 小腸から送られてきた糟粕(不要物)を糞便へと変化させ、肛門から体外へ排出する。
- この伝化機能が失調すると、便秘・下痢・腹痛などの排便異常が起こる。
大腸について正しいのはどれか。
- 糟粕の伝化
- 納気作用
- 第10胸椎に付着
- 清濁の分別
胆を剋する腑の生理作用はどれか。
- 清濁の分別
- 津液の輸布
- 水穀の受納
- 糟粕の伝化
第3胸椎に付着する臓と表裏関係にある腑の生理作用はどれか。
- 糟粕の伝化
- 水穀の受納
- 清濁の分別
- 胆汁の貯蔵
降濁作用の補助を受けている作用はどれか。
- 疏泄
- 粛降
- 伝化
- 化物
🌟三焦の役割と水液代謝との関係
- 気の通路
- 三焦は「気」の通り道として働き、原気(生命エネルギー)は三焦を通じて全身の臓腑へと運ばれる。
- 三焦の気化作用により、物質やエネルギーが形を変えながら全身に行き渡る。
- 津液の通路
- 三焦は水液の通路ともされ、上焦(心肺系)、中焦(脾胃系)、下焦(腎膀胱系)に分類される。
- この三部の通路を通して、津液(水分)が全身に運ばれ、代謝が調節される。
三焦気化について正しいのはどれか。
- 臓腑機能の亢進
- 血液循環の促進
- 生体の防御作用
- 体内の水分量調節
三焦について正しいのはどれか。
- 第12胸椎に付着する。
- 納気を主る。
- 伝導の官である。
- 気血津液を調整する。
三焦について誤っているのはどれか。
- 体液を心へ運搬する。
- 体温を調節する。
- 衛気を全身にめぐらせる。
- 皮膚に潤いを与える。
「名のみありて、形なし」と記されている臓腑はどれか。
- 三焦
- 大腸
- 脾
- 肺
三焦の働きで最も適切なのはどれか。
- 水道を通調する。
- 水気を膀胱へ送る。
- 気血津液を全身にめぐらす。
- 大便を体外に排出する。
🌟六臓六腑・奇恒の腑のまとめ
東洋医学では、「臓腑」という概念を通じて人体の内臓の働きを包括的にとらえます。
六臓は、肝・心・脾・肺・腎・心包のことで、主に「蔵する」働きを担います。
気・血・津液・精・神といった人体に必要な基本物質を貯蔵し、調節しています。
六腑は、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦を指し、主に「通す・排泄する」働きをします。
食物の消化・吸収・排泄、水分代謝や気の流れに関与します。
また、臓腑とは異なる特別なグループとして、奇恒の腑(骨・髄・脳・脈・胆・女子胞)があります。
これらは臓腑の性質を併せ持ち、構造的にも機能的にも特異な存在であるため「奇恒」と呼ばれます。
- 五行との対応によって、それぞれの臓腑には五神・五志・五味・五官・五体などの概念が割り当てられ、東洋医学的な診察や弁証論治に活用されます。
- 例えば、肝は怒り、心は喜び、脾は思い、肺は憂い、腎は恐れと関連づけられます。
これらの知識を踏まえることで、症状の背景や根本にアプローチできる東洋医学ならではの診察力と施術力が身につきます。
国家試験では、「臓腑の働き」「五行との関連」「奇恒の腑の分類と特徴」などが頻出ですので、表や語呂で整理しながら暗記することがポイントです。