
こんにちは。
プライマリ・ケアサポート きらぼし、鍼灸師・看護師のKagayaです。
障がいのあるお子さんを育てていると、生活の中に「緊張がほどけない時間」が増えていきます。
学校や園の調整、療育の送迎、感覚過敏やこだわり、癇癪やパニックへの備え、周囲の視線への配慮。
やることが多いだけではなく、「何か起きたらすぐ動ける状態」で過ごす時間が長くなりやすいんだね。
そんな日々の途中で、ある日ふいに――
身体が先に鳴ることがあります。
- 胸がドキドキする
- 息がうまく吸えない
- 手が震える
- めまいがする
- 「私、このまま倒れるのかな」「子どもの前で倒れたらどうしよう」
こうした動悸・息苦しさ・強い不安が突然出てきて、パニック発作のように感じる方も少なくありません。
周りからは「気にしすぎ」「考えすぎ」と言われることもあるけれど、そんな言葉で片付けられる感覚ではない。
このページでは、その状態を心だけの問題として切り離さず、身体の仕組みから静かに整理していきます。
このページが役に立ちやすい方
- 夕方〜夜に、動悸や息苦しさが出やすい
- 「子どもの前で倒れたら…」が頭から離れない瞬間がある
- 検査で異常なしと言われたのに、つらさが続いている
- 受診か我慢かの二択にしたくない
- 家族の生活を崩さずに、いま出来る整理から始めたい
🌟 まず結論:それは「弱さ」ではなく、神経系の反応かもしれない
動悸や息苦しさが出ると、真っ先に「病気?」「心臓?」と不安になります。
これは自然な反応です。
一方で、障がい児育児の現実を見ていると、こうした症状は「性格」や「気合い」では説明できないことが多いとも感じます。
多くの場合、心より先に身体(自律神経)のほうが限界に近づいている。
その結果として、身体が“警報”を鳴らしやすくなっている状態が起きることがあります。
このページの目的は「原因を一つに決めつける」ことではありません。
ただ、いま起きていることを理解できる形にすることで、少しだけ安心して次の一歩を選べる状態を支えます。
🌟 介助緊張とは何か:24時間“備える”生活が神経を固定化する
障がい児家庭では、次のような「備え」が日常に入り込みます。
- 癇癪・パニックの前兆に気づこうとアンテナを張る
- 外出先のトラブルを想定して“逃げ道”を考える
- 学校・園・支援先からの連絡に常に反応できるようにする
- 周囲に迷惑をかけないように神経を使い続ける
- 家の中でも「次に何が起きるか」を先回りして調整する
この状態は、身体の中では「交感神経(警戒・活動モード)」が長く働き続けている状況に近くなります。
本来、人は緊張しても、終われば自然に緩みます。
けれど“備える時間”が長いと、緩む感覚を身体が忘れていくように感じられることがあります。
きらぼしでは、この慢性的な警戒状態を介助緊張として捉えています。
これは「気持ちの持ちよう」ではなく、環境への適応の結果として起きる神経系の状態です。
介助緊張が長く続いたときに「起こりやすいこと」
これは「必ず起きる」という話ではありません
ただ、保護者の方を見ていると、次のような形で負担が表に出てくることがあります
- 小さな刺激でドキッとして戻りにくい(過敏さが続きやすい)
- 胃腸・睡眠・頭痛などの身体症状が増える
- 集中力が落ち、判断が重たくなる(決められない/先延ばし)
- 「自分が壊れそう」が増え、孤立感が強くなる
だからこそ、崩れてからではなく、崩れかけの段階で条件を整えるという発想が役に立つ場面があります
🌟 身体で起きていること:自律神経の“切り替え”がうまく働かない
自律神経は、呼吸・心拍・血圧・消化・体温などを無意識に調整しています。
大きく分けると、次の2つがシーソーのように働きます。
- 交感神経:警戒・緊張・活動のモード(備える)
- 副交感神経:休息・回復のモード(ゆるむ)
介助緊張が長引くと、交感神経が優位な状態が“基準値”になりやすいです。
すると身体は次のような変化を起こしやすくなります。
- 呼吸が浅く速くなる(息が入らない感覚につながることがある)
- 首・肩・背中・みぞおちが固くなる(胸が詰まる感じが出ることがある)
- 心拍が上がりやすい(動悸)
- 胃腸が働きにくい(食欲低下、吐き気、下痢・便秘)
- 眠りが浅くなる(夜に交感神経が落ちにくい)
ここで大事なのは、これらが「気のせい」ではなく神経と筋肉の反応として起きることがある、という点です。
つまり、動悸や息苦しさは「不安が作り出した嘘」ではなく、身体が警戒モードから抜けにくい状態で頑張り続けた結果として表に出ることがあります。
🌟 ここで一度だけミニまとめ:今日やることを「3つ」に絞る
読んだあとに迷子にならないために
いまの段階でやることは、これだけで十分です
- 出やすい時間帯をメモする(夕方/寝る前/外出前 など)
- 苦しい時の“お守りケア”を1つ決める(後半で紹介)
- 受診の目安に当てはまるかだけ確認する(不安を減らすため)
🌟 呼吸が鍵になる理由:浅い呼吸が“警戒ループ”を強める

動悸・息苦しさの背景で、よく見落とされるのが呼吸の質です。
緊張が続くと、呼吸は「胸の上のほう」だけで速く浅くなりやすい。
本来、呼吸は肋骨・背中・お腹まで連動して行われますが、過緊張が続くとその動きが小さくなります。
浅い呼吸が続くと、身体は「まだ危険が続いている」と受け取りやすくなります。
すると交感神経が高まりやすくなり、心拍が上がり、息苦しさが強まることがあります。
息苦しさが強まると、「息ができない」と怖くなる。
怖くなるとさらに呼吸が浅くなる。
これが、いわゆるパニックのような反応が起きやすくなる循環の一つです。
本人の意思とは関係なく、身体が反射的に循環に入り込むことがあります。
ここまで読んで「自分のことかも」と感じた方へ
いきなり予約する必要はありません。
予約ではなく「状況の整理」として、
「いつ・どんな条件で苦しくなるのか」だけでも一緒に言葉にできます。
答えを出すための相談ではありません
一緒に「状況を言葉にする」入口です
🌟 「検査で異常なし」でもつらい理由:医学的に“否定できること”と“説明できること”は違う
受診して検査をして「異常なし」と言われると、安心できる部分もあります。
同時に、「じゃあこのつらさは何?」と途方に暮れる方もいます。
ここは言葉の整理が必要です。
検査で異常なし=重大な病気の可能性が低いという意味であることが多い。
でもそれは、つらさが存在しないという意味ではありません。
とくに自律神経の反応は、血液検査や画像検査で「異常」として映らないこともあります。
だからこそ、“生活の中で何が起きているか”を見直す視点が役に立つ場面があります。
🌟 鑑別の視点:心臓・甲状腺・貧血・更年期と重なることもある
ここは大事なので、丁寧に書きます。
動悸や息苦しさは、自律神経だけで説明できるとは限りません。複数の要因が重なることもあります。
次のような場合は、医療機関での確認が優先になることがあります。
- 突然の強い胸痛がある/胸が締めつけられる
- 意識が遠のく・失神がある
- 安静にしていても息が苦しい状態が続く
- 発熱や強い感染症状がある
- 急な体重変化(増減)、強い発汗、手の震えが目立つ
- 強い立ちくらみ、顔色の悪さ、動くと息切れが強い(貧血など)
また、40代以降では更年期の影響が重なることもあります。
ホルモンの変化が自律神経の揺れとつながることがあり、「育児の緊張」と「身体の変化」が同時に起きるケースもあります。
ここで大切なのは、「どれか一つに決める」ではなく、いまの状態を整理し、必要なら医療と並走するという発想です。
🌟 睡眠不足が“危険センサー”を敏感にする
障がい児育児では、睡眠が削られやすい家庭も多いです。
夜間の対応がある家庭だけでなく、
「子どもが寝た後に家事が始まる」「明日の準備が終わらない」「静かになった瞬間に不安が出る」
こうした形で睡眠が浅くなり、回復が追いつきにくいことがあります。
睡眠が不足すると、身体は“修復”に回す時間が足りなくなります。
すると不安や緊張に対する耐久力が落ち、動悸や息苦しさが出やすくなることがあります。
これは「頑張りが足りない」ではなく、シンプルに回復資源が不足している状態です。
🌟 予期不安が苦しくする理由:「起きるかもしれない未来」に身体が反応する

動悸や息苦しさが一度強く出ると、次に生まれるのが予期不安です。
「また起きたらどうしよう」
「外出先だったら」
「子どもがパニックの最中だったら」
この“想像”だけで、身体が警戒モードに入ることがあります。
すると呼吸が浅くなり、心拍が上がり、息苦しさが強まる。
症状→恐怖→過呼吸気味→症状強化、という循環です。
この循環は、本人の努力や根性で止めるというより、身体側の条件を整えて「ループを回りにくくする」ほうが現実的なことが多いです。
🌟 ケースで見る:同じ「動悸」でも背景が違う
同じ動悸でも、背景は人によって違います。
ここでは例を2つ挙げます(特定個人の情報ではありません)。
ケースA:夕方〜夜に動悸が出る
夕方、子どもの疲れが出て切り替えが難しくなる。
帰宅後、食事・入浴・寝かしつけまで、時間に追われる。
「このまま夜が荒れたらどうしよう」と常に先回り。
このケースでは、夕方から交感神経が上がりっぱなしになりやすく、
寝かしつけで静かになった瞬間に反動でドキドキが出ることがあります。
ケースB:外出前や人混みで息苦しくなる
外出=予測不能が増える。
「迷惑をかけないように」「子どもの状態が崩れないように」
準備の段階から身体が緊張する。
このケースでは、準備〜移動の時点で呼吸が浅くなり、息苦しさが先に出やすい。
息苦しさが怖くなり、さらに呼吸が浅くなる、というループに入ることがあります。
どちらも「弱さ」ではなく、生活の中で神経が緊張を学習している状態と捉えると、整理しやすくなります。
🌟 保護者の不調が続くと起きやすいこと:家庭の「安全度」が下がっていく
これは「親が悪い」という話ではありません。
ただ、身体の警戒が続くと、家庭の中で起きることが少しずつ変わっていく場面があります。
- 判断が重くなり、予定や支援の調整が苦しくなる
- 余裕が削られ、声が強くなって自己嫌悪が増える
- 「何か起きたら」の想像が増えて、休めない
- 結果として、子どもの不安定さに巻き込まれやすくなる
だからこそ、保護者の身体が落ち着くことは、家庭全体の「安全度」を上げる方向につながることがあります。
🌟 いまの状態を整理するセルフチェック
診断ではありません。
「いま、神経がどれくらい警戒モードにいるか」を整理するためのチェックです。
【身体のサイン】
- □ 動悸・息苦しさが週に1回以上ある
- □ 呼吸が浅い/ため息が増えた
- □ 首・肩・背中・みぞおちが固く、抜けない
- □ 胃腸の調子が落ちた(食欲低下、吐き気、下痢・便秘)
- □ 寝つきが悪い/夜中に目が覚める/夢が多い
- □ 休んでいても力が抜けない
【思考・感情のサイン】
- □ 「また起きたらどうしよう」が頭から離れない
- □ 外出や予定の前に身体が緊張する
- □ 子どもの状態を常に先回りして考える
- □ 休むことに罪悪感がある
- □ 相談できる相手が限られている
【生活への影響(追加)】
- □ 症状のせいで外出や予定を避けるようになった
- □ 夕方以降、「子どもの対応が怖い」と感じる日が増えた
- □ 「自分が倒れる想像」が週1回以上出る
目安:当てはまる項目が増えるほど、神経が「警戒を解除しにくい状態」になっている可能性があります。
ここで大切なのは、「だからダメ」ではなく、“身体の状態として理解できる”ということです。
🌟 受診の目安:不安を煽るためではなく、安心して整理するために
動悸や息苦しさは、神経反応で説明できることも多い一方で、医療的な確認が優先になる場面もあります。
次のようなサインがある場合は、医療機関での確認を優先してください。
- 初めての強い症状で、恐怖が非常に強い
- 意識が遠のく/失神がある
- 胸痛(締め付け・圧迫感)が強い、または持続する
- 安静にしていても息苦しさが続く
- 強い発熱・感染症状がある
- 急激な体重変化、強い発汗、手の震えが目立つ(甲状腺など)
「受診か、我慢か」の二択にしないことが大切です。
医療で確認しつつ、生活の中で神経が休める条件を整える、という並走ができる場合もあります。
🌟 家庭でできる「最初の整理」:治すではなく、崩れにくい土台を作る
きらぼしは医療行為(診断・治療)を行う場所ではありません。
そのため「治す」「改善する」といった断定はしません。
その上で、日常の中で神経が休める条件を増やすために、最初に整理しやすいポイントがあります。
1)「いつ起きやすいか」を時間帯で切る
夕方〜夜、外出前、寝る直前、子どもの予定がある日など、時間帯に偏りがあることがあります。
“ランダム”に見えて、パターンがあることが多いです。
2)呼吸を変えようとする前に「胸・みぞおちの硬さ」を観察する
呼吸が浅い人ほど、「深呼吸しよう」とすると余計に苦しくなることがあります。
その場合は、呼吸のコントロールより先に、胸やみぞおちが固まっていないか、肩が上がりっぱなしになっていないかを観察します。
3)睡眠を“増やす”より、まず“途切れを減らす”
睡眠時間を増やすのが難しい家庭もあります。
その場合は、寝る前の刺激(情報・作業・思考)を少し減らし、途切れを減らす工夫から入ることがあります。
4)「自分だけが背負っている判断」を棚卸しする
神経が休めない大きな要因の一つが、「判断を一人で抱える」状態です。
支援資源の使い方、相談先、家庭内の役割分担を言語化するだけでも、緊張の強さが変わることがあります。
🌟 きらぼしの視点:保護者の身体が落ち着くことは、家庭の安全度を上げる
きらぼしの事業定義は、「障がい児家庭の介助負担の軽減を目指す訪問ケア事業」です。
子どもの身体を整えることが主軸ですが、保護者の身体が限界に近づくと、家庭全体の余裕が削られていきます。
保護者の神経が休める時間が増えると、子どもの不安定さに巻き込まれにくくなったり、切り替えのタイミングが見えやすくなったり、家庭の安全度が上がることがあります。
きらぼしでは、呼吸・筋緊張・生活リズム・環境の刺激などを一緒に整理し、“安心できる条件”を増やす方向を支えます。
🌟 今すぐできる:苦しさが強いときの「体のほぐし方」
「頭ではわかっても、今この瞬間のドキドキをどうにかしたい」という時のために、家の中で座ったままできる小さなケアをお伝えします。
まずは無理に吸おうとするのを一度お休みして、物理的に身体の“スペース”を広げることから始めましょう。
1)胸を開く「鎖骨下タッピング」
- 鎖骨のすぐ下を、指先でピアノを弾くように「トントン」と優しく叩きます
- 東洋医学では呼吸に関わる「中府(ちゅうふ)」というツボがあるエリアです
- ここが硬い方は、胸まわりが動きにくくなっていることがあります(まずは“気づく”だけでOK)
2)みぞおちをゆるめる「温度の手当て」
- 両手のひらをこすり合わせて温め、みぞおちにそっと当てます
- そのまま小さな円を描くように撫でてください
- 手の温かさは「今は安全」という感覚を思い出す助けになることがあります
3)吐くだけに集中する「ストロー呼吸」
- 口を細くして(ストローをくわえるイメージ)、細く長く「ふーっ」と吐き切ります
- 吐き切れば身体は勝手に空気を吸い込んでくれます
- 「吸わなきゃ」というプレッシャーを手放すのがコツです
【お守り】不安に飲み込まれそうな時の「3つの確認」
- 3つのものを見る:時計、コップ、ペンなど、目の前のものの名前を心で呼ぶ
- 3つの音を聞く:換気扇の音、外の音、自分の息の音
- 3つの感触:服の肌触り、椅子の硬さ、床についた足の裏の感覚
100の緊張が、ほんの95になるだけでも十分です
その小さな変化が、あなたとお子さんを守るための「安全基地」になります
🌟 相談という選択肢:LINEで、いったん整理する
「受診するほどではない気がする。でもつらい」
「自律神経と言われても、結局どうしたらいいかわからない」
そんな段階の方のために、LINEでの相談窓口を設けています。
うまく話せなくても大丈夫です。
まとまっていなくても大丈夫です。
断片のまま持ってきてください。
そこから一緒に、生活の中の“緊張の結び目”をほどいていきます。
LINE相談で一緒に整理すること(例)
- 症状が出やすい時間帯・場面のパターン整理
- 夕方〜夜の負担の偏り(家事/ケア/段取り)の見える化
- 呼吸・緊張・睡眠の「崩れポイント」を探る
- 家庭でできる“負担を増やさない”整え方の提案
- 必要に応じて、医療や支援につながる視点の整理
答えを出すための相談ではありません
一緒に「状況を言葉にする」入口です
※本記事は診断や治療を目的としたものではありません
症状が強い場合や不安が大きい場合は、医療機関での確認も選択肢に入れてください

