
こんにちは。
プライマリ・ケアサポート きらぼし、鍼灸師・看護師のKagayaです。
臨床でも、学生時代の試験でも「ホルモンってややこしい…」という声をよく聞きます。
今回は、国家試験でもよく出題される『内分泌』の分野について、過去問ベースで重要ポイントをまとめました。
🌟下垂体の構造とホルモン
(第24回 問題25)
下垂体について正しいのはどれか。
- 第4脳室底部に突出する。
- 腺性下垂体は前方に位置する。
- 神経性下垂体は咽頭に由来する。
- 下垂体ホルモンは下垂体門脈系により標的器官に達する。
(第28回 問題23)
下垂体について正しいのはどれか。
- 前葉の働きは視床下部の支配を受ける。
- 後葉は乳腺刺激ホルモンを分泌する。
- 神経性下垂体では下垂体門脈系が形成される。
- 腺性下垂体は胎児期に神経管から独立してできる。
【解説まとめ】
下垂体は脳の視床下部の直下に位置し、全身の内分泌系を調整する「司令塔」とも言える重要な器官です。
- 下垂体はトルコ鞍の下垂体窩に位置し、前葉・中葉・後葉に分類される
- 腺性下垂体(前葉・中葉)は口腔上皮に由来し、下垂体門脈を介してホルモンを分泌
┗ 成長ホルモン、プロラクチン、TSH、ACTH、FSH、LH - 神経性下垂体(後葉)は視床下部からの神経突起で構成され、オキシトシン・バソプレシンを分泌(門脈関与なし)
- 前葉の分泌は視床下部の調節により支配されている
🌟甲状腺の構造と機能
(第25回 問題24)
甲状腺について正しいのはどれか。
- 中胚葉に由来する。
- 上甲状腺動脈は外頸動脈の枝である。
- 下甲状腺静脈は鎖骨下静脈に流入する。
- 傍濾胞細胞から出るホルモンは血中カルシウム濃度を上げる。
【解説まとめ】
甲状腺は気管の前面に位置し、代謝調整を担うホルモンを分泌します。
国家試験では血流・由来・ホルモンの違いに注意が必要です。
- 甲状腺は上皮小体や胸腺と同じく内胚葉に由来する内分泌器官
- 動脈は2系統から供給される:
- 上甲状腺動脈:外頸動脈の枝
- 下甲状腺動脈:鎖骨下動脈の枝
- 静脈は3本で流入先が異なる:
- 上・中甲状腺静脈 → 内頸静脈
- 下甲状腺静脈 → 腕頭静脈
- 濾胞細胞:甲状腺ホルモン(T3・T4)を分泌し代謝を促進
- 傍濾胞細胞(C細胞):カルシトニンを分泌し、血中カルシウム濃度を下げる
🌟副腎の構造とホルモン
(第20回 問題24)
副腎について正しい記述はどれか。
- 髄質からアルドステロンが分泌される
- 皮質は腹膜上皮に由来する。
- 副腎には間膜がある。
- 副腎からのホルモンは門脈に分泌される。
【解説まとめ】
副腎は腎臓の上に位置する内分泌器官で、皮質と髄質に分かれています。
試験では「由来」と「ホルモンの働き」が頻出ポイントです。
- 副腎皮質:腹膜上皮に由来する中胚葉性の器官(ホルモン:糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、性ホルモン)
- 副腎髄質:神経堤に由来し、交感神経節と起源を同じくする(ホルモン:アドレナリン、ノルアドレナリン)
- 副腎は腹膜後臓器であり、間膜を持たない
- 副腎からのホルモンは腎静脈または下大静脈へ分泌され、門脈系とは無関係
- アルドステロンは副腎皮質の球状帯から分泌される
🌟ホルモンの種類と作用
(第29回 問題27)
ステロイドホルモンはどれか。
- サイロキシン
- アドレナリン
- コルチゾール
- ゴナドトロピン
(第21回 問題38)
作用発現に標的細胞内のセカンドメッセンジャーを介するのはどれか。
- カテコールアミン
- アルドステロン
- テストステロン
- トリヨードサイロニン
【ホルモン分類と作用機序まとめ】
ホルモンは構造と作用機序によって分類されます。
代表的な分類は「ステロイド」「アミン類」「ペプチド」の3つ。
- ステロイドホルモン(脂溶性):
- 副腎皮質ホルモン(コルチゾール、アルドステロン)
- 性ホルモン(エストロゲン、テストステロンなど)
- アミン類ホルモン:
- カテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン)
- 甲状腺ホルモン(T3, T4)
- ペプチドホルモン:
- インスリン、グルカゴン、成長ホルモンなど(大部分のホルモンが該当)
- 細胞膜受容体に作用(セカンドメッセンジャーを介する):
- カテコールアミン、ペプチドホルモン(例:インスリン)
- 細胞内受容体に作用(直接遺伝子に作用):
- ステロイドホルモン、甲状腺ホルモン
🌟頻出ホルモンと国家試験対策
(第23回 問題32)
出産時に子宮収縮に関わるホルモンはどれか。
- エストロゲン
- 黄体形成ホルモン
- オキシトシン
- プロゲステロン
(第20回 問題38)
神経末端から分泌されるホルモンはどれか。
- アルドステロン
- インスリン
- エストロゲン
- オキシトシン
(第24回 問題32)
ニューロンから分泌されるのはどれか。
- オキシトシン
- 成長ホルモン
- パラソルモン
- レニン
- 神経細胞でありながら内分泌機能を兼ね備えるものを神経分泌細胞といい、軸索末端からのホルモン放出を神経分泌という
- 視床下部にはホルモンを分泌する神経分泌細胞がある
- バソプレシンとオキシトシンは視床下部の神経分泌細胞でつくられている
(第24回 問題33)
授乳中に分泌が抑制されるのはどれか。
- プロラクチン
- 性腺刺激ホルモン
- 成長ホルモン
- ソマトスタチン
(第25回 問題32)
ノルアドレナリンの方がアドレナリンより作用が強いのはどれか。
- 気管支拡張
- 血圧上昇
- 血糖値上昇
- 心収縮力増大
(第26回 問題34)
コルチゾールの働きでないものはどれか。
- 抗ストレス作用を持つ
- 免疫機能を高める
- 胃酸の分泌を促す
- 血糖値を高める
(第27回 問題37)
ホルモンとその作用の組み合わせで正しいのはどれか。
- プロラクチンー乳汁産生促進
- 成長ホルモンー血糖値低下
- 甲状腺ホルモンー基礎代謝低下
- 糖質コルチコイドー炎症反応促進
過去問を元に出題傾向を確認しておきましょう。
以下のホルモンは頻出です。
- オキシトシン:出産時の子宮収縮/授乳時の乳汁放出。
→視床下部で作られ、神経末端から分泌される - プロラクチン:乳汁産生促進。授乳期に分泌増加
- 性腺刺激ホルモン:授乳期に抑制される
- コルチゾール:抗ストレス・血糖上昇。免疫抑制作用も
- グルカゴン:肝臓でグリコーゲンを分解→血糖上昇
- ノルアドレナリン:血圧上昇作用が強い(アドレナリンより)
ホルモンの種類とその働き
- 神経細胞でありながら内分泌機能を兼ね備えるものを神経分泌細胞といい、軸索末端からのホルモン放出を神経分泌という
- 視床下部にはホルモンを分泌する神経分泌細胞がある
- バソプレシンとオキシトシンは視床下部の神経分泌細胞でつくられている
授乳中はプロラクチン濃度が高く維持されるため、性腺刺激ホルモンの分泌が抑制される。
🌟臓器別ホルモン図解(ビジュアルで覚える)
以下は内分泌器官とホルモンを表でまとめたものです。
視覚的に整理したい方におすすめです。












🌟おすすめ参考書・教材(広告)
最後に、内分泌系の理解を深めるのにおすすめな教材を紹介します。
国家試験では「下垂体・副腎・甲状腺」「ホルモンの分類と作用」「神経分泌ホルモン」などが毎年のように出題されています。
本文で紹介した内容を押さえれば、確実に点が取れる分野です。
ビジュアル・分類表・過去問を活用しながら繰り返し復習してください。