
こんにちは。
プライマリ・ケアサポート きらぼし、鍼灸師・看護師のKagayaです。
学生生活も1年半が経ちました。
もうすぐ2年生前期の定期試験が始まります。
はじめのころは「国家試験までまだまだ時間あるな〜」と思っていたのに、気がつけば折り返し。
時間の早さに驚きつつ、日々の課題や実技練習に追われながらも、ようやく少しずつ鍼灸の面白さや奥深さを感じられるようになってきました。
今のうちに、ただ勉強するだけではなく、「自分はどんな鍼灸師になりたいのか?」を考えておかなくては…と思っています。
Kagayaが目指すのは、“ただ気持ちいいだけのリラクゼーション”ではありません。
もちろん、「癒やし」や「心地よさ」が悪いわけではないし、それを求めて鍼灸を受ける人がいるのもわかっています。
でも、Kagayaは苦痛や不調の原因を一緒に探って、根本的に整えていくような、医療としての鍼灸をしたいのです。
たとえば、リラクゼーション目的の施術は「気持ちよかった~」で終わってもいい。
でも、治療目的での施術は「この辛さが少し楽になった」「また日常を頑張れそう」…そう思ってもらえるものにしたいと思っています。
だからこそ、鍼灸を医療の一つとして、看護的な視点も取り入れながら、丁寧に「その人の生活背景」まで見ていく治療スタイルを作っていきたいのです。
これは、Kagayaが長く看護師として働いてきた経験から感じることでもあります。
どんなに医学的なケアをしても、その人の生活環境や人間関係、日々の習慣が整っていなければ、症状は繰り返してしまう。
だからこそ、患者さん自身の力を信じて、ともに治す姿勢が大切だと思っています。
Kagayaスタイルの鍼灸は、患者さんと一緒に考え、一緒に変わっていくことを大切にしています。
そこにリラクゼーション的な心地よさが自然に含まれているのは良いこと。
でも目的はあくまで「治療」にあります。
「看護×鍼灸」そして「療育」という視点から、自分にしかできない治療スタイルを模索しながら、これからの学びや経験を積み上げていきたいと思います。
そんな思いを込めて、今回は「Kagayaの治療スタイル構築プロセス」について書いてみます。
🌟鍼灸師の治療スタイルとは?
病院での治療は、多くの場合、問診や検査を通じて「診断名」がつけられ、それに対する標準的な治療が行われます。
診断名に対して、どこに行っても同じような処方や処置が受けられることが多いですよね。
一方で、鍼灸師は医師ではありませんので、病名をつける「診断行為」はできません。
その代わりに、すでに医療機関で出された診断名や、患者さんが感じている不調・症状をもとに、その方の体全体をみながらアプローチを考えていきます。
実は、鍼灸にはさまざまな流派があり、考え方や手法もさまざまです。
大きく分けると、以下の3つの系統に分けられることが多いです。
流派 | 特徴 | 主な適応 |
---|---|---|
中国鍼灸系 | 経絡・臓腑・病邪を重視し、比較的太い鍼で刺激 | 難病・体質改善・慢性疾患 |
日本鍼灸系 | 経絡や脈診を重視、鍼は細くてやさしい | 肩こり・腰痛・美容・リラクゼーション |
現代医学的鍼灸系 | 解剖学・生理学に基づき、トリガーポイントなどにアプローチ | 筋肉・神経痛・スポーツ障害 |
中国鍼灸系(中医学)
MILKY WAYより
中国伝統医学(中医学)をベースにしたスタイルで、経絡・臓腑・病邪といった東洋医学特有の理論に基づいて治療を行います。
問診・視診・聴診・触診といった「四診」を用い、身体のバランスを多角的にとらえながら、不妊症、難病、慢性疾患、体質改善などに対応します。
比較的太めの鍼を使用し、「ズーン」とくるような刺激をしっかり入れるのが特徴です。
中医学に基づく治療は、理論的に深くて学ぶほどに面白さがあります。
日本鍼灸系
MILKY WAYより
日本で独自に発展した鍼灸で、経絡や脈診を重視するのが特徴です。
治療は「脈を整える」ことを中心に行われ、鍼の刺激はとてもソフト。鍼管(しんかん)という筒を使って、繊細でやさしい刺し方をします。
江戸時代に考案されたこの方法は、日本人の体質に合っていると言われています。
症状へのアプローチはもちろん、美容鍼灸やリラクゼーション、癒やしを目的とした治療にもよく用いられています。
現代医学的鍼灸系
このスタイルは東洋医学の理論ではなく、解剖学や生理学といった現代医学に基づいて施術を行います。
筋肉や神経の走行、トリガーポイントなどをターゲットに、局所的な痛みや機能改善を目指すのが特徴です。
欧米ではドライニードルと呼ばれ、スポーツ障害や整形外科領域で用いられることもあります。
「ツボ」や「気の流れ」ではなく、筋膜や神経反射を重視する点が東洋的鍼灸とは大きく異なります。
このように、鍼灸の世界は思った以上に奥深く、流派や考え方によってアプローチが大きく違います。
それぞれの流派に強みがあり、「この患者さんにはこの方法が合うかも」と考えながら柔軟に対応できるのが、鍼灸師の面白さでもあります。
🌟Kagayaが目指す治療スタイル
Kagayaは、現代医学では根本的に治しきれない難病や慢性疾患による「苦痛」を少しでも和らげて、日常を少しでも心地よく過ごしてもらうことを目的としています。
ですから、「病気を治す!」という積極的治療というよりは、生活を支える医療的鍼灸を目指しています。
これまで看護師としての経験を積んできたこともあり、私の治療スタイルは自然と看護的な視点がベースになります。
最近よく「卒業できる治療院」という言葉を見かけますが、Kagayaは正直、違和感があります。
肩こりや腰痛などは、生活習慣や環境によって再発することも多く、一度よくなっても「終わり」ではありません。
だからこそKagayaは、「卒業」よりも「継続的なメンテナンス」を大切にしています。
身体を整える主役はあくまで本人であり、鍼灸師はそのお手伝いをする存在です。
また、症状の変化に気づくことも看護師の得意分野。
Kagayaスタイルでは、丁寧な情報収集とセルフケアの提案を通して、患者さんと一緒に変化を見守っていきたいと思っています。
診察方法
看護ではバイタルチェック(体温・血圧・脈拍など)を通じて身体の状態を観察しますが、鍼灸でも同じように触れて状態をみるという手技があります。
その代表が「脈診」と「腹診」です。
ただ、脈診は非常に繊細で習得が難しく、個人差も大きいため、Kagayaは今のところ腹診を中心に用いていこうと思います。
特に障がい児においては、ジッと脈をとらせてくれること自体が難しいこともあります。
その点、腹診はスキンシップを取りながら身体の状態を探ることができるため、心と体の両方にアプローチできる方法だと感じています。
看護師として培った観察力と、鍼灸師としての腹診の技術を組み合わせて、その人の「今の状態」を捉えていきます。
施術内容
Kagaya自身は特定の流派にこだわらず、実際に患者さんが楽になってくれることを第一に考えています。
中でも注目しているのは以下の3つの技術です:
- 長野式治療:東洋と西洋医学の理論を融合させ、検査反応点から施術ポイントを選ぶ体系的な方法。
- YNSA(山元式新頭針療法):頭部の治療点を使い、運動障害や痛みなどに対応。
- 井穴刺絡(限定):出血を伴うが、強い効果が期待される手技。ただし感染対策や理解が必要なため、希望者のみ・信頼関係がある場合に限定。
これらはすべて、患者さんの反応を見ながら施術を調整するスタイルで、一方的に「ここに打つ」ではなく、双方向のやりとりを大事にする治療法です。
治療対象
Kagayaは「なんでも診ます」ではなく、専門性を持った治療家でありたいと思っています。
医療機関でも「皮膚科・脳神経外科・泌尿器科なんでも診られます」では不安を感じる方もいるはず。
鍼灸でも同じように専門分野を明確にすることが信頼に繋がると考えています。
障がい専門治療
Kagayaは、長年重症心身障がい児(者)の看護に携わってきました。
だからこそ、鍼灸師としてもその分野に貢献したいと考えています。
もちろん今後は、脊髄損傷など中途障がいの方のサポートも視野に入れていますが、専門は「障がい児」。
対象を広げすぎて中途半端になることは避けたいです。
障がい児に特化した鍼灸スタイルを軸に、確かな専門性と寄り添う気持ちを大切にした治療院づくりを目指しています。
🌟まとめ
看護師の数だけ看護の方法があるように、鍼灸師の数だけ治療スタイルがあっていいと思います。
Kagayaは、長年の看護経験を土台に、看護×鍼灸×療育という新しいスタイルを模索しています。
たとえば、スヌーズレンや静的弛緩誘導法など、障がい児の感覚や情緒に寄り添うアプローチを、治療の中に自然に取り入れられたら。
そこに長野式やYNSAといった東洋医学・現代医学のエッセンスを組み合わせたら——それはもう、「Kagayaスタイル」としか言いようのない、オリジナルの医療だと思っています。
特に、障がいのあるお子さんたちやそのご家族にとって、安心して通える鍼灸院があるというだけで、日常の負担や不安が少しでも和らぐのではないかと信じています。
Kagayaは「鍼灸の力だけでなんでも治す」つもりはありません。
でも、治療だけじゃなく、心の拠り所にもなれるような場所、そっと寄り添うケアを届けられる鍼灸師になりたいと思っています。
今はまだ学生で、国家試験にも定期試験にも追われている身ですが(笑)、それでも私の中には、未来の治療スタイルがはっきりと見えています。
国家試験を突破して、きらぼしとして訪問施術やシェアサロンでの活動を本格的にスタートできる日を楽しみに、いまは目の前の課題に向き合っていきます。
いつか、「Kagayaの鍼灸、受けてみたい」と言ってもらえる人に出会えるように。
そして、そんな人の毎日にそっと寄り添える鍼灸師になれるように。
これからも一歩ずつ進んでいきます。
…まずは、定期試験、がんばります!
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