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広告 西洋医学

国家試験対策~診察の概要・診察の方法~

2024-04-10

🌟診察の基本順序|視診・聴診・打診・触診の違いと覚え方

身体診察を行う際には、「視診 → 聴診 → 打診 → 触診」という基本的な順序があります。

これは、患者への侵襲を最小限にしつつ、正確な情報を得るための黄金ルールです。

たとえば腹部の診察では、聴診を先に行わないと、打診や触診によって腸の蠕動音が変化してしまうため、正しい情報が得られなくなることがあります。

以下で、それぞれの診察法の特徴と注意点を詳しく見ていきましょう。

🔍視診(ししん)

視診は、「見ることによる診察」です。

皮膚の色や発疹、呼吸の状態、顔色、姿勢、歩き方、患部の腫脹などを観察します。

  • 視診は最初に行うのが原則
  • 無意識の動作や表情も重要な手がかりになる
  • 関節の変形や浮腫、皮膚の色調変化を観察

ポイント: 視診は「聞かずとも訴えている症状」を見抜く力を養う訓練にもなります。

🎧聴診(ちょうしん)

聴診は、聴診器を使って体内の音を聞き取る方法です。

心音、呼吸音、腸音などを確認します。

聴診の位置や順序は解剖学的位置に従い、左右差や異常音(ラ音など)を聴き分けます。

  • 腹部では打診・触診より先に行う
  • 高音域はダイアフラム型、低音域はベル型を使用
  • 心音・肺音・腸音など、異常音の有無に注目

国家試験頻出:「高周波音はダイアフラム型、低周波音はベル型」で聴診する。

🥁打診(だしん)

打診は、身体を軽く叩いて音を聴き、臓器の状態を推測する方法です。

音の響きにより、空気の多い部位(肺)や液体のある部位(腹水など)を識別します。

  • 打診音には清音・濁音・鼓音・濁音などがある
  • 胸部や腹部の異常(胸水、腫瘍など)を推測できる
  • 心臓部は濁音を呈する(試験対策)

※打診のあとに触診を行うのが基本ですが、腹部の診察ではこの順序を守ることで腸音への影響を避けます。

🖐触診(しょくしん)

触診は、手で直接触れて腫瘍、硬結、圧痛、熱感などを確認する方法です。

深部臓器を触れる際には両手を使うこともあります(例:腎臓)。

  • 必ず最後に行う(他の検査に影響するため)
  • 疼痛部位には最後に触れるのが原則
  • 腫瘍、圧痛、腫脹、熱感などの異常を確認

例: 腎臓の触診は両手で行い、深く腎臓をはさむように触れます(国家試験で出題あり)。

📌まとめ:診察順序のゴロと覚え方

「視・聴・打・触(し・ちょう・だ・しょく)」という語呂で覚えましょう。

腹部診察の基本手順や、異常所見を誘発させない配慮の視点からも、この順序は非常に重要です。

国家試験でも「どの順序で行うのが正しいか」「腹部の診察で最初に行うべきは?」といった出題が繰り返しされていますので、しっかりと定着させておきましょう。

🌟SOAP記録とは?構造と書き方を徹底解説

SOAPとは、医療現場や鍼灸・リハビリなどで用いられる記録フォーマットの1つで、患者の状態を体系的・客観的に記録するための枠組みです。

S(Subjective)→ O(Objective)→ A(Assessment)→ P(Plan)の順に記録され、問題志向型記録(POMR)の基本形式としても知られています。

📝S:主観的情報(Subjective)

患者本人が感じている症状や訴えのこと。

例としては、「膝が痛い」「夜間に咳が止まらない」「最近疲れやすい」などがあります。

自覚症状とも言えます。

  • 主訴(CC:chief complaint)
  • 現病歴
  • 生活背景や訴え

👉医療面接で聞き出した内容を、患者の言葉を尊重しつつ正確に記録します。

📊O:客観的情報(Objective)

医療従事者が測定・観察した事実を記載します。

バイタルサインや検査結果、視診・触診・打診・聴診などの所見がここに該当します。

  • 体温、脈拍、血圧など
  • 浮腫、発赤、関節の可動域制限
  • 筋力テスト、痛覚テストなど

👉国家試験でも「Oは他覚所見」として定義され、頻出ポイントです。

🧠A:評価・アセスメント(Assessment)

主観的・客観的情報から分析・考察を加えた医療者側の判断です。

「なぜ症状が出ているのか?」「どのような状態なのか?」を記述します。

  • 「腰痛は筋緊張型と考えられる」
  • 「改善傾向あり、ストレッチの効果がみられる」

👉国家試験では「A=病態の評価」として問われることがあります。

🗂P:計画(Plan)

今後の治療・ケア・生活指導の方針を記載します。

具体的な施術内容やアドバイス、次回予定などが含まれます。

  • ツボへの施術:曲池・合谷に鍼通電
  • 生活指導:入浴とストレッチの継続
  • 次回:2日後再診予定

SOAPの書き方は鍼灸院・接骨院・訪問看護などでも共通語です。

学生のうちに慣れておきましょう!

🌟国家試験に頻出!自覚症状と他覚症状の違いとは?

診察やSOAP記録において重要なキーワードが「自覚症状」と「他覚症状」です。

国家試験では「どちらに分類されるか」を問う問題が多く出題されます。

🧍‍♀️自覚症状(Subjective Symptom)とは

患者本人が主観的に感じる症状のことです。

医療者が直接確認できないのが特徴で、S(SOAP)に記録されます。

  • 頭痛
  • 吐き気
  • 動悸
  • 耳鳴り
  • 倦怠感

👉 国家試験では「動悸・頭痛・息切れ・しびれ・かゆみ」は自覚症状に分類される。

👩‍⚕️他覚症状(Objective Sign)とは

医療者が視診・触診・検査などで客観的に確認できる症状です。

O(SOAP)に記録されます。

  • 発熱
  • 血圧の上昇
  • 心尖拍動
  • 発疹
  • 浮腫、出血、呼吸音の異常

👉 試験では「高熱・心尖拍動・発疹・打診所見」は他覚症状として正答になります。

📌ポイントまとめ

  • 自覚症状:患者が訴える(例:かゆみ、痛み、めまい)
  • 他覚症状:他人が確認する(例:発熱、腫脹、呼吸音)

ゴロ合わせ:「自分が感じる → 自覚」「他人がわかる → 他覚」で覚えておくと便利です。

SOAPとの対応も意識しながら、問題を解く力を養っていきましょう!

🌟鍼灸国家試験過去問

按マ指 第8回-73

他覚的身体所見䛿どれか。

  1. 動悸
  2. 胸痛
  3. 息切れ
  4. 心尖拍動

按マ指  第9回-58

自覚症状でないのはど れか。

  1. 耳鳴り
  2. 頭痛
  3. かゆみ
  4. 高熱

按マ指 第23回-38

他覚症状はどれか。

  1. 頭痛
  2. 発熱
  3. 耳鳴り
  4. 吐き気

按マ指 第24回-39

疾病の見通しを意味するのはどれか。

  1. 病期
  2. 転帰
  3. 治癒
  4. 予後

按マ指 第27回-38

他覚症状はどれか。

  1. 掻痒感
  2. 頭痛
  3. 発熱
  4. 食欲不振

鍼灸  第2回-61

問診について正しい記述はどれか。

  1. 信頼関係が重要である。
  2. 最初から特定の疾患を 推定して行う。
  3. 訴えは医学専門用語で 記載する。
  4. 患者の職場の上司には問診の内容を話す。

鍼灸 第17回-52

問診(医療面接)を行う際の注意として適切でな い記述はどれか。

  1. 温かみのある態度で接し、患者との信頼関係を築く。
  2. ある症状がみられないといった陰性症状は重要である。
  3. 特定の疾患を推定し、そ れに沿って行う。
  4. 患者の個人情報が漏れないようにする。

鍼灸 第18回-52

医療面接において適切でないのはどれか。

  1. 前半は「閉ざされた質問」を中心に進める。
  2. 患者の言葉を繰り返して 理解していることを示す。
  3. 言い換えによって訴えを明確化する。
  4. 最後に言い残しがないかどうかを聞く。

鍼灸 第26回-125

医療面接で開放的質問に相当するのはどれか。

  1. 今日はどうされました か。
  2. いつから痛みますか。
  3. アレルギーをおもちです か。
  4. 過去に大きな病気にかかったことがありますか。

鍼灸 第31回-43

医療面接について正しい のはどれか。

  1. 患者が話したことは繰り 返さない。
  2. 別居している家族の健康状態も聞く。
  3. 問診は特定の疾患を推定して始める。
  4. 医学用語を用いて説明する。

按マ指 第12回-65

問診で誤っている記述はどれか。

  1. 問診は主訴から始める。
  2. 問診内容については守秘義務がある。
  3. 家族歴は現病歴に含める。
  4. 輸血歴は既往歴に含める。

鍼灸 第31回-127

医療面接の態度について最も適切なのはどれか。

  1. 患者の正面に座る。
  2. 患者の話を共感的に聴く。
  3. 導入は閉ざされた質問から行う。
  4. アドヒアランスよりコンプライアンスを目指す。

按マ指 第23回-113

SOAPについて適切な組合せはどれか。

  1. S---評価
  2. O---客観的所見
  3. A---治療計画
  4. P---主訴

鍼灸 第24回-116

変形性膝関節症の患者に対するSOAP方式による経過記録でPに相当するのはどれか。

  1. 階段昇降時䛾膝䛾痛み
  2. 膝関節䛾屈曲拘縮
  3. 内側広筋䛾萎縮
  4. 大腿四頭筋訓練

鍼灸 第25回-121

鍼灸治療についてSOAP形式で記録する場合、Aに該当するのはどれか。

  1. 医療面接の内容
  2. 他覚的所見
  3. 治療内容
  4. 治療経過の評価

26 按マ指 121

SOAPについて正しい組合せはどれか。

  1. S---検査所見
  2. O---自覚症状
  3. A---病態䛾評価
  4. P---治療効果

鍼灸 第27回-125

上腕骨外側上顆炎の患者に対するSOAP方式による記録で、Pに相当するのはどれか。

  1. タオルがしぼりにくい
  2. トムゼンテスト陽性
  3. 動作後のアイシング
  4. 短橈側手根伸筋の過緊張

按マ指 第28回-120

関節リウマチの診療においてSOAP形式で記録する場合、Oに該当するのはどれか。

  1. パラフィン浴
  2. スワンネック変形
  3. 手指のこわばり感
  4. 機能障害分類クラスⅢ

鍼灸 第28回-124

腰部脊柱管狭窄症に対する診療においてSOAP 形式で記録する場合、A に該当するのはどれか。

  1. 間欠跛行距離300m
  2. 腰下肢への低周波鍼通電療法
  3. ケンプ徴候陽性
  4. 神経根型

按マ指 第29相-110

脊椎分離すべり症の経過観察記録においてSOAP形式で記録する場合、Oに該当するのはどれか。

  1. 鈍い腰の痛みがある。
  2. マイヤーディング分類3度である。
  3. 脊椎の階段状変形がみられる。
  4. コルセットによる固定をする

按マ指 第31回-111

肩関節周囲炎患者に対する診療においてSOAP 形式で記録する場合、P に該当するのはどれか。

  1. 夜間痛
  2. 結帯動作制限
  3. 運動療法
  4. ペインフルアークサイン 陽性

按マ指 第7回-73

触診で発見できないのはどれか。

  1. リンパ節腫脹
  2. 胸部大動脈瘤
  3. 肝臓の腫大
  4. 腹部の腫瘤

按マ指 第9回-70

身体の診察で正しい記述はどれか。

  1. 腹部触診は疼痛部から行う。
  2. 橈骨動脈の拍動は左が右より強い。
  3. 心臓部の打診で濁音を呈する。
  4. 高周波音はベル型で聴診する。

10 按マ指 74

打診音はどれか。

  1. 清音
  2. グル音
  3. ラ音
  4. 捻髪音

鍼灸 第10回-66

両手で触診する臓器はどれか。

  1. 肝臓
  2. 胆嚢
  3. 腎臓

按マ指 第24回-50

触診について正しいのはどれか。

  1. 聴診より先に行う。
  2. 最初は力を強く加える。
  3. 疼痛のある部位は最後に行う。
  4. 体位変換は避ける。

鍼灸 第28回-53

腹部触診について正しいのはどれか。

  1. 聴診より先に行う。
  2. 最初は柔らかく触れる。
  3. 疼痛部位を最初に触れる。
  4. 体位変換は必要ない。

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