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広告 東洋医学

国家試験対策~経穴の意義と概要~

2024-03-17

🌟同身寸法

同身寸法(どうしんすんぽう)とは、経穴の位置を体表から正確に測定するために用いられる東洋医学の伝統的な指標です。

人の身体を「その人自身の体の寸法(寸)」に基づいて測る方法で、体格差があっても共通の基準として利用できるという特徴があります。

これは、鍼灸や漢方の臨床において非常に重要な考え方であり、経穴(ツボ)の位置を決定する際に欠かせない基準です。

国家試験でも頻出であり、特に「〇〇の幅は何寸か」という問いが繰り返し出題されています。

同身寸法では、各指の節の幅や複数の指を組み合わせた幅など、身体の部位そのものを基準にして「寸」を測ります。以下は代表的な同身寸法の例です。

母指第1節の横幅1寸
中指の内側にできる横紋の幅1寸
示指・中指・薬指の第1節を合わせた幅2寸
示指から小指までの中節を合わせた幅3寸

このように、「自分の体で測る定規」のような感覚で用いられるのが同身寸法の魅力です。

これにより、例えば手の太さや足の大きさが異なる人でも、その人にとって適切なツボの位置が割り出せるのです。

また、臨床現場では、灸点・刺鍼点の決定において、患者の体格を加味したアプローチが求められます。

そうしたとき、同身寸法は個々人に合わせた鍼灸治療を行う上で非常に有効です。

同身寸法を習得する際のポイントは、自分の手で実際に測ってみることです。

例えば、「母指の第一関節の幅=1寸」と覚えるだけでなく、自分の指を使ってその幅感覚を掴むことで、臨床でも即座に使えるようになります。

🌟骨度法

骨度法(こつどほう)とは、身体の骨格に基づいて経穴の位置を測定する方法です。

同身寸法が「指の幅などで測る相対的な目安」であるのに対し、骨度法は骨と骨の間の距離を一定の尺度(寸)で表すもので、より構造的・実測的なアプローチに分類されます。

骨度法は、経穴の位置を明確に記述・再現できるため、解剖学的な基準に基づいた鍼灸治療や国家試験において非常に重要な知識です。

骨度の基準寸法は体の各部位によって異なりますが、おおよそ「誰でも共通する骨格」を基準とするため、教科書や試験ではこの骨度法に従ってツボの位置が記されています。

以下に、代表的な部位ごとの骨度法を整理します。

頭部・顔面部

前髪際中点~後髪際中点1尺2寸
眉間~前髪際中点3寸
両額角髪際間左右の頭維間9寸
両乳様突起間9寸

頭部は、視診・触診による観察が重要で、髪際や乳様突起など明確な目印があるため骨度法が活用しやすい部位です。

胸部・腹部・季肋部

頸切痕~胸骨体下端天突~中庭9寸
胸骨体下端~臍中央中庭~神闕8寸
臍中央~恥骨結合上縁神闕~曲骨5寸
胸骨体下端~恥骨結合上縁中庭~曲骨1尺3寸
両乳頭間左右の乳中間8寸
腋窩~第11肋骨先端1尺2寸

胸部・腹部は経絡が縦走するため、縦方向の寸法を押さえることが重要です。

臍や胸骨、乳頭は骨度法における基準点として頻出です。

上背部

左右の肩甲棘内端縁間6寸
大椎~肘頭までの長さ1尺7寸

肩甲骨の位置関係や背部正中線との距離を把握することで、背部兪穴の正確な位置決定につながります。

上肢

中指尖~手関節横紋8寸5分
肘窩~手関節横紋尺沢~太淵、少海~神門1尺2寸
肘頭~肩峰角(下垂位)1尺2寸
肘頭~肩峰角(90°外転)1尺
腋窩横紋前端~肘頭尺沢、曲択9寸
極泉~少海9寸

上肢の骨度法は、多くの経絡が走行するため国家試験でも出題されやすい分野です。

肘や手首の横紋は重要な基準点となります。

下肢

恥骨結合上縁~膝蓋骨上縁1尺8寸
膝蓋骨尖~内果尖1尺5寸
脛骨内側顆下縁~内果尖1尺3寸
膝蓋骨尖~脛骨内側顆下縁2寸
犢鼻~解渓1尺6寸
大転子頂点~膝窩1尺9寸
殿溝~膝窩承扶~委中1尺4寸
委中~承山8寸
膝窩~外果尖委中~崑崙1尺6寸
膝窩~外果尖1尺5寸
内果尖~足底3寸
足指尖~踵足の長さ1尺2寸

下肢の骨度は距離が長くなるため、寸法の誤差も大きくなりやすい領域です。

股関節から膝、足関節にかけての骨の形状と経穴の関係をしっかり押さえることが合格へのカギです。

以上のように、骨度法は「身体の骨に基づいたツボの地図」としての役割を持っています。

国家試験では、「〇〇から〇〇まで何寸か?」という問題形式で出題されることが多く、表や図で覚えるだけでなく、臨床で触れて確認することで記憶が定着しやすくなります。

🌟鍼灸国家試験過去問

第2回-118

骨度法では左右の頭維穴の間を何寸とするか。

  1. 8寸
  2. 9寸
  3. 5寸
  4. 1尺2寸

骨度法で胸骨体下端から臍までの長さはどれか。

  1. 8寸
  2. 7寸
  3. 6寸
  4. 9寸

第6回-114

骨度法で脛骨内側顆の下際から内果の最も高い所までの長さはどれか。

  1. 1尺6寸
  2. 1尺9寸
  3. 1尺3寸
  4. 1尺

第8回-112

骨度法で前髪際から後髪際までの長さはどれか。

  1. 1尺8寸
  2. 1尺2寸
  3. 1尺4寸
  4. 1尺6寸

第10回-112

骨度法において1尺2寸でないのはどれか。

  1. 足の長さ
  2. 腋窩から第11肋骨先端まで
  3. 前髪際から後髪際まで
  4. 胸骨体下端から恥骨結合上際まで

第11回-113

骨度法で誤っているのはどれか。

  1. 前髪際から後髪際まで1尺2寸
  2. 胸骨体下端から臍まで8寸
  3. 肩峰外端から肘まで1尺3寸
  4. 大転子から膝窩中央まで1尺9寸

第12回-112

骨度法で正しいのはどれか。

  1. 足三里から解谿まで1尺5寸
  2. 前髪際額角間は7寸
  3. 委中から崑崙まで1尺6寸
  4. 大椎から肩峰外端まで1尺

第13回-114

骨度法で恥骨結合上際から大腿骨内側上顆上際までの長さはどれか。

  1. 1尺6寸
  2. 1尺9寸
  3. 1尺8寸
  4. 1尺7寸

第14回-110

骨度法で大椎穴から肘頭までの長さはどれか。

  1. 1尺6寸
  2. 1尺7寸
  3. 1尺5寸
  4. 1尺8寸

第15回-107

骨度法で足の長さと同じなのはどれか。

  1. 脛骨内側顆の下際から内果まで
  2. 前髪際から後髪際まで
  3. 肩峰外端から肘頭まで
  4. 胸骨体下端から臍まで

第16回-107

骨度法で左右の頭維穴間の長さはどれか。

  1. 9寸
  2. 8寸
  3. 5寸
  4. 1尺2寸

第17回-108

骨度法で胸骨体下端から恥骨結合上際までの長さはどれか。

  1. 9寸
  2. 11寸
  3. 13寸
  4. 15寸

第19回-108

骨度法で8寸はどれか。

  1. 胸骨体下端から臍まで
  2. 腋窩横紋前端から肘窩横紋まで
  3. 肩峰外端から肘頭まで
  4. 前髪際額角間

第20回-107

骨度法で殿溝から膝窩までの長さはどれか。

  1. 2尺
  2. 1尺2寸
  3. 1尺4寸
  4. 1尺8寸

第21回-109

骨度で最も短いのはどれか。

  1. 殿溝の中央から膝窩
  2. 恥骨結合上縁から膝蓋骨上縁
  3. 大転子頂点から膝窩
  4. 膝蓋骨尖から内果尖

第22回-110

骨度が最も短いのはどれか。

  1. 建里から腹哀
  2. 大陵から間使
  3. 前髪際から承光
  4. 外果尖から懸鍾

第24回-102

少海から神門までと同じ骨度はどれか。

  1. 胸骨体下端から恥骨結合上縁
  2. 足指尖から踵
  3. 足三里から解渓
  4. 脛骨内側顆下縁から内果尖

第25回-103

骨度で犢鼻から下巨虚までと同じなのはどれか。

  1. 腋窩横紋前端から肘窩
  2. 前髪際中点から後髪際中点
  3. 中指尖から手関節横紋
  4. 胸骨体下端から臍中央

第26回-104

心包経の経金穴と合水穴の間と同じ骨度はどれか。

  1. 眉間から前髪際中点
  2. 両乳頭間
  3. 両乳様突起間
  4. 臍中央から恥骨結合上縁

第27回-102

骨度法で最も短いのはどれか。

  1. 前髪際中点から後髪際中点
  2. 胸骨体下端から臍中央
  3. 腋窩横紋前端から肘窩
  4. 中指尖から手関節横紋

第29回-109

骨度で脛骨内側顆下縁から膝蓋骨尖までと同じなのはどれか。

  1. 恥骨結合上縁から三焦の募穴
  2. 前正中線から肝の募穴
  3. 臍中央から小腸の募穴
  4. 胸骨体下端から心の募穴

第30回-109

骨度で胸骨体下端から臍中央と同じ寸法はどれか。

  1. 手関節背側横紋から大腸経の郄穴
  2. 手関節掌側横紋から肺経の郄穴
  3. 内果尖から肝経の絡穴
  4. 外果尖から胃経の絡穴

第31回-112

骨度で左右の乳様突起の間と同じ長さなのはどれか。

  1. 膝蓋骨尖の高さから漏谷
  2. 肘窩横紋から内関
  3. 外果尖の高さから承山
  4. 手関節背側横紋から四瀆

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